(旧版)がん患者に対するアピアランスケアの手引き 2016年版
CQ・推奨文・推奨グレード一覧
CQ・推奨文・推奨グレード一覧
CQ No. | CQ・推奨文 | 推奨 グレード |
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Ⅰ.治療編 | ||
化学療法 | ||
1 | 脱毛の予防や重症度の軽減に頭皮冷却は有用か | |
化学療法中に頭皮冷却を行うことにより,化学療法中および終了時の脱毛の程度が軽減するかについて日本人を対象とした明確なエビデンスはないが,頭皮冷却を行うことは勧められる。ただし,わが国では現在,頭皮冷却は保険適用外であり,実施可能施設も極めて限定されている。 | C1a | |
2 | 再発毛の促進や脱毛予防にミノキシジルは有用か | |
高いエビデンスはないが,再発毛の促進にミノキシジルは勧められる。 | C1a | |
脱毛予防にミノキシジルは基本的に勧められない。 | C2 | |
3 | 再発毛の促進にビマトプロストは有用か | |
抗がん剤による睫毛貧毛症に対し,睫毛成長を促進させる目的でビマトプロストを用いることを考慮してもよい。 | C1b | |
4 | がん化学療法に起因した脱毛にウィッグは有用か | |
ウィッグの使用が,脱毛の状態そのものに影響することはない。また,使用が化学療法に起因した脱毛患者のQOLに与える影響についても現段階では十分に検証されていない。しかし,実際に脱毛した多くの患者はウィッグを必要としており,患者の希望に応じた使用が勧められる。 | C1a | |
5 | 化学療法による手足症候群に対する治療として副腎皮質ステロイド外用薬は有用か | |
化学療法による手足症候群に対する治療として,副腎皮質ステロイド外用薬を積極的に勧める科学的根拠は乏しいが,使用することを考慮してもよい。 | C1b | |
6 | 化学療法による手足症候群に対して保湿薬の外用は有用か | |
化学療法による手足症候群の予防および治療として,高いエビデンスはないが,角質融解作用をもたない保湿薬の使用は勧められる。 | C1a | |
化学療法による手足症候群の予防および治療として,角質融解作用のある成分を含む保湿薬(尿素や乳酸を含有する製剤)の使用は基本的には勧められないが,角質が厚い部分に対する短期間の使用については考慮してもよい。 | C1b | |
7 | 化学療法による手足症候群に対する予防としてビタミンB6内服は有用か | |
化学療法による手足症候群に対する予防として,ビタミンB6を内服することは基本的に勧められない。 | C2 | |
8 | 化学療法による皮膚色素沈着に対する予防としてビタミンC内服は有用か | |
化学療法による皮膚色素沈着に対する予防として,ビタミンCを内服することは,エビデンスが乏しいため基本的に勧められない。 | C2 | |
9 | 化学療法による皮膚色素沈着に対する治療としてビタミンC内服は有用か | |
化学療法による皮膚色素沈着に対する治療として,ビタミンCを内服することは,エビデンスが乏しいため基本的に勧められない。 | C2 | |
10 | 化学療法による皮膚色素沈着に対する予防としてトラネキサム酸内服は有用か | |
化学療法による皮膚色素沈着に対する予防として,トラネキサム酸を内服することは,エビデンスが乏しいため基本的に勧められない。 | C2 | |
11 | 化学療法による皮膚色素沈着に対してハイドロキノン外用は有用か | |
化学療法による皮膚色素沈着に対する治療として,ハイドロキノンを外用することは,エビデンスが乏しいため基本的に勧められない。 | C2 | |
12 | タキサン系薬剤による爪変化に対する予防として冷却手袋は有用か | |
タキサン系薬剤による爪変化に対する予防として,冷却手袋を使用することを考慮してもよい。 | C1b |
Ⅰ.治療編 | ||
分子標的治療 | ||
CQ No. | CQ・推奨文 | 推奨 グレード |
13 | 分子標的治療に伴う手足症候群に対して保湿薬の外用は有用か | |
分子標的薬,特にマルチキナーゼ阻害薬およびフッ化ピリミジン系薬剤による手足症候群の治療および予防を目的に,保湿薬を外用することは有用であり,勧められる。 | B | |
14 | 分子標的治療に伴う手足症候群に対して副腎皮質ステロイド外用薬は有用か | |
分子標的薬,特にマルチキナーゼ阻害薬およびフッ化ピリミジン系薬剤による手足症候群の悪化予防および治療を目的に,副腎皮質ステロイド外用薬を用いることは勧められる。ただし,有用性を示すエビデンスに乏しい。 | C1a | |
15 | 分子標的治療に伴う手足症候群に対して創傷被覆材は有用か | |
分子標的薬,特にマルチキナーゼ阻害薬およびフッ化ピリミジン系薬剤による手足症候群の悪化予防および治療を目的に創傷被覆材を用いることについては,高いエビデンスはないが勧められる。 | C1a | |
16 | 分子標的治療に伴うざ瘡様皮疹に対して副腎皮質ステロイド外用薬は有用か | |
分子標的治療に伴うざ瘡様皮疹の予防および治療を目的に副腎皮質ステロイド外用薬を用いることについては,高いエビデンスはないが勧められる。 | C1a | |
17 | 分子標的治療に伴うざ瘡様皮疹に対して抗菌薬の外用は有用か | |
分子標的治療に伴うざ瘡様皮疹の治療を目的に抗菌薬を外用することについては,高いエビデンスはないが勧められる。 | C1a | |
18 | 分子標的治療に伴うざ瘡様皮疹に対して保湿薬の外用は有用か | |
分子標的治療に伴うざ瘡様皮疹の予防を目的に,保湿薬を外用することを考慮してもよい。 | C1b | |
19 | 分子標的治療に伴うざ瘡様皮疹に対してアダパレンの外用は有用か | |
分子標的治療に伴うざ瘡様皮疹の予防を目的に,アダパレンを外用することを考慮してもよい。 | C1b | |
20 | 分子標的治療に伴うざ瘡様皮疹の予防にテトラサイクリン系薬剤の内服は有用か | |
分子標的治療に伴うざ瘡様皮疹の予防を目的に,テトラサイクリン系薬剤(ミノサイクリン,ドキシサイクリン)を内服することは勧められる。 | B | |
21 | 分子標的治療に伴うざ瘡様皮疹の治療にテトラサイクリン系薬剤の内服は有用か | |
分子標的治療に伴うざ瘡様皮疹の治療を目的に,テトラサイクリン系薬剤(ミノサイクリン,ドキシサイクリン)を内服することを考慮してもよい。 | C1b | |
22 | 分子標的治療に伴うざ瘡様皮疹に対して抗菌薬(マクロライド)の内服は有用か | |
分子標的治療(抗体薬)に伴うざ瘡様皮疹の予防および治療を目的に,テトラサイクリン系抗菌薬が使えない場合にマクロライド系抗菌薬の内服を考慮してもよい。 | C1b | |
分子標的治療(キナーゼ阻害薬など小分子化合物)では,マクロライド系抗菌薬との併用により,分子標的薬(小分子化合物)の血中濃度が上昇する可能性があるため併用は基本的に勧められない。 | C2 | |
23 | 分子標的治療に伴う皮膚乾燥(乾皮症)に対して副腎皮質ステロイド外用薬は有用か | |
皮膚乾燥(乾皮症:Xerosis)によって,表皮角層に亀裂を生じ,二次的に紅斑,瘙痒などを伴う皮膚炎症状(皮脂欠乏性湿疹)を生じることがある。このような症例に対しては,高いエビデンスはないが,皮膚炎と自覚症状の改善を目的に副腎皮質ステロイド外用薬を使用することは勧められる。 | C1a | |
24 | 分子標的治療に伴う皮膚乾燥(乾皮症)に対して保湿薬の外用は有用か | |
皮膚乾燥(乾皮症:Xerosis)によって,白色鱗屑や微細な亀裂のほか,二次的に紅斑,瘙痒などを伴う症例がある。このような場合には,高いエビデンスはないが,皮膚炎と自覚症状の改善を目的に,各種保湿薬の特性を生かした使用が勧められる。 | C1a | |
25 | 分子標的治療による瘙痒を伴う乾皮症に対して抗ヒスタミン薬の内服は有用か | |
皮膚乾燥(乾皮症:Xerosis)によって,瘙痒を生じている症例に対する抗ヒスタミン薬単独使用についての十分なエビデンスはない。しかし,掻破による増悪の抑制や自覚症状とQOL改善のため,抗ヒスタミン薬を使用することは勧められる。 | C1a | |
26 | 分子標的治療に伴う爪囲炎に対して推奨される局所治療はあるか | |
副腎皮質ステロイド外用薬は考慮してもよい。ただし,推奨される強さは不明である。 | C1b | |
硝酸銀法は考慮してもよい。 | C1b | |
爪切りは考慮してもよい。 | C1b | |
全抜爪は基本的に勧められない。 | C2 | |
フェノール法は考慮してもよい。 | C1b |
Ⅰ.治療編 | ||
放射線治療 | ||
CQ No. | CQ・推奨文 | 推奨 グレード |
27 | 頭頸部領域以外の放射線皮膚炎に対して副腎皮質ステロイド外用薬は有用か | |
照射期間中および終了後短期間までの副腎皮質ステロイド外用薬の予防的塗布は重篤な皮膚炎を予防する可能性があり,高いエビデンスはないが,塗布するように勧められる。ただし,照射後の継続的な長期使用は避けるべきである。 | C1a | |
28 | 頭頸部領域の放射線皮膚炎に対して副腎皮質ステロイド外用薬は有用か | |
他の領域に比べ放射線治療の線量が高い(70Gy相当)頭頸部領域では放射線皮膚炎に対して副腎皮質ステロイド外用薬が有用であることを示すエビデンスは乏しいが,行うことを考慮してもよい。 | C1b | |
29 | 頭頸部領域以外の放射線治療による皮膚有害反応に保湿薬の外用は有用か | |
頭頸部領域以外の放射線療法中の保湿薬の外用は,放射線皮膚反応の軽減に一定程度の効果が期待できるため,行うよう勧められる。 | B | |
30 | 頭頸部領域の放射線皮膚炎(70Gy相当)に対する保湿薬の外用は有用か | |
頭頸部領域の放射線皮膚炎に対する保湿薬の外用は,高いエビデンスはないが,他の領域でのエビデンスとこの領域での第Ⅱ相臨床試験の結果から,行うよう勧められる。 | C1a | |
31 | 放射線皮膚炎の軽減に洗浄の禁止は有用か | |
放射線皮膚炎に対して洗浄剤を用いても皮膚炎は悪化しないという根拠があり,照射期間中の皮膚洗浄は禁止せず,むしろ洗浄することが勧められる。 | B | |
32 | 放射線治療中に制汗剤などのデオドラントの使用を継続してもよいか | |
放射線療法中に制汗剤などのデオドラントを使用しても皮膚炎は悪化しないという根拠があり,継続してもよい。 | B | |
33 | 放射線による遅発性皮膚有害反応の毛細血管拡張症に対するレーザー治療は有用か | |
放射線治療後の遅発性有害反応である毛細血管拡張症に対してレーザーを用いた治療が国外では行われ,有用性が報告されており,行うことを考慮してもよい。 | C1b |
Ⅱ.日常整容編 | ||
CQ No. | CQ・推奨文 | 推奨 グレード |
34 | 化学療法による皮膚乾燥に対して,安全な日常的スキンケア方法は何か | |
日常的に用いるスキンケア製品の「無添加」や「敏感肌用」表示には,明確な定義はなく,特殊なスキンケア方法にこだわる必要はない。治療前より使用していたスキンケア製品を使用する際には,皮膚を強く擦過するなどの刺激を避けるようにする。皮膚に問題が生じた場合には,直ちに皮膚科医への受診が勧められる。 | ||
弱酸性の洗浄料を使用することを否定しない。 | C1b | |
スクラブ入りの洗浄料を使用することは基本的に勧められない。 | C2 | |
エビデンスはないが,洗浄前に水またはぬるま湯で身体を濡らした後,軽く泡立てた洗浄料で洗うことは勧められる。 | C1a | |
エビデンスはないが,目の細かい柔らかいタオルなどを使用して洗浄し,十分にすすぎを行うことは勧められる。 | C1a | |
エビデンスはないが,入浴時には保湿タイプの入浴剤を用いるよう勧められる。 | C1a | |
「無添加」「敏感肌用」の表示があるスキンケア製品を用いて保湿を行うことを否定しない。 | C1b | |
35 | 分子標的治療によるざ瘡様皮疹に対して,安全な日常的スキンケア方法は何か | |
分子標的治療によるざ瘡様皮疹に対して,軽く泡立てた洗浄料を用いて洗い,すすぎは十分に行い,水分はタオルを軽く押し当てるようにしてふき取る。洗浄料は弱酸性のものにこだわる必要はない。市販のスキンケア製品の「無添加」や「敏感肌用」表示にも明確な定義はなく,特殊なスキンケア製品にこだわる必要はない。 | ||
弱酸性の洗浄料を使用することを否定しない。 | C1b | |
スクラブ入りの洗浄料を使用することは基本的に勧められない。 | C2 | |
エビデンスはないが,洗浄前に水またはぬるま湯で身体を濡らした後,軽く泡立てた洗浄料で洗うことは勧められる。 | C1a | |
エビデンスはないが,手でやさしく洗浄し,十分にすすぎを行うことは勧められる。 | C1a | |
「無添加」「敏感肌用」の表示があるスキンケア製品を用いて保湿を行うことを否定しない。 | C1b | |
36 | 放射線治療による皮膚障害に対して,安全な日常的スキンケア方法は何か | |
放射線治療に伴う皮膚障害に対して,泡を用いて愛護的に洗うようにし,すすぎは十分に行い,タオルを軽く押し当てるようにして水気をふき取る。洗浄料は弱酸性のものにこだわる必要はない。また,「無添加」や「敏感肌用」にも明確な定義はなく,これらのスキンケア製品やスキンケア方法にこだわる必要はない。 | ||
洗浄料を用いて強く擦らないように洗うことが勧められる。 | B | |
弱酸性の洗浄料を使用することを否定しない。 | C1b | |
「無添加」「敏感肌用」の表示があるスキンケア製品を用いて保湿を行うことを否定しない。 | C1b | |
37 | 分子標的治療中の患者に対して,安全なひげそり方法および顔そり方法は何か | |
T字カミソリではなく,電気シェーバーを皮膚に対し垂直に軽く当て,滑らさずにひげそりを行うことが勧められる。皮膚を保護するため,ひげそり前の電気シェーバー用プレシェーブローションやひげそり後の保湿クリームなどの使用が勧められる。 | ||
エビデンスはないが,T字カミソリより電気シェーバーを使うことが勧められる。 | C1a | |
エビデンスはないが,電気シェーバー使用前に電気シェーバー用プレ化粧料を使うことは勧められる。 | C1a | |
エビデンスはないが,電気シェーバー使用後に保湿用化粧料を使うことは勧められる。 | C1a | |
38 | 抗がん剤治療中の患者に対して勧められる紫外線防御方法は何か | |
抗がん剤治療中,外出時には,日傘や帽子・長袖を着用し物理的に紫外線防御を行い,さらに紫外線吸収剤を含まないノンケミカルタイプの日焼け止め製品を使用する。 | ||
高いエビデンスはないが,日焼け止め製品を使用することが勧められる。 | C1a | |
高いエビデンスはないが,紫外線吸収剤が配合されていない製品(ノンケミカル)を使用することが勧められる。 | C1a | |
エビデンスはないが,O/W型(親水性)製品を使用することが勧められる。 | C1a | |
エビデンスはないが,SPFは15から30,PAはPA++からPA+++の日焼け止め製品を使用することが勧められる。 | C1a | |
高いエビデンスはないが,季節を問わず太陽光への曝露が考えられる日中(8時から16時前後)に外出する場合には,日焼け止め製品を使用することが勧められる。 | C1a | |
エビデンスはないが,2~3時間ごとに塗り直すことが勧められる。 | C1a | |
39 | がん治療に伴う皮膚障害をカモフラージュする方法としてメイクアップは有用か | |
がん治療に伴って生じた皮膚障害について,被覆の要望がある。バリア機能の低下した皮膚に対して,ファンデーション等のメイクアップ製品を使用しても,問題は多くはないと推測されるため,メイクアップを行うことを容認できる。 | ||
エビデンスはないが,化学療法による色素沈着をカモフラージュするためにメイクアップをすることは勧められる。 | C1a | |
エビデンスはないが,分子標的治療によるざ瘡様皮疹をカモフラージュするためにメイクアップをすることは勧められる。 | C1a | |
40 | 手術瘢痕をカモフラージュする方法としてテーピングは有用か | |
手術瘢痕にテーピングを行うことが安全なカモフラージュとなるということについては,高いレベルのエビデンスはない。しかし,テーピングは,手術瘢痕に対して広く行われており,瘢痕の醜形化の予防を目的として使用することは勧められる。 | C1a | |
41 | 手術瘢痕をカモフラージュする方法としてメイクアップは有用か | |
がん患者の手術後の瘢痕に対しメイクアップがカモフラージュ方法として有用であるという十分なエビデンスはない。しかし,QOLが向上するというランダム化比較試験の報告がある。手術後の瘢痕に対するQOL改善の方法の一つとしてメイクアップを行うことは勧められる。 | C1a | |
42 | 化学療法中の患者に対して,安全な洗髪等の日常的ヘアケア方法は何か | |
化学療法により脱毛が進行中の患者,化学療法終了後再発毛し始めた患者が洗髪する際には,まず髪と地肌をぬるま湯で十分に濡らし,治療前から使用していたシャンプーを継続することを第1選択とする。低刺激性シャンプーの使用は妨げない。 | ||
低刺激シャンプーを使うことを否定しない。 | C1b | |
エビデンスはないが,洗髪する際には,髪と地肌をぬるま湯で十分に濡らした後,治療前から使っていたシャンプーを使用することは勧められる。 | C1a | |
43 | 化学療法終了後に再発毛し始めた患者に対して,縮毛矯正(ストレートパーマ)は施術してもよいか | |
化学療法終了後に再発毛し始めた患者に対する,安全な縮毛矯正の方法に関するエビデンスはないが,縮毛矯正をすることにより患者のQOLが向上するならば,十分に毛髪が伸びた後,技術力のある理容師・美容師に施術してもらうことを否定しない。 | ||
専門家による縮毛矯正(ストレートパーマ)を行うことを否定しない。 | C1b | |
カーリング料をストレートパーマに使用することを否定しない。 | C1b | |
44 | 化学療法終了後に再発毛し始めた患者や脱毛を起こさない化学療法を施行中の患者は,染毛してもよいか | |
①過去に染毛剤によるアレルギーや皮膚症状がないこと。 | ||
②頭皮に湿疹などがないこと。 | ||
③染毛剤の使用に適した長さまで毛髪が伸びていること。 | ||
④地肌に薬剤がつかないように染毛すること。 | ||
⑤パッチテストの実施が記載されている製品は使用前のパッチテストが陰性であること。 | ||
以上の5項目を満たしたうえで,注意深く行うならば,治療前に使用していた染毛剤,カラーリンス,カラートリートメント,ヘアマニキュアを使用することを否定しない。ただし,皮膚に問題が生じた際には,直ちに皮膚科医への受診を勧める。 | ||
上記①から⑤の5項目を必須としたうえで,治療前に使用していた染毛剤を用いて,専門家が注意深くヘアカラーリングを行うことを否定しない。 | C1b | |
上記①から⑤の5項目を満たしたうえで,ヘナ・お歯黒式ヘアカラーを用いて,ヘアカラーリングを行うことを否定しない。 | C1b | |
上記①から⑤の5項目を満たしたうえで,ヘアマニキュアやカラーリンス,カラートリートメントを用いてヘアカラーリングを行うことを否定しない。 | C1b | |
45 | 化学療法による眉毛の脱毛に対してアートメイクは有用か | |
化学療法による眉毛の脱毛に対して,アートメイクが安全なカモフラージュ方法となるエビデンスはない。重篤な副作用やMRI検査の障害の報告もあるが,高いQOL改善効果が見込まれるなら,主治医と相談のうえ,医師免許をもつ者が注意深く施術する場合には否定しない。 | C1b | |
46 | 化学療法によるまつ毛の脱毛を安全にカモフラージュする方法として,つけまつ毛・まつ毛エクステンションは有用か | |
まつ毛の脱毛のカモフラージュとして,接着剤のパッチテストを実施し問題がないことを確認し,瞼にメイクアップを施したうえで,つけまつ毛を装着することを否定しない。しかし,除去時にも物理的刺激を避けるよう,注意を要する。また,まつ毛エクステンションの装着は勧められない。 | ||
まつ毛の脱毛時のカモフラージュに,つけまつ毛を装着することを否定しない。 | C1b | |
まつ毛の脱毛・貧毛のカモフラージュに,まつ毛エクステンションを装着することは基本的に勧められない。 | C2 | |
47 | 化学療法に伴う爪のもろさに対して,安全な日常的ケア方法は何か | |
患者から相談が寄せられる抗がん剤治療による爪変化のなかに,爪甲の脆弱化,菲薄化がある。もろくなった爪を整えるためにネイルファイル(爪やすり)を使用したり,保護するためにマニキュア(ネイルポリッシュ・ネイルエナメル等)を用いてもよい。ただし,エビデンスはない。また,爪の水分含有量を最適化するため,保湿することが勧められる。 | ||
エビデンスはないが,ネイルファイルを使用することは勧められる。 | C1a | |
エビデンスはないが,マニキュアを塗布することは勧められる。 | C1a | |
高いエビデンスはないが,保湿薬や一般的な化粧品(ハンドクリーム,オイル等)を用いて保湿することは勧められる。 | C1a | |
48 | 化学療法中の爪の変色に対して,安全なカモフラージュ方法は何か | |
エビデンスはないが,患者のQOL維持のために,爪の変色のカモフラージュとしてマニキュア(ネイルポリッシュ・ネイルエナメル等)を用いることは勧められる。 | C1a | |
49 | 化学療法に伴う爪の変形に対して,安全なカモフラージュ方法は何か | |
化学療法により,爪甲に隆起,横溝,縦裂,あるいは爪甲の剝離,脱落などが生じることがある。爪障害による爪甲の変形に対する安全なカモフラージュとして,アクリルネイルやジェルネイルなどと称される硬化性樹脂製の爪化粧料の使用は推奨しない。ただし,簡便にネイルチップをテープで接着することは,エビデンスはないが否定しない。 | ||
アクリルネイルやジェルネイルなどと称される硬化性樹脂製の爪化粧料を使用することは推奨できない。 | D | |
ネイルチップを両面接着テープで爪甲に接着することを否定しない。 | C1b | |
50 | がん治療に伴う外見変化に対する心理・社会的介入は,QOLの維持・向上に有用か | |
高いエビデンスはないが,患者本人のQOLの維持・向上のためには,治療に伴う外見変化に関して,治療前に本人へ適切な説明や情報提供を行うこと,また,治療中や治療後の心理・社会的介入(化粧プログラム,カウンセリング,情報提供など)を行うことが勧められる。 | C1a |