(旧版)女性下部尿路症状診療ガイドライン
6
治療
3 手術療法
1) 腹圧性尿失禁に対する主な術式(表14)
Female(女性)にstress urinary incontinence(腹圧性尿失禁)ならびに主な術式をキーワードとして,2002 年から2011 年のPubMed および医学中央雑誌を検索し,101編の論文を選択した。さらに,2001 年以前ならびに2012 年以降の18 編を加えて,合計119 編の論文を引用した(詳細は各術式を参照)。
要約
腹圧性尿失禁に対する手術療法は,行動療法や薬物療法の効果が不十分な場合に考慮される。一般には,中等度から重症な場合が適応となるが,軽症でも運動時や労作時に支障となる場合は,患者の希望が重視される。
標準術式は,TVT(tension-free vaginal tape)手術やTOT(transobturator tape)手術などの中部尿道スリング手術であるが,経腹的恥骨後式膀胱頸部挙上術(主にBurch 法)も良好な治療成績を有する。いずれの術式も比較的低侵襲であるが,合併症の可能性を含めた十分なインフォームドコンセントが必要である。
腹圧性尿失禁に対する手術療法は,行動療法や薬物療法の効果が不十分な場合に考慮される。一般には,中等度から重症な場合が適応となるが,軽症でも運動時や労作時に支障となる場合は,患者の希望が重視される。
標準術式は,TVT(tension-free vaginal tape)手術やTOT(transobturator tape)手術などの中部尿道スリング手術であるが,経腹的恥骨後式膀胱頸部挙上術(主にBurch 法)も良好な治療成績を有する。いずれの術式も比較的低侵襲であるが,合併症の可能性を含めた十分なインフォームドコンセントが必要である。

腹圧性尿失禁(stress urinary incontinence: SUI)に対する主な術式には,経腹的恥骨後式膀胱頸部挙上術(open abdominal retropubic colposuspension),腹腔鏡下恥骨後式膀胱頸部挙上術(laparoscopic retropubic colposuspension),前腟壁形成術(anteriorcolporrhaphy),筋膜スリング手術(fascial suburethral sling),中部尿道スリング手術(mid-urethral sling: MUS),針式膀胱頸部挙上術(needle bladder neck suspension),尿道周囲注入術(periurethral injection of bulking agent),人工尿道括約筋(artificial urinarysphincter: AUS)がある。
a. 中部尿道スリング手術(mid-urethral sling: MUS)
1990 年にPetros とUlmsten によって紹介されたintegral theory 1)に基づく腹圧性尿失禁に対する手術術式である。テープを中部尿道後面にtension-free に留置すると,腹圧負荷時に膀胱尿道が後下方に移動することによって,テープ部分で尿道内圧を上昇させるような受動的尿道屈曲が起こって尿禁制が得られるとされる。局所麻酔下でも手術が可能で,低侵襲手術(minimally invasive surgery)である。
中部尿道スリング手術にはretropubic tension-free vaginal tape(恥骨後式TVT)手術(以下TVT 手術),transobturator tape(TOT)手術,single-incision mini-sling(SIMS)手術がある。
中部尿道スリング手術にはretropubic tension-free vaginal tape(恥骨後式TVT)手術(以下TVT 手術),transobturator tape(TOT)手術,single-incision mini-sling(SIMS)手術がある。
(1)Tension-free vaginal tape(TVT)手術
Stress urinary incontinence(腹圧性尿失禁)とmid-urethral sling(中部尿道スリング手術),retropubic tension-free vaginal tape(恥骨後式TVT 手術)をキーワードとして検索し,このうちの18 編に2001 年以前の論文3 編を加えて合計21 編を引用した。
推奨グレード:A
短期の客観的成功率は80〜90%,中長期成績も80% 前後と良好で患者満足度も高い(レベル1)。膀胱穿孔が約5% に発生するため術中膀胱鏡が必要である。TOT 手術に比べ術後排尿困難の発生率が高く,テープ留置時に過緊張にならないよう注意が必要である。まれに腸管穿孔や血管損傷が起こる可能性がある。
中部尿道後面にU 字型のポリプロピレンメッシュテープを恥骨後面から恥骨上皮下に留置する術式である2)(IV)。本邦では1999年2月よりTVTデバイスが使用可能となり,さらに2011 年8 月よりAdvantageTM,Advantage FitTMが使用可能である。
短期成績は80〜90%と良好で2,3)(IV),本邦の前向き多施設共同研究でも術後2年の客観的成功率77%,主観的成功率92%で4)(IV)患者満足度も高かった5)(IV)。Liapis らは術後5 年と7 年の客観的成功率および不成功率をそれぞれ83% と9.4%,80%と13.5%と報告し6)(IV),Nilssonらは術後11年の主観的成功率を77%と報告しており7)(IV),中長期成績も良好で経時的再発率が低い。
Ward らは,TVT 手術(175 例)と(経腹的)恥骨後式膀胱頸部挙上術であるBurch手術(169 例)の前向きRCT において,術後6 カ月の客観的成功率は66% 対57%で有意差がなかったと報告した8)(I)。膀胱穿孔は9%対2%(p<0.013)でTVT手術に多かったが,術後排尿困難はBurch 手術に多く,手術時間,入院期間,日常生活復帰に要する期間はBurch 手術で長かった。術後5 年の成績も,欠落データが多いもののTVT 手術(72 例)とBurch 手術(49 例)の成績は81% 対90% で有意差がなかったと報告した9)(II)。
TVT 手術の合併症は,大規模の研究論文(2,795 例,1,455 例,809 例)において重大合併症の発生率は低く,膀胱穿孔は2.7〜3.9% で,骨盤臓器脱や尿失禁に対する手術の既往を有する症例で有意に高率であった10-12)(IV)。テープ挿入や術後排尿困難に関連する再手術率は1.6〜2.4% であった。骨盤内血腫は0.7〜1.9% で多くは治療を必要としなかったが,塞栓術や手術を要する大血管損傷も報告されている12-15)(IV,V)。腸管穿孔は3論文(5,059例)中1例のみであったが10)(IV),症例報告は近年もなおみられる13,16,17)(V)。また,まれではあるが閉鎖神経損傷や尿管損傷もみられる13)(V)。術後に出現する尿意切迫感(de novo urgency)は術後5年で9.4%,7年で11.4%との報告がある6)(IV)。Lleberia-JuanósらはTVT手術(243例)とTOT 手術(123 例)におけるde novo urgency の発生頻度に関する前向き比較試験において,術後12 カ月(22.2% 対11.2%,p=0.025),24 カ月(24.8% 対12.3%,p=0.033),36 カ月(24.7% 対0%,p=0.034)とTVT 手術において有意に高頻度であったと報告している18)(I)。
また,Mazouni らは,20% で性機能が悪化し,14.5% で性交痛,5.4% で性欲低下がみられたと報告した19)(V)。Angioliらは,TVT手術後不満足症例の37.5%に性交痛または性交時尿失禁を認め,手術による性機能障害がQOL に影響を与えるとした20)(II)。
Deng らは,2001〜2005 年の間に米国Food and Drug Administration(FDA)のManufacturer and User Facility Device Experience(MAUDE)Database に報告された中部尿道スリング手術に関する928 例の合併症例中161 例が重大合併症であったとし,TVT 症例に2 例の死亡例を含む32 例の血管損傷と6 例の死亡例を含む33 例の腸管損傷があったことを報告した21)(V)。同期間に文献検索で得られた重大合併症は1% 未満であったが,実際にはもっと多いことが予想される。
Cochrane Review によれば,TVT 手術における腟から恥骨上へのアプローチ(bottom-to-top approach)と恥骨上から腟へのアプローチ(top-to-bottom approach)の比較では,主観的成功率は85% 対77%,客観的成功率は92% 対87% とともに良好であった22)。膀胱,尿道穿孔は4.7% 対8.5% と腟から恥骨上へのアプローチで有意に少なく,排尿困難,腟壁テープびらん,テープ露出も腟から恥骨上へのアプローチで少なかった22)。
短期成績は80〜90%と良好で2,3)(IV),本邦の前向き多施設共同研究でも術後2年の客観的成功率77%,主観的成功率92%で4)(IV)患者満足度も高かった5)(IV)。Liapis らは術後5 年と7 年の客観的成功率および不成功率をそれぞれ83% と9.4%,80%と13.5%と報告し6)(IV),Nilssonらは術後11年の主観的成功率を77%と報告しており7)(IV),中長期成績も良好で経時的再発率が低い。
Ward らは,TVT 手術(175 例)と(経腹的)恥骨後式膀胱頸部挙上術であるBurch手術(169 例)の前向きRCT において,術後6 カ月の客観的成功率は66% 対57%で有意差がなかったと報告した8)(I)。膀胱穿孔は9%対2%(p<0.013)でTVT手術に多かったが,術後排尿困難はBurch 手術に多く,手術時間,入院期間,日常生活復帰に要する期間はBurch 手術で長かった。術後5 年の成績も,欠落データが多いもののTVT 手術(72 例)とBurch 手術(49 例)の成績は81% 対90% で有意差がなかったと報告した9)(II)。
TVT 手術の合併症は,大規模の研究論文(2,795 例,1,455 例,809 例)において重大合併症の発生率は低く,膀胱穿孔は2.7〜3.9% で,骨盤臓器脱や尿失禁に対する手術の既往を有する症例で有意に高率であった10-12)(IV)。テープ挿入や術後排尿困難に関連する再手術率は1.6〜2.4% であった。骨盤内血腫は0.7〜1.9% で多くは治療を必要としなかったが,塞栓術や手術を要する大血管損傷も報告されている12-15)(IV,V)。腸管穿孔は3論文(5,059例)中1例のみであったが10)(IV),症例報告は近年もなおみられる13,16,17)(V)。また,まれではあるが閉鎖神経損傷や尿管損傷もみられる13)(V)。術後に出現する尿意切迫感(de novo urgency)は術後5年で9.4%,7年で11.4%との報告がある6)(IV)。Lleberia-JuanósらはTVT手術(243例)とTOT 手術(123 例)におけるde novo urgency の発生頻度に関する前向き比較試験において,術後12 カ月(22.2% 対11.2%,p=0.025),24 カ月(24.8% 対12.3%,p=0.033),36 カ月(24.7% 対0%,p=0.034)とTVT 手術において有意に高頻度であったと報告している18)(I)。
また,Mazouni らは,20% で性機能が悪化し,14.5% で性交痛,5.4% で性欲低下がみられたと報告した19)(V)。Angioliらは,TVT手術後不満足症例の37.5%に性交痛または性交時尿失禁を認め,手術による性機能障害がQOL に影響を与えるとした20)(II)。
Deng らは,2001〜2005 年の間に米国Food and Drug Administration(FDA)のManufacturer and User Facility Device Experience(MAUDE)Database に報告された中部尿道スリング手術に関する928 例の合併症例中161 例が重大合併症であったとし,TVT 症例に2 例の死亡例を含む32 例の血管損傷と6 例の死亡例を含む33 例の腸管損傷があったことを報告した21)(V)。同期間に文献検索で得られた重大合併症は1% 未満であったが,実際にはもっと多いことが予想される。
Cochrane Review によれば,TVT 手術における腟から恥骨上へのアプローチ(bottom-to-top approach)と恥骨上から腟へのアプローチ(top-to-bottom approach)の比較では,主観的成功率は85% 対77%,客観的成功率は92% 対87% とともに良好であった22)。膀胱,尿道穿孔は4.7% 対8.5% と腟から恥骨上へのアプローチで有意に少なく,排尿困難,腟壁テープびらん,テープ露出も腟から恥骨上へのアプローチで少なかった22)。
(2)Transobturator tape(TOT)手術
Stress urinary incontinence(腹圧性尿失禁)とmid-urethral sling(中部尿道スリング手術),transobturator tape(TOT)をキーワードとして検索し,このうちの13 編に2001 年以前の論文1 編を加えて合計14 編を引用した。
推奨グレード:A
短期の客観的成功率は80〜90%,主観的成功率も約90% と良好で患者満足度も高く,TVT 手術の成績と同等とされるが(レベル1),客観的成功率がTVT 手術と比べてやや劣るとの報告もある(レベル2)。重篤な合併症はまれで,膀胱穿孔,排尿困難,出血量もTVT 手術に比べて少ない。術後に持続する疼痛の可能性がある。
TVT 手術における重篤な合併症を回避する術式として,2001 年Delorme によって報告された経閉鎖孔式中部尿道スリング手術である23)(IV)。Delormeは閉鎖孔から腟へアプローチする(outside-in)タイプのTOT 手術を発表した。その後,de Levalが膀胱損傷や尿道損傷を回避する目的で腟から閉鎖孔へアプローチする(inside-out)術式を報告した24)(IV)。本邦では2012年9月よりoutside-inタイプのMonarcTMが使用可能である。
Meschia らは,TVT 手術とTOT 手術(inside-out タイプのTVT-O)のRCT で術後6 カ月の成績において客観的成功率92% 対89%,主観的成功率92% 対87% で有意差なしと報告し25)(I),Rinneらも同様に客観的成功率95.5%対93.1%で有意差なしと報告した26)(I)。Richterらは,TVT手術(298例)とTOT手術(299例,TVT-OまたはMonarcTM)の多施設共同同等性試験を行い,術後12 カ月の客観的成功率は80.8% 対77.7% で同等,主観的成功率は62.2% 対55.8% で両群間に統計学的有意差はないが同等とはいえず,患者満足度は85.9% 対90% で有意差はなかったと報告した27)(I)。FreemanらはTOT手術(MonarcTM 92例)とTVT手術(100例)の前向き多施設共同RCT を行い,術後12 カ月の腹圧性尿失禁消失はそれぞれ63.4%,65.5%で,TOT手術はTVT手術に対して非劣性であった28)(II)。Dyrkornらは,多施設共同前向きコホート研究でTVT 手術(4,281 例)とTOT 手術(TVT-O 731 例,TOT 373 例)を比較し,平均観察期間8 カ月においてTVT 手術で客観的尿失禁量が少なく患者満足度が高かったが,膀胱穿孔,血腫形成が多かったと報告した29)(III)。ただし,本研究はRCT ではなく,learning curve 途上の術者が含まれ,客観的評価が十分行われていない。
TOT手術の合併症発生率は低く,膀胱穿孔は0.4%であった30,31)(IV)。再手術率は0.8〜2.2%,血腫形成は2,543例中1例であった30)(IV)。尿道損傷は0.08〜0.1%であったが,多くの論文で尿道損傷の発生率に関する記述はなかった。TOT 手術ではTVT手術と比較して腟壁損傷30)(IV)と術後大腿部痛22)が起こりやすい。TVT手術(207 例)対TVT-O 手術(570 例)の横断的研究では,膀胱穿孔は5.4% 対0.6%(p=0.001),血腫形成は9.1% 対1.5%(p=0.001)でTVT 手術に多く,腟壁穿孔は0%対3.8%(p=0.044)でTOT手術に多かった32)(III)。多くの大腿部痛は4週間以内に軽快するが,持続する症例もある33)(V)。
Elzevier らは,TOT(outside-in タイプのOB-TAPE®)手術およびTVT-O 手術を受けた性的活動を有する女性(77 例)の19.2% で性交痛が改善,10.3% で悪化し,腟の狭小化による疼痛がTOT群で多かったと報告した34)(V)。TVT手術(257例)とTOT 手術(180 例,MonarcTM,TVT-O)における後ろ向きコホート研究では,術後性交痛はTOT手術群での1%のみであった35)(V)。
Cochrane Review によれば,TOT 手術とTVT 手術の比較において,客観的成功率は84% 対88%(RR 0.96,95% CI: 0.93〜0.99,17 試験,2,434 例)でTOT 手術で低いが,主観的成功率はともに約83% で有意差はなかった(RR 1.00,95% CI: 0.96〜1.05,10 試験,1,281 例)22)。また,術後排尿困難(4% 対7%),膀胱穿孔(0.3% 対5.5%),出血量はTOT 手術で有意に少なかったが,大腿部痛(12% 対1.7%)はTOT手術で多かった22)。
Meschia らは,TVT 手術とTOT 手術(inside-out タイプのTVT-O)のRCT で術後6 カ月の成績において客観的成功率92% 対89%,主観的成功率92% 対87% で有意差なしと報告し25)(I),Rinneらも同様に客観的成功率95.5%対93.1%で有意差なしと報告した26)(I)。Richterらは,TVT手術(298例)とTOT手術(299例,TVT-OまたはMonarcTM)の多施設共同同等性試験を行い,術後12 カ月の客観的成功率は80.8% 対77.7% で同等,主観的成功率は62.2% 対55.8% で両群間に統計学的有意差はないが同等とはいえず,患者満足度は85.9% 対90% で有意差はなかったと報告した27)(I)。FreemanらはTOT手術(MonarcTM 92例)とTVT手術(100例)の前向き多施設共同RCT を行い,術後12 カ月の腹圧性尿失禁消失はそれぞれ63.4%,65.5%で,TOT手術はTVT手術に対して非劣性であった28)(II)。Dyrkornらは,多施設共同前向きコホート研究でTVT 手術(4,281 例)とTOT 手術(TVT-O 731 例,TOT 373 例)を比較し,平均観察期間8 カ月においてTVT 手術で客観的尿失禁量が少なく患者満足度が高かったが,膀胱穿孔,血腫形成が多かったと報告した29)(III)。ただし,本研究はRCT ではなく,learning curve 途上の術者が含まれ,客観的評価が十分行われていない。
TOT手術の合併症発生率は低く,膀胱穿孔は0.4%であった30,31)(IV)。再手術率は0.8〜2.2%,血腫形成は2,543例中1例であった30)(IV)。尿道損傷は0.08〜0.1%であったが,多くの論文で尿道損傷の発生率に関する記述はなかった。TOT 手術ではTVT手術と比較して腟壁損傷30)(IV)と術後大腿部痛22)が起こりやすい。TVT手術(207 例)対TVT-O 手術(570 例)の横断的研究では,膀胱穿孔は5.4% 対0.6%(p=0.001),血腫形成は9.1% 対1.5%(p=0.001)でTVT 手術に多く,腟壁穿孔は0%対3.8%(p=0.044)でTOT手術に多かった32)(III)。多くの大腿部痛は4週間以内に軽快するが,持続する症例もある33)(V)。
Elzevier らは,TOT(outside-in タイプのOB-TAPE®)手術およびTVT-O 手術を受けた性的活動を有する女性(77 例)の19.2% で性交痛が改善,10.3% で悪化し,腟の狭小化による疼痛がTOT群で多かったと報告した34)(V)。TVT手術(257例)とTOT 手術(180 例,MonarcTM,TVT-O)における後ろ向きコホート研究では,術後性交痛はTOT手術群での1%のみであった35)(V)。
Cochrane Review によれば,TOT 手術とTVT 手術の比較において,客観的成功率は84% 対88%(RR 0.96,95% CI: 0.93〜0.99,17 試験,2,434 例)でTOT 手術で低いが,主観的成功率はともに約83% で有意差はなかった(RR 1.00,95% CI: 0.96〜1.05,10 試験,1,281 例)22)。また,術後排尿困難(4% 対7%),膀胱穿孔(0.3% 対5.5%),出血量はTOT 手術で有意に少なかったが,大腿部痛(12% 対1.7%)はTOT手術で多かった22)。
(3)Single-incision mini-sling(SIMS)手術
Stress urinary incontinence(腹圧性尿失禁)とmid-urethral sling(中部尿道スリング手術),single-incision sling/mini-sling 手術をキーワードとして検索し,このうちの4編に2012 年以降の論文2 編を加えて合計6 編を引用した。
推奨グレード:保留(未承認)
短期の治療成績は中部尿道スリング手術と同等との報告もあるが(レベル2),主観的成功率,客観的成功率ともに低いとする報告が多い(レベル2)。SIMS 手術には数種類あり,今後,各術式について他の中部尿道スリング手術と比較したRCT が必要である。
経皮的にテープを通さずに腟壁を1 カ所のみ切開し,短いテープを留置して中部尿道を支える第3 世代の中部尿道スリング手術として2006 年に紹介された。本邦で承認されたキットはない。
SIMS 手術(MiniArcTM 75 例)とTOT 手術(MonarcTM 56 例)との比較において,術後1年の治療成績は85%対89%で同等との報告がある36)(V)。しかし,最近のSIMS 手術(TVT SecurTM U 型)とTVT 手術とのRCT では,術後12 カ月の主観的成功率は同等(55.8% 対60.8%)であったが,術後に残存した尿失禁はSIMS 手術でより重症であった(p<0.025)37)(I)。また,Abdel-Fattahらは,RCT 9件のメタアナリシス(758 例,平均観察期間9.5 カ月)で,標準的な中部尿道スリング手術に比しSIMS 手術は6〜12 カ月の客観的成功率,主観的成功率ともに有意に低かったと報告した38)(I)。また,SIMS手術は有意に手術時間が短く,術後1日目の疼痛スコアが低く,術後大腿部痛が少なかったが,再手術と術後に出現する切迫性尿失禁は有意に高かった。Walsh は,学会発表も含む10 研究(1,178 例)においてSIMS 手術(TVT SecurTM)の術後12 カ月の客観的成功率,主観的成功率はともに76% と報告している39)。合併症は腟壁穿孔1.5%,メッシュびらん2.4%,尿路感染症4.4%,性交痛1% で,術後1 年以内に5% が残存あるいは再発した腹圧性尿失禁に対して再手術を受けた。
SIMS手術でも尿閉,血腫,腟壁穿孔は発生し40)(IV),膀胱内メッシュ露出および腟壁メッシュ露出による尿道腟瘻も起こることが報告された41)(V)。
SIMS 手術には数種類あり,同一の結果として論じることはできない可能性がある。結論を出すには中部尿道スリング手術との大規模なRCT や長期成績の検討が求められる。
SIMS 手術(MiniArcTM 75 例)とTOT 手術(MonarcTM 56 例)との比較において,術後1年の治療成績は85%対89%で同等との報告がある36)(V)。しかし,最近のSIMS 手術(TVT SecurTM U 型)とTVT 手術とのRCT では,術後12 カ月の主観的成功率は同等(55.8% 対60.8%)であったが,術後に残存した尿失禁はSIMS 手術でより重症であった(p<0.025)37)(I)。また,Abdel-Fattahらは,RCT 9件のメタアナリシス(758 例,平均観察期間9.5 カ月)で,標準的な中部尿道スリング手術に比しSIMS 手術は6〜12 カ月の客観的成功率,主観的成功率ともに有意に低かったと報告した38)(I)。また,SIMS手術は有意に手術時間が短く,術後1日目の疼痛スコアが低く,術後大腿部痛が少なかったが,再手術と術後に出現する切迫性尿失禁は有意に高かった。Walsh は,学会発表も含む10 研究(1,178 例)においてSIMS 手術(TVT SecurTM)の術後12 カ月の客観的成功率,主観的成功率はともに76% と報告している39)。合併症は腟壁穿孔1.5%,メッシュびらん2.4%,尿路感染症4.4%,性交痛1% で,術後1 年以内に5% が残存あるいは再発した腹圧性尿失禁に対して再手術を受けた。
SIMS手術でも尿閉,血腫,腟壁穿孔は発生し40)(IV),膀胱内メッシュ露出および腟壁メッシュ露出による尿道腟瘻も起こることが報告された41)(V)。
SIMS 手術には数種類あり,同一の結果として論じることはできない可能性がある。結論を出すには中部尿道スリング手術との大規模なRCT や長期成績の検討が求められる。
●尿道括約筋不全症例における中部尿道スリング手術の治療成績
Mid-urethral sling(中部尿道スリング手術)とintrinsic sphincter deficiency(ISD,尿道括約筋不全)をキーワードとして検索し,このうちの18 編に2001 年以前および2012 年以降の論文2 編を加えて合計20 編を引用した。
尿道括約筋不全症例における治療成績はTVT 手術,TOT 手術ともに尿道括約筋不全のない症例に比べて低く,TOT 手術はTVT 手術と比較すると同等か,若干劣るという報告が多い。
大規模研究は2 件あり,Schraffordt Koops らは多施設共同研究で計809 例にTVT手術を行い,2 年後の咳,くしゃみ,運動時の尿失禁において成功率は尿道括約筋不全66.7%,非尿道括約筋不全67.5%で同等だったと報告した42)(IV)。一方,Stavらは,TVT 手術(955 例)とTOT 手術(270 例)で計1,225 例が参加した研究を行い,最大尿道閉鎖圧(maximum urethral closure pressure: MUCP)20 cmH2O 以下または腹圧下漏出時圧(abdominal leak point pressure: ALPP)60 cmH2O 以下を尿道括約筋不全として,低MUCP と低ALPP はそれぞれ独立した中部尿道スリング手術不成功の予測因子になるとした43)(I)。
小規模研究では,TVT 手術において尿道括約筋不全は高い不成功率にはならなかったとの報告がある44-46)(IV)一方,尿道括約筋不全は不成功のリスク因子になるとの報告もある47,48)(IV)。
TOT 手術に関しては,少数例ではあるが尿道括約筋不全による差はないとの報告がある49,50)(IV)一方,Gueretteらは,バルサルバ(Valsalva)漏出時圧(VLPP)>60 cmH2OかつMUCP>40 cmH2Oで成功する確率が高くなると報告した51)(IV)。Haliloglu らは,尿道過可動に尿道括約筋不全が合併するか否かで術後24 カ月の成績が87.5% 対96.4% と差があり,尿道括約筋不全とfixed urethra が66.7% と最も成績が悪かったと報告した52)(IV)。本邦における多施設共同前向き試験でも,TOT手術(140 例,MonarcTM)の術後3〜6 カ月の成績においてMUCP 20 cmH2O 未満またはVLPP 60 cmH2O 未満の尿道括約筋不全合併例では尿道過可動に比し成功率が低かった53)(IV)。
術式間の比較では,Houwert らはTVT 手術(214 例)とTOT 手術(173 例)を比較し,MUCP 20 cmH2O 未満の尿道括約筋不全(31 例)において不成功はTVT 手術では26 例中4 例,TOT 手術では5 例中4 例と報告したが,尿道括約筋不全の症例数がきわめて少ない研究であった54)(II)。Jeonらは,VLPP 60 cmH2O未満またはMUCP 20 cmH2O 未満を尿道括約筋不全としてpubovaginal sling(87 例),TVT 手術(94 例),TOT 手術(72 例)を比較し,術後2 年の累積成功率はそれぞれ87.25%,86.94%,34.89% で有意差があり(p<0.0001),TOT 手術は尿道括約筋不全を有する腹圧性尿失禁には適さないと結論した55)(II)。また,Schierlitzらは,尿道括約筋不全においてTOT 手術では再手術になる確率がTVT 手術の2.6 倍高いと結論し56)(II),Güngördük らも,ALPP 60 cmH2O 未満またはMUCP 20 cmH2O 未満の症例では,平均31.2±9.1 カ月の観察期間において,成功率はTVT 手術(180 例)で78.3%,TOT 手術(120 例)で52.5% であり(p<0.0001),TOT はTVT の4.9 倍不成功率が高かったと報告した57)(I)。TomoeはTVT手術とTOT手術の後ろ向き比較研究で,TOT 手術成功例のMUCP はTVT 手術より有意に高く(p<0.01),MUCP 30 cmH2O以下の症例でTVT手術のほうが成功率が高い可能性を報告している58)(V)。
一方,Rapp らはVLPP 60 cmH2O 未満の尿道括約筋不全でTVT 手術(97 例,SPARCTM)とTOT手術(39例,MonarcTM)の成功率は76%対77%で同等とし59)(V),Costantini らも,TVT 手術(70 例)とTOT 手術(75 例)においてVLPP 60 cmH2O 以下の尿道括約筋不全で客観的成功率に有意差はないと報告した60)(II)。最近ではRichter らが,TVT 手術とTOT 手術の術後12 カ月の評価における多施設共同同等性試験で,VLPP やMUCP で補正しても両群間の治療成績に有意な差はなかったと報告した27)(I)。しかし,対象のVLPP,MUCPは有意にTVT手術群で低かったというものの,両群とも平均VLPP が110 cmH2O 以上,平均MUCP が66 cmH2O 以上と高値であった。
尿道括約筋不全や治療成功の定義ならびに評価法が異なることや大規模研究が少ないために結論は出ていない。
小規模研究では,TVT 手術において尿道括約筋不全は高い不成功率にはならなかったとの報告がある44-46)(IV)一方,尿道括約筋不全は不成功のリスク因子になるとの報告もある47,48)(IV)。
TOT 手術に関しては,少数例ではあるが尿道括約筋不全による差はないとの報告がある49,50)(IV)一方,Gueretteらは,バルサルバ(Valsalva)漏出時圧(VLPP)>60 cmH2OかつMUCP>40 cmH2Oで成功する確率が高くなると報告した51)(IV)。Haliloglu らは,尿道過可動に尿道括約筋不全が合併するか否かで術後24 カ月の成績が87.5% 対96.4% と差があり,尿道括約筋不全とfixed urethra が66.7% と最も成績が悪かったと報告した52)(IV)。本邦における多施設共同前向き試験でも,TOT手術(140 例,MonarcTM)の術後3〜6 カ月の成績においてMUCP 20 cmH2O 未満またはVLPP 60 cmH2O 未満の尿道括約筋不全合併例では尿道過可動に比し成功率が低かった53)(IV)。
術式間の比較では,Houwert らはTVT 手術(214 例)とTOT 手術(173 例)を比較し,MUCP 20 cmH2O 未満の尿道括約筋不全(31 例)において不成功はTVT 手術では26 例中4 例,TOT 手術では5 例中4 例と報告したが,尿道括約筋不全の症例数がきわめて少ない研究であった54)(II)。Jeonらは,VLPP 60 cmH2O未満またはMUCP 20 cmH2O 未満を尿道括約筋不全としてpubovaginal sling(87 例),TVT 手術(94 例),TOT 手術(72 例)を比較し,術後2 年の累積成功率はそれぞれ87.25%,86.94%,34.89% で有意差があり(p<0.0001),TOT 手術は尿道括約筋不全を有する腹圧性尿失禁には適さないと結論した55)(II)。また,Schierlitzらは,尿道括約筋不全においてTOT 手術では再手術になる確率がTVT 手術の2.6 倍高いと結論し56)(II),Güngördük らも,ALPP 60 cmH2O 未満またはMUCP 20 cmH2O 未満の症例では,平均31.2±9.1 カ月の観察期間において,成功率はTVT 手術(180 例)で78.3%,TOT 手術(120 例)で52.5% であり(p<0.0001),TOT はTVT の4.9 倍不成功率が高かったと報告した57)(I)。TomoeはTVT手術とTOT手術の後ろ向き比較研究で,TOT 手術成功例のMUCP はTVT 手術より有意に高く(p<0.01),MUCP 30 cmH2O以下の症例でTVT手術のほうが成功率が高い可能性を報告している58)(V)。
一方,Rapp らはVLPP 60 cmH2O 未満の尿道括約筋不全でTVT 手術(97 例,SPARCTM)とTOT手術(39例,MonarcTM)の成功率は76%対77%で同等とし59)(V),Costantini らも,TVT 手術(70 例)とTOT 手術(75 例)においてVLPP 60 cmH2O 以下の尿道括約筋不全で客観的成功率に有意差はないと報告した60)(II)。最近ではRichter らが,TVT 手術とTOT 手術の術後12 カ月の評価における多施設共同同等性試験で,VLPP やMUCP で補正しても両群間の治療成績に有意な差はなかったと報告した27)(I)。しかし,対象のVLPP,MUCPは有意にTVT手術群で低かったというものの,両群とも平均VLPP が110 cmH2O 以上,平均MUCP が66 cmH2O 以上と高値であった。
尿道括約筋不全や治療成功の定義ならびに評価法が異なることや大規模研究が少ないために結論は出ていない。
●混合性尿失禁症例に対する中部尿道スリング手術の治療成績
Mid-urethral sling(中部尿道スリング手術)とmixed urinary incontinence(混合性尿失禁)をキーワードとして検索し,このうちの12 編を引用した。
混合性尿失禁のうち腹圧性尿失禁成分に対する治療効果は腹圧性尿失禁単独症例に対する効果と同等である。腹圧性尿失禁が優位な混合性尿失禁の場合,尿意切迫感や切迫性尿失禁は半数以上の症例で消失または改善し,排尿筋過活動も約半数で消失する。腹圧性尿失禁が優位な症例は,そうでない症例に比べて治癒率が高いとする報告が多い。
Jain らは,総合的主観的成功率56.4%(34.9±22.9 カ月),腹圧性尿失禁の治癒率85〜97%,尿意切迫感(urgency)や切迫性尿失禁の治癒率は30〜85% であったとレビューした61)(I)。また,TVT手術対TOT手術の総合的主観的成功率(6〜33カ月)は同等とした。TVT 手術による混合性尿失禁の治癒率は,腹圧性尿失禁優位な混合性尿失禁に比し切迫性尿失禁優位な混合性尿失禁で低かった(80% 対52%)。
Duckett らは,排尿筋過活動を有する混合性尿失禁(35 例)に対するTVT 手術後,51% で過活動膀胱消失,46% で排尿筋過活動消失,尿流動態性腹圧性尿失禁は92%で客観的改善が認められたと報告した62)(IV)。Abdel-Fattahらは,TOT手術(TVT-O 35 例対Aris® 42 例)の術後1 年で切迫性尿失禁57.4%,尿意切迫感52% が治癒63)(II),Tahseenらは,TOT手術後(44例)13カ月で切迫性尿失禁79%が改善以上64)(V),Tomoeらは,排尿筋過活動のない混合性尿失禁(44例)に対するTOT(MonarcTM)手術後3 カ月で切迫性尿失禁治癒79.6%,改善15.9%,尿意切迫感治癒45%,改善31%と報告した53)(IV)。Leeらは,中部尿道スリング手術後平均50カ月で腹圧性尿失禁+尿意切迫感(754 例)の60% で尿意切迫感が,腹圧性尿失禁+切迫性尿失禁(514 例)の68% で切迫性尿失禁が治癒したと報告し,術後尿意切迫感が続くリスク因子として排尿筋過活動,症状の重症度,年齢を,切迫性尿失禁が続くリスク因子として排尿筋過活動,症状の重症度,尿失禁手術の既往をあげた65)(IV)。
術式間の比較では,Paick らは排尿筋過活動のない混合性尿失禁に対してTVT 手術(72 例),suprapubic arc sling 手術(22 例),TOT 手術(50 例)を行い,平均10.9カ月において腹圧性尿失禁治癒率はそれぞれ95.8%,90.0%,94.0%,切迫性尿失禁治癒率はそれぞれ81.9%,86.4%,82.0% であったとし,低MUCP(最大尿道閉鎖圧)と排尿筋過活動は術後切迫性尿失禁が治癒しない独立したリスク因子となると報告した66)(III)。Botrosらは,TOT(MonarcTM),TVT,SPARCTMの術後3カ月で排尿筋過活動の消失はそれぞれ48%,40%,32%,術後9 カ月での切迫性尿失禁の消失はそれぞれ65%,48%,43% だったとし,術後に出現する切迫性尿失禁はTOT 手術で少なかったが,排尿筋過活動や切迫性尿失禁の消失率と術後に出現する排尿筋過活動は3群間で有意差なしと報告した67)(V)。KudishらもTOT対TVTで切迫性尿失禁の治癒や改善に差はなかったとしたが68)(V),Gambleらは排尿筋過活動の消失はTOT 手術で47% と最も高く,次いでSPARCTM で34%,TVT 手術で36% と報告した69)(V)。
Kulseng-Hanssen らは,混合性尿失禁450 例において,TVT 手術による治癒率はそれぞれ,優位に煩わしい症状が腹圧性尿失禁で80%,切迫性尿失禁で52%,腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁が同等のもので60% であったことから,腹圧性尿失禁優位の混合性尿失禁は切迫性尿失禁優位や腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁が同等に煩わしい症例より高い治癒率となるとした70)(IV)。また,Choeらは,腹圧性尿失禁が尿意切迫感に先行してあった症例では,排尿筋過活動による症状の改善に手術が有効である可能性があるとした71)(IV)。
各研究によって混合性尿失禁の評価方法が異なること,腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の各成分割合の評価法がないこと,排尿筋過活動に関する情報が少ないことなどのために術式間での相違については十分なエビデンスはない。
Duckett らは,排尿筋過活動を有する混合性尿失禁(35 例)に対するTVT 手術後,51% で過活動膀胱消失,46% で排尿筋過活動消失,尿流動態性腹圧性尿失禁は92%で客観的改善が認められたと報告した62)(IV)。Abdel-Fattahらは,TOT手術(TVT-O 35 例対Aris® 42 例)の術後1 年で切迫性尿失禁57.4%,尿意切迫感52% が治癒63)(II),Tahseenらは,TOT手術後(44例)13カ月で切迫性尿失禁79%が改善以上64)(V),Tomoeらは,排尿筋過活動のない混合性尿失禁(44例)に対するTOT(MonarcTM)手術後3 カ月で切迫性尿失禁治癒79.6%,改善15.9%,尿意切迫感治癒45%,改善31%と報告した53)(IV)。Leeらは,中部尿道スリング手術後平均50カ月で腹圧性尿失禁+尿意切迫感(754 例)の60% で尿意切迫感が,腹圧性尿失禁+切迫性尿失禁(514 例)の68% で切迫性尿失禁が治癒したと報告し,術後尿意切迫感が続くリスク因子として排尿筋過活動,症状の重症度,年齢を,切迫性尿失禁が続くリスク因子として排尿筋過活動,症状の重症度,尿失禁手術の既往をあげた65)(IV)。
術式間の比較では,Paick らは排尿筋過活動のない混合性尿失禁に対してTVT 手術(72 例),suprapubic arc sling 手術(22 例),TOT 手術(50 例)を行い,平均10.9カ月において腹圧性尿失禁治癒率はそれぞれ95.8%,90.0%,94.0%,切迫性尿失禁治癒率はそれぞれ81.9%,86.4%,82.0% であったとし,低MUCP(最大尿道閉鎖圧)と排尿筋過活動は術後切迫性尿失禁が治癒しない独立したリスク因子となると報告した66)(III)。Botrosらは,TOT(MonarcTM),TVT,SPARCTMの術後3カ月で排尿筋過活動の消失はそれぞれ48%,40%,32%,術後9 カ月での切迫性尿失禁の消失はそれぞれ65%,48%,43% だったとし,術後に出現する切迫性尿失禁はTOT 手術で少なかったが,排尿筋過活動や切迫性尿失禁の消失率と術後に出現する排尿筋過活動は3群間で有意差なしと報告した67)(V)。KudishらもTOT対TVTで切迫性尿失禁の治癒や改善に差はなかったとしたが68)(V),Gambleらは排尿筋過活動の消失はTOT 手術で47% と最も高く,次いでSPARCTM で34%,TVT 手術で36% と報告した69)(V)。
Kulseng-Hanssen らは,混合性尿失禁450 例において,TVT 手術による治癒率はそれぞれ,優位に煩わしい症状が腹圧性尿失禁で80%,切迫性尿失禁で52%,腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁が同等のもので60% であったことから,腹圧性尿失禁優位の混合性尿失禁は切迫性尿失禁優位や腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁が同等に煩わしい症例より高い治癒率となるとした70)(IV)。また,Choeらは,腹圧性尿失禁が尿意切迫感に先行してあった症例では,排尿筋過活動による症状の改善に手術が有効である可能性があるとした71)(IV)。
各研究によって混合性尿失禁の評価方法が異なること,腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の各成分割合の評価法がないこと,排尿筋過活動に関する情報が少ないことなどのために術式間での相違については十分なエビデンスはない。
●骨盤臓器脱修復手術と同時に施行した腹圧性尿失禁手術の治療成績
Pelvic organ prolapse(骨盤臓器脱),stress urinary incontinence(腹圧性尿失禁),concomitant operation(同時手術)をキーワードとして検索し,このうちの12 編に2012 年以降の論文1 編を加えて合計13 編を引用した。
骨盤臓器脱と腹圧性尿失禁を有する症例において骨盤臓器脱修復手術を同時に行うことで尿失禁手術の成績に大きな影響はない。両者を一期的に治療できるメリットがあるが,術後の排尿困難が増加する可能性がある。
腹圧性尿失禁は骨盤臓器脱の約40%と高率に合併する72)(III)。
骨盤臓器脱を合併した腹圧性尿失禁に対して骨盤臓器脱の修復と尿失禁手術を同時に行った成績に関しては,腟閉鎖術と中部尿道スリング手術73,74)(III,V),前腟壁形成術と中部尿道スリング手術75)(III),メッシュを利用した骨盤臓器脱修復術であるTVM手術と中部尿道スリング手術76)(III)など,種々の組み合わせの報告がある。
腹圧性尿失禁手術に骨盤臓器脱手術を同時に行うことで尿失禁手術の成績に影響がなかったとする報告もあるが77)(V),腹圧性尿失禁手術単独で行った場合に比して尿失禁および骨盤臓器脱に対する再手術率は有意に少ないものの,術後の下部尿路閉塞の比率が有意に高くなるというメタアナリシスがあり78)(I),骨盤臓器脱手術を同時に行うと,腹圧性尿失禁手術単独に比して有意に術後の尿排出困難や下部尿路症状が多いとする報告もある79)(V)。また,混合性尿失禁に対しては同時手術のほうが腹圧性尿失禁手術単独より術後のQOLがよいとの報告がある80)(II)。
一方,骨盤臓器脱症例の約30% にみられる潜在性の腹圧性尿失禁に対しては,骨盤臓器脱手術と同時に行うことにより術後の尿禁制に有意によい成績を得ることができるという報告がある81,82)(I,II)。
また,骨盤臓器脱修復を行うことで腹圧性尿失禁が消失する症例があることから,このような患者に骨盤臓器脱修復と腹圧性尿失禁手術とを二期的に行うという選択肢もある。一期的に行った群と二期的に行った群との比較では,最終的な尿禁制率に差がないとの結果である。骨盤臓器脱手術のみで25% 程度の症例で腹圧性尿失禁が消失し,尿失禁手術を回避できる可能性がある83,84)(II,III)。
Borstad らは,多施設RCT で骨盤臓器脱と腹圧性尿失禁に対して手術を同時に行った群(87 例)と3 カ月間をおいて手術を二期的に行った群(94 例)との間で,最後の手術の1年後に成績を評価,比較した83)(II)。腹圧性尿失禁に対する手術はTVT 手術を選択し,骨盤臓器脱に対する手術としてはメッシュを用いない術式のうち各施設で通常行っている術式を用いた。腹圧性尿失禁は一期的に行った群の95%,二期的に行った群の89% で治癒し,有意差を認めなかった(p=0.12)。また,骨盤臓器脱の手術のみで27% の症例で腹圧性尿失禁が消失した。
一期的に行うメリットは,高率に術後の尿禁制が得られることであり,二期的に行うメリットは,不必要な尿失禁手術を回避できることである。一方,一期的に行うデメリットは,術後の排尿困難が発生する可能性が増加することであり,二期的に行うデメリットは,術後に腹圧性尿失禁が残存あるいは新たに出現した場合,2度手術を受ける必要があることである。
骨盤臓器脱を合併した腹圧性尿失禁に対して骨盤臓器脱の修復と尿失禁手術を同時に行った成績に関しては,腟閉鎖術と中部尿道スリング手術73,74)(III,V),前腟壁形成術と中部尿道スリング手術75)(III),メッシュを利用した骨盤臓器脱修復術であるTVM手術と中部尿道スリング手術76)(III)など,種々の組み合わせの報告がある。
腹圧性尿失禁手術に骨盤臓器脱手術を同時に行うことで尿失禁手術の成績に影響がなかったとする報告もあるが77)(V),腹圧性尿失禁手術単独で行った場合に比して尿失禁および骨盤臓器脱に対する再手術率は有意に少ないものの,術後の下部尿路閉塞の比率が有意に高くなるというメタアナリシスがあり78)(I),骨盤臓器脱手術を同時に行うと,腹圧性尿失禁手術単独に比して有意に術後の尿排出困難や下部尿路症状が多いとする報告もある79)(V)。また,混合性尿失禁に対しては同時手術のほうが腹圧性尿失禁手術単独より術後のQOLがよいとの報告がある80)(II)。
一方,骨盤臓器脱症例の約30% にみられる潜在性の腹圧性尿失禁に対しては,骨盤臓器脱手術と同時に行うことにより術後の尿禁制に有意によい成績を得ることができるという報告がある81,82)(I,II)。
また,骨盤臓器脱修復を行うことで腹圧性尿失禁が消失する症例があることから,このような患者に骨盤臓器脱修復と腹圧性尿失禁手術とを二期的に行うという選択肢もある。一期的に行った群と二期的に行った群との比較では,最終的な尿禁制率に差がないとの結果である。骨盤臓器脱手術のみで25% 程度の症例で腹圧性尿失禁が消失し,尿失禁手術を回避できる可能性がある83,84)(II,III)。
Borstad らは,多施設RCT で骨盤臓器脱と腹圧性尿失禁に対して手術を同時に行った群(87 例)と3 カ月間をおいて手術を二期的に行った群(94 例)との間で,最後の手術の1年後に成績を評価,比較した83)(II)。腹圧性尿失禁に対する手術はTVT 手術を選択し,骨盤臓器脱に対する手術としてはメッシュを用いない術式のうち各施設で通常行っている術式を用いた。腹圧性尿失禁は一期的に行った群の95%,二期的に行った群の89% で治癒し,有意差を認めなかった(p=0.12)。また,骨盤臓器脱の手術のみで27% の症例で腹圧性尿失禁が消失した。
一期的に行うメリットは,高率に術後の尿禁制が得られることであり,二期的に行うメリットは,不必要な尿失禁手術を回避できることである。一方,一期的に行うデメリットは,術後の排尿困難が発生する可能性が増加することであり,二期的に行うデメリットは,術後に腹圧性尿失禁が残存あるいは新たに出現した場合,2度手術を受ける必要があることである。
b. 筋膜スリング手術(fascial suburethral sling)
Stress urinary incontinence(腹圧性尿失禁)とfascial sling(筋膜スリング手術)をキーワードとして検索し,このうちの3 編に2001 年以前の論文2 編を加えて合計5 編を引用した。ほとんどの研究のエビデンスは中等度で,6〜24 カ月の短期観察であった。
推奨グレード:B
治療成績は,中部尿道スリング手術,恥骨後式膀胱頸部拳上術と同等であるが,手術時間,入院期間が長く,排尿困難,尿路感染症の頻度が高い(レベル1)。尿道括約筋不全にも適応がある。
腹直筋膜や大腿筋膜などを用いて膀胱頸部または尿道を支えることで尿禁制を得る手術である。
腹直筋膜スリング手術とBurch 法との術後2 年の比較では,成功率は66% 対49%(p<0.001)で腹直筋膜スリング手術が有効であったが,尿路感染症,排尿困難,術後切迫性尿失禁は多かった85)(I)。TVT手術とのRCT 4件ではいずれもTVT手術と成功率は同等であったが,TVT手術で手術時間や入院期間が短かった85)(I)。Guerrero らは,Pelvicol®(Acellular Collagen Matrix)sling 手術,自己筋膜スリング手術,TVT 手術のRCT で,術後6 カ月の改善率(73% 対92% 対95%),術後1 年の改善率(61% 対93% 対90%),尿禁制率(22% 対55% 対48%)はともにPelvicol® sling 手術で低かったが,筋膜スリング手術とTVT 手術には有意差がなかったと報告した86)(II)。筋膜スリング手術はあらゆるタイプの腹圧性尿失禁に有効で87)(V),尿道括約筋不全に対する短期成績も90%以上と報告されている88)(V)。
Cochrane Review によれば,傍尿道注入術と比較して効果的であり,コストも安かった89)。経腹的膀胱頸部挙上術と比較して,1 年後の患者報告の尿失禁はスリング手術でより低かった。しかし,膀胱頸部挙上術で周術期合併症がより少なく,カテーテル留置期間が短く,排尿困難が少なかった。また,膀胱頸部挙上術に比べ膀胱穿孔のリスクが20% 低かったが,尿路感染症が50% 高率であった。中部尿道スリング手術と比較して短期間では同様の効果であったが,中部尿道スリング手術で手術時間が短く,膀胱穿孔を除く周術期合併症が少なく,術後排尿困難や蓄尿症状が少なかった。材料においては自己腹直筋膜が他の生体材料に比べ,術後1 年の患者報告の尿失禁改善率が高かった。Gore-tex® では合併症が多かった89)。
腹直筋膜スリング手術とBurch 法との術後2 年の比較では,成功率は66% 対49%(p<0.001)で腹直筋膜スリング手術が有効であったが,尿路感染症,排尿困難,術後切迫性尿失禁は多かった85)(I)。TVT手術とのRCT 4件ではいずれもTVT手術と成功率は同等であったが,TVT手術で手術時間や入院期間が短かった85)(I)。Guerrero らは,Pelvicol®(Acellular Collagen Matrix)sling 手術,自己筋膜スリング手術,TVT 手術のRCT で,術後6 カ月の改善率(73% 対92% 対95%),術後1 年の改善率(61% 対93% 対90%),尿禁制率(22% 対55% 対48%)はともにPelvicol® sling 手術で低かったが,筋膜スリング手術とTVT 手術には有意差がなかったと報告した86)(II)。筋膜スリング手術はあらゆるタイプの腹圧性尿失禁に有効で87)(V),尿道括約筋不全に対する短期成績も90%以上と報告されている88)(V)。
Cochrane Review によれば,傍尿道注入術と比較して効果的であり,コストも安かった89)。経腹的膀胱頸部挙上術と比較して,1 年後の患者報告の尿失禁はスリング手術でより低かった。しかし,膀胱頸部挙上術で周術期合併症がより少なく,カテーテル留置期間が短く,排尿困難が少なかった。また,膀胱頸部挙上術に比べ膀胱穿孔のリスクが20% 低かったが,尿路感染症が50% 高率であった。中部尿道スリング手術と比較して短期間では同様の効果であったが,中部尿道スリング手術で手術時間が短く,膀胱穿孔を除く周術期合併症が少なく,術後排尿困難や蓄尿症状が少なかった。材料においては自己腹直筋膜が他の生体材料に比べ,術後1 年の患者報告の尿失禁改善率が高かった。Gore-tex® では合併症が多かった89)。
c. 経腹的恥骨後式膀胱頸部挙上術(open abdominal retropubic colposuspension)
Stress urinary incontinence(腹圧性尿失禁)とcolposuspension(膀胱頸部挙上術または腟壁挙上術)をキーワードとして検索し,このうちの3 編に2001 年以前の論文2編を加えて合計5 編を引用した。単独の長期成績を評価した論文は2002 年以降はなかった。
推奨グレード:A
現在の一般的術式はBurch 法(またはmodified Burch 法)であり,短長期ともに客観的,主観的成功率は良好である(レベル1)。尿道過可動症例がよい適応で,尿道括約筋不全症例では成功率が低いとされる(レベル4)。
経腹的恥骨後式膀胱頸部(または腟壁)挙上術は,下腹部切開にて膀胱前腔に入り,傍尿道および膀胱頸部周囲組織と腟前壁を恥骨後面の骨膜〔Marshall-Marchetti-Krantz(MMK)法〕やCooper 靭帯(Burch 法)に縫い付け膀胱頸部を挙上することで尿道過可動を防ぐ手術である。
Burch 法は,2〜7 年の経過観察においてMMK 法と同等な成績(客観的成功率80% 対65%,主観的成功率92% 対85%)を示し,かつMMK 法に比し有意に入院期間や自然排尿までの期間が短く合併症も少なかった90)(II)。Burch法とTVT手術とのRCT では,術後6 カ月と5 年における客観的成功率(57% 対66%,90% 対81%)に有意差はなかった8,9)(I,II)。
経腹的恥骨後式膀胱頸部挙上術は尿道過可動症例はよい適応であるが,尿道括約筋不全症例では成功率が低い(不成功率:18%対54%)との報告がある91)(IV)。
Cochrane Review によれば,長期にわたり有効で,術後1 年では86〜90%,5 年では約70% の尿禁制を期待できるとされる92)。前腟壁形成術や針式膀胱頸部挙上術と比較して客観的成績は1 年以内,1〜5 年,5 年以上ともに良好であった。中部尿道スリング手術と比較してすべての時期において成功率に有意差はなかった。Burch 法はMMK 法に比し1〜5 年の観察期間において成功率が高かった。
Burch 法は,2〜7 年の経過観察においてMMK 法と同等な成績(客観的成功率80% 対65%,主観的成功率92% 対85%)を示し,かつMMK 法に比し有意に入院期間や自然排尿までの期間が短く合併症も少なかった90)(II)。Burch法とTVT手術とのRCT では,術後6 カ月と5 年における客観的成功率(57% 対66%,90% 対81%)に有意差はなかった8,9)(I,II)。
経腹的恥骨後式膀胱頸部挙上術は尿道過可動症例はよい適応であるが,尿道括約筋不全症例では成功率が低い(不成功率:18%対54%)との報告がある91)(IV)。
Cochrane Review によれば,長期にわたり有効で,術後1 年では86〜90%,5 年では約70% の尿禁制を期待できるとされる92)。前腟壁形成術や針式膀胱頸部挙上術と比較して客観的成績は1 年以内,1〜5 年,5 年以上ともに良好であった。中部尿道スリング手術と比較してすべての時期において成功率に有意差はなかった。Burch 法はMMK 法に比し1〜5 年の観察期間において成功率が高かった。
d. 腹腔鏡下恥骨後式膀胱頸部挙上術(laparoscopic retropubic colposuspension)
Stress urinary incontinence(腹圧性尿失禁)とlaparoscopic colposuspension(腹腔鏡下恥骨後式膀胱頸部または腟壁挙上術)をキーワードとして検索し,このうちの6 編を引用した。
推奨グレード:B
短期成績は客観的,主観的成功率ともに良好であるが(レベル2),経腹的恥骨後式膀胱頸部挙上術やTVT 手術に比し,やや低下するとの報告もある。
腹腔鏡下に恥骨後式膀胱頸部(または腟壁)挙上術(主にBurch 法)を行う術式である。
術後2 年の成績は,経腹的手術に比し,客観的成功率(79.7% 対70.1%),主観的成功率(満足度54.9%対54.6%,症状55.4%対53.1%)ともに非劣性であったが93)(I),術後10年では両術式ともに成功率が低下した94)(III)。
TVT 手術との比較では,術後2 年の客観的,主観的成功率はともに82.6% で同等95)(II),または術後1年の尿流動態性腹圧性尿失禁(urodynamic SUI)はTVT手術で優れていたとの報告があるが(尿失禁:18.8%対3.2%)96)(II),術後4〜8年では腹腔鏡下手術で58%,TVT手術で48%がなんらかの尿失禁を有していた97)(II)。腹腔鏡下恥骨後式膀胱頸部挙上術はlearning curve の長さやコスト面に課題がある。
Cochrane Review によれば,経腹的膀胱頸部挙上術と比較して主観的成功率は両術式とも同等であったが,短期および中期観察において腹腔鏡下手術の客観的成功率が低かった98)。周術期合併症や術後疼痛が少なく,入院日数が短い傾向にあったが,コストが高かった。TVT 手術との比較では,短期,長期ともに主観的成功率に有意差はなかったが,18 カ月における客観的成功率がTVT 手術で優れていた98)。術後排尿困難や周術期合併症に有意差はなかったが,手術時間と入院期間は有意に長かった。傍腟壁縫合は2 縫合のほうが1 縫合に比べ,術後1 年の客観的成功率,主観的成功率ともに高かった98)。
術後2 年の成績は,経腹的手術に比し,客観的成功率(79.7% 対70.1%),主観的成功率(満足度54.9%対54.6%,症状55.4%対53.1%)ともに非劣性であったが93)(I),術後10年では両術式ともに成功率が低下した94)(III)。
TVT 手術との比較では,術後2 年の客観的,主観的成功率はともに82.6% で同等95)(II),または術後1年の尿流動態性腹圧性尿失禁(urodynamic SUI)はTVT手術で優れていたとの報告があるが(尿失禁:18.8%対3.2%)96)(II),術後4〜8年では腹腔鏡下手術で58%,TVT手術で48%がなんらかの尿失禁を有していた97)(II)。腹腔鏡下恥骨後式膀胱頸部挙上術はlearning curve の長さやコスト面に課題がある。
Cochrane Review によれば,経腹的膀胱頸部挙上術と比較して主観的成功率は両術式とも同等であったが,短期および中期観察において腹腔鏡下手術の客観的成功率が低かった98)。周術期合併症や術後疼痛が少なく,入院日数が短い傾向にあったが,コストが高かった。TVT 手術との比較では,短期,長期ともに主観的成功率に有意差はなかったが,18 カ月における客観的成功率がTVT 手術で優れていた98)。術後排尿困難や周術期合併症に有意差はなかったが,手術時間と入院期間は有意に長かった。傍腟壁縫合は2 縫合のほうが1 縫合に比べ,術後1 年の客観的成功率,主観的成功率ともに高かった98)。
e. 前腟壁形成術(anterior colporrhaphy)
Stress urinary incontinence(腹圧性尿失禁)とanterior vaginal repair,anterior colporrhaphy(前腟壁形成術)をキーワードとして検索したが,腹圧性尿失禁に対する成績に関する論文は2002 年以降なく,Cochrane Review 1 編に他の2 編を加えて合計3 編を引用した。
推奨グレード:D
腹圧性尿失禁に対する術式としては行うべきでない。
膀胱頸部周囲の組織を縫縮するKelly 法を含め,経腟的に恥頸筋膜を縫縮する手術である。初期成功率は90%と高いが,長期成績は65%とされる99)(IV)。膀胱瘤を合併した腹圧性尿失禁に対して施行し,不成功率27%との報告がある100)(III)。
Cochrane Review によれば,針式膀胱頸部挙上術とは術後1 年の成績は同等であった101)。経腹的膀胱頸部挙上術との比較では患者報告の中長期の成功率が低く,多くの再手術を必要とする傾向があった。
Cochrane Review によれば,針式膀胱頸部挙上術とは術後1 年の成績は同等であった101)。経腹的膀胱頸部挙上術との比較では患者報告の中長期の成功率が低く,多くの再手術を必要とする傾向があった。
f. 針式膀胱頸部挙上術(needle bladder neck suspension)
Stress urinary incontinence(腹圧性尿失禁)とneedle suspension(針式膀胱頸部挙上術)をキーワードとして検索し,このうちの3 編を引用した。
推奨グレード:D
中長期成績が不良で,腹圧性尿失禁に対する術式として行うべきでない。
下腹部,腟前壁の小切開のみで,長針を用いて非吸収糸により膀胱頸部を挙上することで尿道過可動を防ぐ手術である(Pereyra 法,Stamey 法,Raz 法,Gittes 法)。
平均37 カ月(12〜84 カ月)の成績は完全尿禁制42%,改善42%,不成功17% との報告102)(IV)や長期(11〜16年)の成績は客観的成功率56%,主観的成功率41%,患者満足に基づく完全尿禁制38%,改善30%であまりよくないという報告103)(IV)がある。経時的再発率が高く,腹圧性尿失禁に対する手術としては現在行われていない。Cochrane Review によれば,針式膀胱頸部挙上術は経腹的恥骨後式膀胱頸部挙上術に比べ不成功例が多く,術後1 年の主観的不成功率はそれぞれ29% 対16%であった104)。周術期合併症は23% 対16% で両手術間に有意差はなかった。
平均37 カ月(12〜84 カ月)の成績は完全尿禁制42%,改善42%,不成功17% との報告102)(IV)や長期(11〜16年)の成績は客観的成功率56%,主観的成功率41%,患者満足に基づく完全尿禁制38%,改善30%であまりよくないという報告103)(IV)がある。経時的再発率が高く,腹圧性尿失禁に対する手術としては現在行われていない。Cochrane Review によれば,針式膀胱頸部挙上術は経腹的恥骨後式膀胱頸部挙上術に比べ不成功例が多く,術後1 年の主観的不成功率はそれぞれ29% 対16%であった104)。周術期合併症は23% 対16% で両手術間に有意差はなかった。
g.尿道周囲注入術(periurethral injection of bulking agent)
Stress urinary incontinence(腹圧性尿失禁)とurethral bulking,urethral injection(尿道周囲注入術)をキーワードとして検索し,このうちの7 編に2001 年以前の論文3編と2012 年以降の論文2 編を加えて合計12 編を引用した。小規模,中等度の質の研究のみでエビデンスが不十分である。
推奨グレード:保留(未承認)
短期的には有効ではあるが,経時的再発が多い(レベル2)。現在,本邦で使用可能な注入剤はない。
膀胱頸部または近位尿道粘膜下に注入し,同部粘膜の密着閉鎖を図る手術で,尿道括約筋不全症例を適応とする。
尿道周囲注入術と他の外科的手術との比較では,外科的手術で客観的成功率が高かった105,106)(II)。GAXコラーゲン(glutaraldehyde cross-linked collagen,Contigen®)の成績は,有効ではあるが経時的再発率が高かった107,108)(IV)。シリコン粒子(Macroplastique®)はコラーゲンと同等以上の効果との報告がある109,110)(I,IV)。注入経路としては経尿道で術後排尿困難が少ない111)(II)。今後,自己幹細胞注入の臨床利用が期待される112)(IV)。
Macroplastique®(23 例)と経腹的恥骨後式膀胱頸部挙上術(22 例)の比較では,患者満足と主観的成功率は同等であったものの,術後6 カ月における客観的成功率は9% 対81%(p<0.001)と有意に膀胱頸部挙上術が優れ,62 カ月後の患者満足度も29%対69%(p=0.057)で膀胱頸部挙上術が優れていた105)(II)。尿道括約筋不全におけるMacroplastique®(122 例)とContigen®(125 例)との比較研究では,術後12 カ月の改善以上が61.5% 対48%,尿禁制が36.9% 対24.8%(p<0.05)でMacroplastique®がContigen®より有効であった109)(I)。また,改善以上のMacroplastique®症例は,術後24 カ月でも84% が成功を維持し,67% で尿禁制であり,比較的長期に効果が維持された110)(IV)。
傍尿道と経尿道の注入経路による比較では,成績および尿路感染症発生率は同等であったが,注入量は傍尿道法で有意に多く術後排尿困難が高率であった111)(II)。中部尿道または膀胱頸部へのコラーゲン注入では,術後10 カ月の成績は66.6% 対60%で患者満足度は同等とされたが113)(II),注入部位別効果に関するエビデンスは不足している。
近年Sèbe らは,三角筋生検から得た自己筋前駆細胞を12 例の鉛管状尿道の括約筋内に注入し,術後12 カ月に治癒3 例,改善7 例,悪化2 例という成績を報告した112)(IV)。将来的には筋肉由来幹細胞,脂肪由来幹細胞,骨髄由来間葉系幹細胞など自己幹細胞の注入114)が臨床上利用可能になると思われる。
Cochrane Review によれば,注入物質の比較研究は8 件あり,シリコン粒子(Macroplastique®),カルシウムハイドロキシアパタイト(Coaptite®),エチレンビニル・アルコール(Tegress®),炭素加工ジルコニウムビーズ(Durasphere®),デキストラノマー・ヒアルロン酸化合物(Zuidex®)は尿失禁を改善したが,GAX コラーゲン(Contigen®)に勝る効果はなかった115)。
自己脂肪組織の注入とプラセボの比較研究は,安全性の問題で早期に終了となった。Contigen® はウシ海綿状脳症(bovine spongiform encephalopathy: BSE)の感染リスク,Zuidex® は注入部位の合併症の多さのために販売中止となった。Contigen® の長期成績は,3,12,24 カ月の主観的成功率が86%,77%,68%,客観的成功率が61%,54%,48%であったとの報告107)(IV)や,5年で26%の主観的改善であったとの報告108)(IV)があり,有効ではあるものの経時的再発率が高い。Durasphere®は6 カ月では76.9% で改善したが,12 カ月では33% に低下し,局所および遠位のリンパ節への迷入が観察されたとの報告がある116)(IV)。本邦では2009年にContigen®が販売中止になって以降,使用可能な注入剤はない。現在FDA で認可されているのは,Durasphere®,Coaptite®,Macroplastique® の3 種類である。
尿道周囲注入術と他の外科的手術との比較では,外科的手術で客観的成功率が高かった105,106)(II)。GAXコラーゲン(glutaraldehyde cross-linked collagen,Contigen®)の成績は,有効ではあるが経時的再発率が高かった107,108)(IV)。シリコン粒子(Macroplastique®)はコラーゲンと同等以上の効果との報告がある109,110)(I,IV)。注入経路としては経尿道で術後排尿困難が少ない111)(II)。今後,自己幹細胞注入の臨床利用が期待される112)(IV)。
Macroplastique®(23 例)と経腹的恥骨後式膀胱頸部挙上術(22 例)の比較では,患者満足と主観的成功率は同等であったものの,術後6 カ月における客観的成功率は9% 対81%(p<0.001)と有意に膀胱頸部挙上術が優れ,62 カ月後の患者満足度も29%対69%(p=0.057)で膀胱頸部挙上術が優れていた105)(II)。尿道括約筋不全におけるMacroplastique®(122 例)とContigen®(125 例)との比較研究では,術後12 カ月の改善以上が61.5% 対48%,尿禁制が36.9% 対24.8%(p<0.05)でMacroplastique®がContigen®より有効であった109)(I)。また,改善以上のMacroplastique®症例は,術後24 カ月でも84% が成功を維持し,67% で尿禁制であり,比較的長期に効果が維持された110)(IV)。
傍尿道と経尿道の注入経路による比較では,成績および尿路感染症発生率は同等であったが,注入量は傍尿道法で有意に多く術後排尿困難が高率であった111)(II)。中部尿道または膀胱頸部へのコラーゲン注入では,術後10 カ月の成績は66.6% 対60%で患者満足度は同等とされたが113)(II),注入部位別効果に関するエビデンスは不足している。
近年Sèbe らは,三角筋生検から得た自己筋前駆細胞を12 例の鉛管状尿道の括約筋内に注入し,術後12 カ月に治癒3 例,改善7 例,悪化2 例という成績を報告した112)(IV)。将来的には筋肉由来幹細胞,脂肪由来幹細胞,骨髄由来間葉系幹細胞など自己幹細胞の注入114)が臨床上利用可能になると思われる。
Cochrane Review によれば,注入物質の比較研究は8 件あり,シリコン粒子(Macroplastique®),カルシウムハイドロキシアパタイト(Coaptite®),エチレンビニル・アルコール(Tegress®),炭素加工ジルコニウムビーズ(Durasphere®),デキストラノマー・ヒアルロン酸化合物(Zuidex®)は尿失禁を改善したが,GAX コラーゲン(Contigen®)に勝る効果はなかった115)。
自己脂肪組織の注入とプラセボの比較研究は,安全性の問題で早期に終了となった。Contigen® はウシ海綿状脳症(bovine spongiform encephalopathy: BSE)の感染リスク,Zuidex® は注入部位の合併症の多さのために販売中止となった。Contigen® の長期成績は,3,12,24 カ月の主観的成功率が86%,77%,68%,客観的成功率が61%,54%,48%であったとの報告107)(IV)や,5年で26%の主観的改善であったとの報告108)(IV)があり,有効ではあるものの経時的再発率が高い。Durasphere®は6 カ月では76.9% で改善したが,12 カ月では33% に低下し,局所および遠位のリンパ節への迷入が観察されたとの報告がある116)(IV)。本邦では2009年にContigen®が販売中止になって以降,使用可能な注入剤はない。現在FDA で認可されているのは,Durasphere®,Coaptite®,Macroplastique® の3 種類である。
h.人工尿道括約筋(artificial urinary sphincter: AUS)
Stress urinary incontinence(腹圧性尿失禁)とartificial urinary sphincter(人工尿道括約筋)をキーワードとして検索し,このうちの3 編を引用した。
推奨グレード:C1
前述の尿失禁手術無効症例や二分脊椎などによる重症な尿道括約筋不全症例などの限られた症例が適応となる(レベル3)。機能不全やデバイス摘出が必要になる可能性がある。
主にAMS 800TMを膀胱頸部に植え込む手術である。
Chung らは単施設で47 例に人工尿道括約筋植え込み術を施行し,平均13.5 年(3〜25 年)の観察期間において,8 例がびらんや感染のために摘出,16 例が1 回,4例が2回の人工尿道括約筋再植え込み術を受けたと報告した117)(V)。再手術の90% が器械の機能不全によるものであった。術後100 カ月の機能維持率は80% 以上であり,これらの症例の59% がパッド不使用であった。Mandron らは腹腔鏡下に人工尿道括約筋植え込み術を25 例に施行し,平均26.1 カ月(2〜51 カ月)の観察期間において完全尿禁制19例,1日1回のパッド使用4例と報告した118)(IV)。
Cochrane Review によれば,2 件の小規模研究では無治療と比較し人工尿道括約筋植え込み術がより有効であったが,結論を出すまでのエビデンスはなかった119)。デバイス単独,行動療法(骨盤底筋訓練)単独,行動療法とデバイスの3 群間で比較し,3 カ月後にはデバイス単独群で脱落が多かったが,12 カ月後では全評価において群間差はなかった。
本邦では,2012 年に承認された。今後,国内での治療効果の検討が必要である。
Chung らは単施設で47 例に人工尿道括約筋植え込み術を施行し,平均13.5 年(3〜25 年)の観察期間において,8 例がびらんや感染のために摘出,16 例が1 回,4例が2回の人工尿道括約筋再植え込み術を受けたと報告した117)(V)。再手術の90% が器械の機能不全によるものであった。術後100 カ月の機能維持率は80% 以上であり,これらの症例の59% がパッド不使用であった。Mandron らは腹腔鏡下に人工尿道括約筋植え込み術を25 例に施行し,平均26.1 カ月(2〜51 カ月)の観察期間において完全尿禁制19例,1日1回のパッド使用4例と報告した118)(IV)。
Cochrane Review によれば,2 件の小規模研究では無治療と比較し人工尿道括約筋植え込み術がより有効であったが,結論を出すまでのエビデンスはなかった119)。デバイス単独,行動療法(骨盤底筋訓練)単独,行動療法とデバイスの3 群間で比較し,3 カ月後にはデバイス単独群で脱落が多かったが,12 カ月後では全評価において群間差はなかった。
本邦では,2012 年に承認された。今後,国内での治療効果の検討が必要である。
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2) 過活動膀胱・低コンプライアンス膀胱に対する膀胱拡大術(augmentation)
Overactive bladder(OAB,過活動膀胱),augmentation(膀胱拡大術)をキーワードとして検索し,3 編の総説を得た。これに他の論文3 編を加えて6 編を引用した。
推奨グレード:C1
他の治療が無効で,上部尿路障害のある場合,もしくは尿失禁のために社会生活に著しい障害をきたす場合が適応となる(レベル5)。
行動療法や薬物療法,ボツリヌス毒素注入など,他の治療がすべて無効で,上部尿路障害のある場合,もしくは尿失禁のために社会生活に著しい障害をきたす場合が適応となる1-3)。
蓄尿期の膀胱内圧を減弱するために,膀胱を広範囲に切開し,回腸または結腸を用いて膀胱を拡大する。本方法は有効ではあるが4)(V),間欠自己導尿を要することが多く,短期・長期的に重症な合併症を生じうる。自家膀胱拡大術(autoaugmentationまたはdetrusor myectomy)は,膀胱筋層を切除し膀胱粘膜のみを残して憩室のように膨らませる。いくつかの良好な報告があるが5,6)(V),長期有効性に十分なエビデンスはない。
蓄尿期の膀胱内圧を減弱するために,膀胱を広範囲に切開し,回腸または結腸を用いて膀胱を拡大する。本方法は有効ではあるが4)(V),間欠自己導尿を要することが多く,短期・長期的に重症な合併症を生じうる。自家膀胱拡大術(autoaugmentationまたはdetrusor myectomy)は,膀胱筋層を切除し膀胱粘膜のみを残して憩室のように膨らませる。いくつかの良好な報告があるが5,6)(V),長期有効性に十分なエビデンスはない。
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