(旧版)女性下部尿路症状診療ガイドライン

 
3 疫学とQOL
疫学については,female lower urinary tract symptoms(女性下部尿路症状) とepidemiology(疫学)をキーワードとして検索し,検出された189 編の文献のうち,女性下部尿路症状(female LUTS)に関する住民ベースの調査25 編,リスク因子に関する調査5 編を選択した。さらに,incontinence(失禁),pelvic organ prolapse(骨盤臓器脱)をキーワードとして検出された文献など20 編を追加した。QOL(quality of life,生活の質)については,female lower urinary tract symptoms(女性下部尿路症状),pelvic organ prolapse(骨盤臓器脱),quality of life をキーワードとして検索し,検出された211 論文のうち,女性下部尿路症状,および骨盤臓器脱関連下部尿路症状におけるQOL 評価において,適切な75 編を選択した。このうち疫学とQOL で6 編が重複するため合計119 編の論文を引用し,ガイドライン1 編を加えた。
要約
多数の中高年女性が下部尿路症状を有している。本邦では60 歳以上の男女の約78% がなんらかの下部尿路症状を有し,その頻度は夜間頻尿,昼間頻尿が高く,女性では尿勢低下,腹圧性尿失禁,尿意切迫感,切迫性尿失禁,残尿感,膀胱痛がそれに続く。下部尿路症状の男女に共通したリスク因子として,加齢,生活習慣病と関連する要因があるが,女性では,それに加えて,解剖学的性差による骨盤底脆弱化が重要である。骨盤底脆弱化に関連する腹圧性尿失禁,骨盤臓器脱のリスク因子では,加齢,分娩,肥満などが指摘される。
下部尿路症状,なかでも女性でより多い蓄尿症状はQOL を大きく低下させる。下部尿路症状やそれに関連する骨盤臓器脱などの疾患のQOL 評価には,妥当性の検証された質問票を用いることが望ましい。


 

 
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