(旧版)女性下部尿路症状診療ガイドライン
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診療アルゴリズム
専門的診療のアルゴリズム

❶ | 骨盤底の理学的評価を腹圧負荷時も含めて行い,尿道過可動,骨盤臓器脱の有無と程度を評価する。「診断:2. 診察」の項を参照されたい。尿路・骨盤部の画像評価・尿流動態検査については,「診断:3. 検査」の項を参照されたい。これらの所見と治療方針を患者に説明し,治療に関する希望を確認する。 |
❷ | その他の下部尿路疾患の例:再発性尿路感染症,間質性膀胱炎(間質性膀胱炎診療ガイドライン4)参照),膀胱癌,膀胱結石,膀胱・尿道腟瘻,膀胱・尿道憩室,神経因性膀胱,心因性頻尿など。 |
❸ | 混合性尿失禁には腹圧性尿失禁が優位なものと切迫性尿失禁(過活動膀胱症状)が優位なものがある。基本的には,それぞれ優位な症状に対する治療を選択する。 |
❹ | 難治性過活動膀胱には,初期診療における行動療法,薬物療法,電気・磁気刺激療法が無効であり,尿流動態検査で重度の膀胱容量減少,排尿筋過活動を認める場合が含まれる。 |
❺ | 専門的診療における行動療法は,専門医による生活指導,膀胱訓練,骨盤底筋訓練(バイオフィードバック療法を含む)から成る。薬物療法は,専門医による治療薬の選択と用量変更,あるいは併用療法から成る。電気・磁気刺激療法には,経腟的・経肛門的あるいは経皮的電気刺激治療,磁気刺激治療と,より侵襲的な体内埋め込み式装置による治療がある。干渉低周波療法は,電気刺激療法に属するものであり,本邦で保険適応が認められた唯一の経皮的電気刺激治療法である。これらの保存的療法を必要に応じて行う。詳細については「治療:1.行動療法 4)電気・磁気刺激療法」の項を参照されたい。 CQ6 CQ7 参照 |
❻ | 尿道周囲注入術は尿道括約筋不全症例を適応とするが,現在本邦で使用可能な注入剤はない。詳細については「治療:3. 手術療法」の項を参照されたい。 |
❼ | ボツリヌス毒素注入術は難治性過活動膀胱に有用であるが,本邦では臨床研究として行われている段階であり,保険適応未承認である。詳細については「治療:2. 薬物療法」の項を参照されたい。 CQ9 参照 |