精巣腫瘍診療ガイドライン 2015年版
Column3 |
化学療法後の後腹膜リンパ節廓清における神経温存について
化学療法後の後腹膜リンパ節廓清は、難易度の高い、高侵襲の手術になることが多い。また、逆行性射精という、男性にとって QOL を大きく損なうリスクがあり、full template か modified template か、神経を温存するかしないかが常に議論となってきた。
欧米のガイドラインでは、基本的には開腹手術/full template で行い、化学療法開始時の腫瘍径が小さい場合は modified template も考慮しうるとされている。また、神経温存に関しては、両ガイドラインともに可能なら温存するべきと記載されている。
若年、壮年男性に発生する腫瘍という性格を考えると、可能な限り神経温存を試みる必要があると考えられる。
ただし、化学療法開始時の腫瘍の大きさ・広がりを鑑みず、温存のために modified template を選択することは避けなければならない。
以上から、原則的には開腹による full template RPLND を行い、可能な限り神経温存を試みる。ごく限られた症例では modified template も選択しうる、と考えておくのが良いと思われる。
文献
1) | Guidelines on Testicular Cancer, European Association of Urology. |
2) | NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology, Testicular Cancer. |