精巣腫瘍診療ガイドライン 2015年版
第1版 序
この度、三木恒治委員長のもと、精巣腫瘍診療ガイドラインが作成され、いよいよ刊行されることになりました。泌尿器科領域のがん診療ガイドラインとしては、前立腺癌、腎癌、膀胱癌に続くものとなります。
精巣腫瘍は、われわれが日常接する頻度はそれほど高いものではありませんが、泌尿器科領域の他腫瘍と違って乳幼児期と青壮年期に好発し、極めて進行が早いという特徴があり、その診療においては、迅速な臨床診断と正しい病理組織診断および病期診断が不可欠です。また、精巣腫瘍の治療における化学療法、放射線療法の役割は極めて大きく、特に化学療法の進歩は目覚ましいものがあります。転移を有する患者さんでも、適切な時期に、適切に化学療法を行い、手術療法や放射線療法を必要に応じて適切に併用していくことで、高率に治癒が期待できるようになってきました。しかし、いったんこれらの診断や治療の種類・時期を誤ると、大きく予後を損なう危険もあり、集学的治療を行うには、十分な知識と他科との連携、さらには高度な診断・治療設備が必要です。したがって、われわれ泌尿器科医の責任は極めて大きく、この診療ガイドラインの果たす役割も大きいと思います。適切な診療を実践するために、外来、病棟において本書を大いに活用していただければ幸いです。
最後に、本ガイドラインの作成にご尽力いただきました諸先生方に厚く御礼申し上げます。
平成 21 年 10 月
社団法人日本泌尿器科学会
理事長 内藤 誠二