(旧版)ED診療ガイドライン 2012年版

 
7 診断

1 基本評価

1)診察室の環境など

わが国では,特にプライバシーの確保と時間の確保が問題である。外部に音の漏れない診察室で,十分な時間をかけ,くつろいだ雰囲気での診察が望ましい。
パートナーを評価・治療方針の決定に関与させることが望ましい。初診時にパートナーが同伴していない場合は,次回診察時に同伴してもらうことが望ましい。くつろいだ雰囲気での診察により,性歴,特に患者の気が付いていない問題点の聴取が容易になる。そして,本人とパートナーに対して診断方法や治療方法の説明も容易になる。

2)病歴

過去と現在の性的関係,現在の感情,発症と経過,治療歴を聴取する。
性的刺激時の勃起および早朝勃起時の陰茎硬度と持続時間を記載する。性欲,射精,オルガズムについても記載する。
心理的要因や対人関係(たとえば,不安,うつ状態,悩みなど)も原因として重要である。異性間の対人関係が原因の背景にある可能性があるので,過去および現在のパートナーとの関係についても注意深く問診する必要がある。
なお,心理的要因の把握に際して,自己記入式の心理テスト〔Cornell Medical Index(CMI 健康調査票),Taylor のManifest Anxiety Scale(MAS),Self-Rating Questionnairefor Depression(SRQ-D)〕などを用いると有用であるという報告もある1)

3)勃起機能問診票

問診の際には,SHIM2)付録2参照)を使用すると有用である。また,ある種の治療効果判定にも有用である。

4)合併症

前述のリスクファクターにあげた疾患以外にも,前立腺全摘除術などの骨盤内の手術および後腹膜,脊椎,脊髄の手術,骨盤や後腹膜の放射線療法,中枢神経系疾患(多発性硬化症,パーキンソン病,腫瘍,脳卒中,椎間板ヘルニア,脊髄疾患など),末梢性疾患(糖尿病,アルコール依存症,腎臓病,多発性神経炎など),排尿障害(IPSS を使用,付録3参照),睡眠障害などをチェックする。
器質性か心因性かを鑑別するうえで,心血管系疾患の存在の有無は重要である。

5)薬物・嗜好品

リスクファクターの章で記載した薬剤以外の薬剤でも薬剤性EDの可能性はあること,治療の第一選択であるPDE5阻害薬に対して禁忌となる薬剤もあることから,すべてもれなくチェックする。喫煙,飲酒についても聞く。

6)運動

どのような運動(散歩,ジョギング,ゴルフ,自転車など)をどれくらいの時間,どれくらいの頻度で行うかを聞く。これは,運動不足ではないかを確かめる目的とおおよその心機能を評価するためである。酸素需要に関しては,5-1 表63)を参照。

7)身体所見

身長/体重からBMI を計算,二次性徴のチェック,心血管系(血圧・脈)・神経学的チェック,外陰部のチェック(陰茎の変形/硬結,精巣の萎縮など),50歳以上なら前立腺の触診を行うことが望ましい(肥大症・癌のチェック)。

8)臨床検査

最近1年間のデータがなければ,検尿,随時血糖値などのリスクファクターに関係する項目をチェックする。
ED患者全例に対してホルモン検査することは推奨されない4)。性腺機能低下を疑わせる所見がある場合にのみ,ホルモン検査を行う。まず,午前中に総テストステロン値か遊離テストステロン値のいずれかを測定する(基準値は8-3 2)を参照)注)。テストステロンが低値の場合,プロラクチン値,黄体形成ホルモン(LH)値,卵胞刺激ホルモン(FSH)値の測定を追加する。
1,276名のED患者を調べた研究によると8),問診でEDの原因が診断されたものが57%,身体所見で診断されたものが13.9%,臨床検査で診断されたものが6.2%で合計77.1% がプライマリーケアのレベルで診断可能であった。残りの22.9% が以下に述べる特殊検査によって診断されている。
注) 国際的には総テストステロン値測定を推奨している5,6)が,わが国ではいわゆるLOH症候群の診断の際に参考とする「加齢男性性腺機能低下症候群診療の手引き」7)において遊離テストステロン値測定を推奨している。
 この章の参考文献一覧

 


 
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