(旧版)ED診療ガイドライン 2012年版

 
5 EDと心血管疾患

2 血管外科疾患とED
若年者に起こる腹部大動脈分岐部の慢性動脈閉塞性疾患で,EDを初発症状とすることが多い疾患として1948年にLericheが報告したLeriche症候群35)(注:abstractとしての初出は1923年)があるように,血管外科疾患とEDの関連は古くから知られている。Leriche 症候群によるEDは,腹部大動脈末梢部閉塞に伴い内腸骨動脈を経て,最終的には陰茎海綿体への動脈血の流入低下が原因と考えられている35)。Leriche 症候群で代表される大動脈-腸骨動脈の閉塞性疾患では,男性の30%以上にEDがみられる36)。これらの治療は,血行再建や最近では血管内治療が行われるが,内腸骨動脈への血流を考慮した血行再建の長期成績はきわめてよく36),臀部から下肢にかけての間欠性跛行を訴える症例では,ED併存の可能性に注意が必要であるとともに積極的な治療が有効である37)
大動脈再建手術にあたって神経温存手技を行ったFlanigan ら38)は,110名の患者に同手術法を施行し,術前に正常な勃起機能であった67名(61%)では勃起機能は温存され,術前にEDであった43名のうち13名(30%)が勃起機能を回復したと報告している。しかし,この研究での勃起機能の評価はvalidate された問診票を用いたものではなかった。最近になって,腹部大動脈瘤に対する開腹手術と血管内治療/ステント術後の勃起機能をIIEF で評価した報告がなされた39)。それによると,術前に勃起機能が正常であった61名(開腹手術群:36名,血管内治療/ステント術群:25名)において,開腹手術群では36名中10名(28%)が術後にEDと診断されたのに対して,血管内治療/ステント術群ではED発生は0名であった(p=0.003)。
以上より,大動脈- 腸骨動脈の再建手術の際に骨盤神経叢を傷つけず,かつ内腸骨動脈への血流を回復させるような手技を用いれば,勃起機能は維持されるし,場合によっては術前あったEDを回復させることもできる。また逆に,そのような手技が用いられなければ,術前保持されていた勃起機能を障害することもある40)
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