(旧版)ED診療ガイドライン 2012年版
4
EDのリスクファクター
10
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
SAS とEDとの関連性を示唆する疫学研究が多い。
SAS への治療により勃起機能が改善し,PDE5阻害薬の併用によりさらに勃起機能が改善する。
〔推奨グレードB〕

PDE5阻害薬が鼻閉を起こし,SAS の悪化をもたらすことがあり,治療の際には留意が必要である。
〔推奨グレードB〕

欧米での報告ではED患者1,025名のうち,apnea index 5以上の軽度の睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome: SAS)の合併率は43.8%,apnea index 15以上の中等度以上のSAS の合併率は19.6% を占めていた107)。一方で,SAS のうちIIEF で25点以下のEDの合併率は68.8%,またSAS がないとEDの合併率は34% であった。多変量解析ではSAS のsurrogate maker である夜間酸素飽和度の低下が独立したEDの危険因子であった108)。また,SAS のうち48% で射精障害や性欲低下が合併することも報告されている109)。一方で,いびきなどのSAS を疑う自覚症状のみでの評価ではEDとの関連性がなかった報告もある110)。
一般的にはSAS は高血圧,糖尿病,虚血性心疾患,肥満,加齢などとの関連性も深い。しかし,わが国においては十分なSAS とEDとの関連性についてのデータはない。SAS は肥満と関連性が高いが,わが国では肥満度が中等度でもSAS の合併率が高い点は留意して,SAS のスクリーニングを行うべきである111)。
17名のSAS を合併したED患者を経鼻的持続陽圧呼吸療法(nasal continuous positiveairway pressure: CPAP)で1カ月間SAS の治療をしたところ,13名でEDが改善した報告があり,CPAP 治療のみでEDの改善効果が期待できる112)。20名のED患者のうちSAS を合併した患者へCPAP を1カ月間実施し,継続できた17名でIIEF5が改善した113)。CPAP のみで長期的にはIIEF5の改善は20% 程度にとどまったが,SAS がより重症であることやCPAP 治療のコンプライアンスがよいことがCPAP 単独でのED改善予測因子であった114)。
40名のSAS 合併のED患者を対象として,PDE5阻害薬単独とPDE5阻害薬とCPAP 併用によるEDへの治療効果の比較では,PDE5阻害薬とCPAP との併用療法でそのED治療効果はさらに高くなる115)。一方で,シルデナフィルでは鼻閉を起こすことがあり,鼻閉によってSAS の悪化をもたらす可能性がある116,117)。
一般的にはSAS は高血圧,糖尿病,虚血性心疾患,肥満,加齢などとの関連性も深い。しかし,わが国においては十分なSAS とEDとの関連性についてのデータはない。SAS は肥満と関連性が高いが,わが国では肥満度が中等度でもSAS の合併率が高い点は留意して,SAS のスクリーニングを行うべきである111)。
17名のSAS を合併したED患者を経鼻的持続陽圧呼吸療法(nasal continuous positiveairway pressure: CPAP)で1カ月間SAS の治療をしたところ,13名でEDが改善した報告があり,CPAP 治療のみでEDの改善効果が期待できる112)。20名のED患者のうちSAS を合併した患者へCPAP を1カ月間実施し,継続できた17名でIIEF5が改善した113)。CPAP のみで長期的にはIIEF5の改善は20% 程度にとどまったが,SAS がより重症であることやCPAP 治療のコンプライアンスがよいことがCPAP 単独でのED改善予測因子であった114)。
40名のSAS 合併のED患者を対象として,PDE5阻害薬単独とPDE5阻害薬とCPAP 併用によるEDへの治療効果の比較では,PDE5阻害薬とCPAP との併用療法でそのED治療効果はさらに高くなる115)。一方で,シルデナフィルでは鼻閉を起こすことがあり,鼻閉によってSAS の悪化をもたらす可能性がある116,117)。