(旧版)ED診療ガイドライン 2012年版
4
EDのリスクファクター
6
肥満と運動不足
肥満の解消と運動不足の解消はEDの改善,予防につながる可能性が高く,非薬物療法として推奨される。
〔推奨グレードA〕

米国における医療従事者フォローアップ研究(Health Professionals Followup Study:HPFS)58)では,40〜75歳の男性22,086名を14年以上フォローしている。スタート時点(1986年)において,健康でEDも発症していなかった男性のうち17.7% がフォローアップ期間中にEDを発症していた。スタート時点においてBMI が23kg/㎡以下であった群を対照にすると,BMI が増加するにつれEDのリスクは上昇し,BMI が最大の群(30 kg/㎡以上)の相対リスクは1.7(95% 信頼区間:1.5〜2.0)であった。同じく米国のMMAS のフォローアップ研究59)では,BMI はEDの悪化と正の相関を,EDの改善とは負の相関を示した。
わが国において肥満とEDの関連を調べた研究は1つだけであり,その人間ドック対象の研究6)では,肥満者(BMI>25 kg/㎡で定義)の非肥満者に対するオッズ比は0.94(95% 信頼区間:0.51〜1.75)であり,肥満はリスクファクターとされなかった。
前述のHPFS58)によると,2.7 METs 注)/週未満しか運動しない群を対照とすると,2.7〜16.5 METs 群では相対リスクは0.9(95% 信頼区間:0.8〜1.0),16.6〜32.6METs 群では同0.8(0.7〜0.9),32.6 METs 以上群では同0.7(0.7〜0.8)と運動強度の増加に伴ってEDのリスクは低下していた。運動別では,週に2.5時間以上のランニングはEDの相対リスクを対照群に比較して30% 低下させた。7つの横断研究をメタアナリシスした研究60)によれば,平均以上に運動する群は,そうでない群に比べオッズ比が0.53(0.31〜0.91)であった。すべての運動が勃起機能に保護的に働くわけではなく,自転車は注意が必要である。自転車乗車時間とEDの間には明らかに用量相関関係があり,その原因はサドルによる血管と神経の圧迫によるとされている。しかし,乗車スタイルと会陰部を保護する特殊なサドルの採用でリスクは低下できるとされている61)。
肥満・運動不足に対して介入したRCT をメタアナリシスした研究によると62),IIEF5スコアで勃起機能を評価した4試験,597名のデータがあり,不均一性は少なく,運動や食事の介入によってIIEF5スコアの加重平均の差が2.40(95% 信頼区間:1.19〜3.61)となり,有意に改善していた。また,肥満中年男性51名(糖尿病あり26名,糖尿病なし25名)を低カロリー食(850〜900 kcal /日)で8週間管理した結果,対照群25名と比べて有意に体重が減少した結果,インスリン感受性,テストステロン値,IIEF5値のみならず国際前立腺症状スコア(IPSS)が有意に改善したという報告もある63)。
さらに,PDE5阻害薬の効果に対する運動の付加効果をみたRCT がある64)。60名のED患者をPDE5阻害薬単独群とPDE5阻害薬に週3回の運動(22.8 METs)を付加した群の勃起機能をIIEF で評価したところ,運動付加群のほうで有意にスコアが改善していた。
わが国において肥満とEDの関連を調べた研究は1つだけであり,その人間ドック対象の研究6)では,肥満者(BMI>25 kg/㎡で定義)の非肥満者に対するオッズ比は0.94(95% 信頼区間:0.51〜1.75)であり,肥満はリスクファクターとされなかった。
前述のHPFS58)によると,2.7 METs 注)/週未満しか運動しない群を対照とすると,2.7〜16.5 METs 群では相対リスクは0.9(95% 信頼区間:0.8〜1.0),16.6〜32.6METs 群では同0.8(0.7〜0.9),32.6 METs 以上群では同0.7(0.7〜0.8)と運動強度の増加に伴ってEDのリスクは低下していた。運動別では,週に2.5時間以上のランニングはEDの相対リスクを対照群に比較して30% 低下させた。7つの横断研究をメタアナリシスした研究60)によれば,平均以上に運動する群は,そうでない群に比べオッズ比が0.53(0.31〜0.91)であった。すべての運動が勃起機能に保護的に働くわけではなく,自転車は注意が必要である。自転車乗車時間とEDの間には明らかに用量相関関係があり,その原因はサドルによる血管と神経の圧迫によるとされている。しかし,乗車スタイルと会陰部を保護する特殊なサドルの採用でリスクは低下できるとされている61)。
肥満・運動不足に対して介入したRCT をメタアナリシスした研究によると62),IIEF5スコアで勃起機能を評価した4試験,597名のデータがあり,不均一性は少なく,運動や食事の介入によってIIEF5スコアの加重平均の差が2.40(95% 信頼区間:1.19〜3.61)となり,有意に改善していた。また,肥満中年男性51名(糖尿病あり26名,糖尿病なし25名)を低カロリー食(850〜900 kcal /日)で8週間管理した結果,対照群25名と比べて有意に体重が減少した結果,インスリン感受性,テストステロン値,IIEF5値のみならず国際前立腺症状スコア(IPSS)が有意に改善したという報告もある63)。
さらに,PDE5阻害薬の効果に対する運動の付加効果をみたRCT がある64)。60名のED患者をPDE5阻害薬単独群とPDE5阻害薬に週3回の運動(22.8 METs)を付加した群の勃起機能をIIEF で評価したところ,運動付加群のほうで有意にスコアが改善していた。
注) | METs(metabolic equivalents):安静時における単位時間当たりの酸素摂取量/体重1 kg を1 MET とし,これの何倍に当たるかで表す運動強度の単位(5-1 表6参照)。 |