(旧版)線維筋痛症診療ガイドライン 2011

 
 
8章 添付資料
4.線維筋痛症に関する衆議院厚生労働委員会議事録


第2号 平成20年3月26日
第169回国会 厚生労働委員会 第2号
平成20年3月26日(水曜日) 午前10時1分開議
出席委員


委員長茂木 敏充君
理事大村 秀章君理事後藤 茂之君理事 田村 憲久君  
理事宮澤 洋一君理事吉野 正芳君理事山田 正彦君
理事山井 和則君理事福島  豊君
赤澤 亮正君新井 悦二君井澤 京子君
井上 信治君伊藤 忠彦君石崎  岳君
上野賢一郎君川条 志嘉君木原 誠二君
木村 義雄君櫻田 義孝君清水鴻一郎君
杉村 太蔵君高鳥 修一君谷畑  孝君
徳田  毅君冨岡  勉君長崎幸太郎君
西本 勝子君萩原 誠司君林   潤君
平口  洋君福岡 資麿君松浪 健太君
松本  純君松本 洋平君三ッ林隆志君
山本ともひろ君内山  晃君岡本 充功君
菊田真紀子君郡  和子君園田 康博君
長妻  昭君細川 律夫君三井 辨雄君
柚木 道義君伊藤  渉君古屋 範子君
高橋千鶴子君阿部 知子君糸川 正晃君

厚生労働大臣舛添 要一君
厚生労働副大臣西川 京子君
厚生労働副大臣岸  宏一君
内閣府大臣政務官西村 明宏君
厚生労働大臣政務官伊藤  渉君
厚生労働大臣政務官松浪 健太君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官)
堀田  繁君
政府参考人
(内閣府食品安全委員会事務局長)
齊藤  登君
政府参考人
(警察庁刑事局長)
米田  壯君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官)
榮畑  潤君
政府参考人
(総務省行政評価局長)
関  有一君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官)
土屋 定之君
政府参考人
(厚生労働省医政局長)
外口  崇君
政府参考人
(厚生労働省健康局長)
西山 正徳君
政府参考人
(厚生労働省医薬食品局長)
高橋 直人君
政府参考人
(厚生労働省職業能力開発局長)
新島 良夫君
政府参考人
(厚生労働省保険局長)
水田 邦雄君
政府参考人
(厚生労働省年金局長)
渡辺 芳樹君
政府参考人
(社会保険庁総務部長)
吉岡荘太郎君
政府参考人
(社会保険庁運営部長)
石井 博史君
政府参考人
(社会保険庁首席統括管理官)
貝谷  伸君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長)
佐藤 正典君
参考人
(食品安全委員会委員長)
見上  彪君
厚生労働委員会専門員榊原 志俊君


◯吉野委員長代理 次に,福島豊君。

◯福島委員 大臣,副大臣の皆様,大変御苦労さまでございます。
 私は,まず初めに,個別の問題でありますけれども,線維筋痛症の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 昨年の12月に,線維筋痛症の患者の会でありますところの線維筋痛症友の会から要望書が内閣総理大臣,財務大臣そしてまた厚生労働大臣に提出をされております。その要望書にはこのように記載されております。
 「線維筋痛症」は原因不明の難治性の全身的慢性疼痛です。ICD10にも記載された人口比の極めて高い,最も一般的な慢性疼痛疾患にも関わらず国内での認知度は極めて低く,いまだ特定疾患はおろか医療保険の適応にすらなっておりません。日本では2年前,厚生労働省研究班の疫学調査により人口の1.66〜2%,すなわち200万人,なかでもステージ4,5にあたる重症患者は5万人いることが明らかとなりました。
 こうして書かれております。
 先日,友の会の代表の方にも私はお会いさせていただきましたが,マスコミ関係の方が出産後に線維筋痛症でみずからの子供すら抱くことができない,こういったことで自殺をされた痛ましい事件もありました。いろいろとお話を聞いておりますと,シャワーを浴びることも痛くてできない,寝ていても自分の重さがまた痛みになる。そういう意味では大変困難な生活を強いられる疾患であると。私も医者でありますけれども,よく知りませんで,そんなに大変なんですかと,こういうお話をお聞きしました。
 アメリカでも,90年代以降にこの線維筋痛症の問題というのがクローズアップされて,さまざまな取り組みがなされてきたというふうに伺っております。
 国会におきましては,今から5年前,平成15年,五島正規先生,同じく医師でございま すけれども,この線維筋痛症の問題を取り上げられました。調査班をつくって,適切な治療,対策,予防というものを打ち立てるべきだ,このような主張でありまして,当時の坂口厚生労働大臣からは,検討会をつくって検討したい,こういう答弁がありました。
 そういったことが契機になりまして研究班が設置をされたのだと思いますけれども,この間の経過について御説明いただきたいと思います。

◯西山政府参考人 お答え申し上げます。
 大臣の御答弁から2カ月後でありますけれども,平成15年9月から,厚生労働科学研究費補助金によりまして研究班を設置しております。これまで研究班への助成は毎年継続しておりまして,疾病概念の整理,それから患者数の把握など実態の解明,また,これまで試みられている治療法の評価等を行い,適切な治療の確立に努めている,このような状況でございます。

◯福島委員 この患者の団体からの要望事項にはさまざまなものがあるのでありますけれども,一つは,線維筋痛症という名前では保険請求が難しい。いわゆる保険病名という言葉がありますけれども,線維筋痛症というものをそのままレセプトに病名としてつけるということではなくて,例えばがんの疑いであるとか,こういう疑い病名ばかりで処理されている,こういう現場の対応があるようであります。
 これにはいろいろな理由があると思いますけれども,線維筋痛症という疾患と,そしてまた医療保険上の位置づけ,これについて簡単に説明いただければと思います。

◯水田政府参考人 線維筋痛症につきましては,先ほどお話ありましたとおり,現状では発症原因が不明であるということから,有効な治療法が確立していない,さらに,薬事法で承認されている治療薬もないという現状にあると認識をしてございます。
 保険適用との関係でございますけれども,ただ,この線維筋痛症によって生ずる痛みの症状について処方される鎮痛剤につきましては診療報酬は支払われるわけでありますし,他の疾患にかかっていないことを診断するためのMRI検査などにつきましては,実施された場合には診療報酬が支払われる,保険が適用されるということに整理されているわけであります。

◯福島委員 薬事法上の適用については,これはこれから治療法の開発と同時に積極的な対応が必要だと思いますが,今の政府参考人の御説明ですと,線維筋痛症という病名を使ってさまざまな請求をするということについて障害があるというわけではない,こういう御説明だろうというふうに思います。
 ただ,実際のところ,臨床の現場のお話をお聞きしておりますと,なかなか線維筋痛症は知られていないということで,そういう病名を使うことによってレセプト請求自身がはねられる心配があるんじゃないか,こういう懸念も多分あるんだろうと思いますし,そういう意味では,線維筋痛症についてやはり広く知っていただく,こういうことが必要だろうというふうに思います。
 そしてまた,実際に線維筋痛症の患者さんを診る医師が少ないということもあるようであります。私の大阪におきましても実際に診ていただけるドクターは2人ほどしかいない,こういう話で,そこに患者が集中する。そしてまた,なかなか疾患の診断が難しいということもありまして,いろいろなところを回るんだけれどもなかなか診断がつかない,こういうたらい回しのような状況を余儀なくされている, こういう実態もあるようであります。
 200万人と推定される患者の数があるわけでありますから,より疾患を診ることができる医師というものをやはり育てていく必要があるというふうに思いますけれども,このあたりの実際の治療にかかわる体制はどうなっておるのか, 現状をお聞きしたいと思います。

◯西山政府参考人 おっしゃるとおりでございまして,医師は非常に不足している状況にあると私ども思っております。
 その理由として,先生も御指摘ありましたけれども,その概念が,国際的にも比較的新しい,また,診断が一般的な血液検査,画像検査では明確になりにくいという難しさがあるというふうに承知しております。
 このため,私ども,研究費補助金で行う研究班の活動の一環としまして,線維筋痛症の診察を行う医療機関の情報を収集しまして,地域ごとに医療機関名,大阪でありますと九カ所しかないわけでありますけれども,いずれにしても,そういったことで医師名をホームページに公開することによりまして,患者さん方が円滑に診察を受けられるように努めているところであります。

◯福島委員 そういった情報提供におきましても,患者団体との共同作業といいますか,こういうものにぜひ積極的に取り組んでいただければというふうに思います。
 そして,先ほど厚生労働省としての取り組みの経過について御説明いただきましたけれども,まだまだこの線維筋痛症につきましては,どのように診断するのか,診断のためのステップ,ガイドラインといいますか,どういうふうにフローチャートをつくっていくのか,こういう問題もあるだろうと思います。そしてまた,治療についても,恐らくこれは中枢性の薬剤によって何らかの改善を図るしかないんだろうというふうに思いますけれども,そういったことについても研究を進める必要がある。
 そうしたことから,研究班につきましても,これだけ多くの患者がおられるわけでありますから,引き続いて精力的な研究を進めていただきたい,このように思いますけれども,政府としての御見解をお聞きしたいと思います。

◯西山政府参考人 先ほどお答え申し上げました15年から研究班を設置しておりまして,19年度末でいったん予定した研究期間を終えることになっております。
 今後でありますけれども,平成20年度に向けまして,研究計画の公募及び専門家による研究計画の評価を行いまして新たに3カ年計画をつくりたい,線維筋痛症の発症要因の解明及び治療システムの確立と評価に関する研究というようなことで助成してまいりたいというふうに考えております。
 この研究班におきましては,先生御指摘のとおり,この病気の病態の解明あるいは治療法の研究に一層取り組む,それから,これらの研究の成果によりまして,診断,治療法の確立,ガイドラインまでいけばいいと思いますけれども,そういったものの作成や一般医師への普及が進むように期待しているところでございます。
 研究班等への助成を通じまして,今後とも,この病気に関する医療の向上に努めてまいりたいと考えております。

◯福島委員 ぜひよろしくお願いいたしたいというふうに思います。
 また,難病の指定ということについても,さまざまな経緯もありますし,また問題があるということも事実でありますけれども,特にステージの重い方,4でありますとか5でありますとか,日常生活に相当の制約を受ける,就労するということも非常に厳しい,こういうようなことから,何らかの形で支援ができないか。特に日常生活上の困難がある人については,例えば介護保険における介護サービスというようなものが利用できないかとか,より幅広い視点で御検討いただければというふうに要請をさせていただきたいと思っております。


 

 
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