(旧版)線維筋痛症診療ガイドライン 2011
7章 ケアおよび支援の体制
3.支援体制の現状と将来展望(友の会を中心に)
3.支援体制の現状と将来展望(友の会を中心に)
5.線維筋痛症患者の実態調査結果
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NPO法人線維筋痛症友の会では患者の生活実態をアンケート調査しており,詳細は今後医療関係者,行政等関係機関に情報提供していくことを考えている。ここでは特に重要なポイントを紹介したい。 |
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2010年10月時点での集計の結果,1800名の友の会会員に配布したうち416名から回答があった。回収率は23.1%,男女比は男性50人(12%),女性366人(88%)であった。年代別では40歳代が27%で最も多く,ついで50歳代が26%,30歳代が21%であった。若い世代では結婚,出産をためらったり諦めたりする話が多く聞かれた。次世代を産み育てることができないのは大きな問題である。 |
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就労は制限がある18%,働けない63%であり,81%の患者が就労で悩んでいることがわかった。就労に問題がないと答えたのはわずか1%でしかなかった。本人の収入で生計を立てているのは21%にすぎず,46%は家族の収入に頼っている。若い世代の患者が,独立して働いていたのに発病して失業し,親元に帰って親の年金で面倒を見てもらっているケースがよくある。親が元気なうちはよいが,親が亡くなったらどうなるんだろうという不安が書かれていた。 |
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医療費は月額1万円未満が21%,1〜2万円が33%で最も多く,2〜3万円が25%で,それ以上という回答も18%あった(不明3%)。収入がない上に医療費を負担することで大変な生活苦を感じて,家族から責められたり,通院回数や検査を減らしているという話も聞かれた。医療費の負担感は,やや負担だ20%,負担だ31%,大変負担だ39%であった。鍼灸などの代替医療を利用している場合は保険が効かず医療費が高額になるという声があった。また医療費とは別に公共の交通機関を利用する体力がないためにやむなくタクシーを利用する患者も多く,この交通費も大きな負担となっている。 |
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経済的に困っている率は,やや困っている35%,困っている27%,大変困っている22%で,合わせると84%が経済的な問題を抱えていた。今後の見通しとしては,やや不安12%,不安25%,大変不安55%で,合わせて92%であった。 |
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医療の充実,介護の充実,福祉の充実は必要であり望まれているが,実はばらばらでは効果が発揮できない。医療,介護,福祉が別々ではなく,スムーズに連繋をとってサポートする体制が実現しないだろうか。 |
NPO法人線維筋痛症友の会ホームページ:http://www.jfsa.or.jp/ |
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橋本裕子 |