(旧版)線維筋痛症診療ガイドライン 2011

 
 
7章 ケアおよび支援の体制
2.線維筋痛症のチーム医療と看護職

4.チーム医療としての連携
arrow チーム医療とは,医療環境のモデルのひとつである。従来,医師が中心となって医療業務を形成していたが,医療従事者がお互い対等に連携することで患者中心の医療を実現しようというものである。線維筋痛症のケアに看護体制が重要な役割を担っていることは理解できるが,具体的に看護職が線維筋痛症の診療の現場にどのように関わればよいのかについては今後の重大な課題としたい。線維筋痛症のチーム医療には図1のようなものがある。
図1
図1  線維筋痛症のチーム医療とは

arrow 線維筋痛症のチーム医療はシステムが既に構築され,様々な医療機関で独自の体系をとり,多職種連携をとりながら治療を行っている。しかし,本邦においてはいまだ体系化ができていない現状がある。疾患の複雑で多彩な病態を考えたとき,精神医学と内科学の両面からの診療アプローチとともに,患者と関わる非医師の医療従事者が連携をとりながら患者を包括的に看ていくことが必要となる。患者を取り巻く医療従事者が医師の治療方針と治療内容を十分に理解し,治療目標と方向性を確認し合いながら患者と接することが,患者の意思の混乱をまねかず,患者に安心と安定をもたらすことにつながる。特に,線維筋痛症に対するチーム医療の複雑さは関節リウマチの比ではなく,多階層からなる多様的なシステム構築が必須である。本邦では,医師の本症に対する認識がきわめて不十分な中で,どのようなケアシステムの構築が患者のQOL向上および治療効果の支援につながるのかについては,試行錯誤的な動物モデルなどで検討し,その検証を行う必要があろう。ちなみに筆者が関連している施設である霞が関アーバンクリニックでは,リウマチ科,精神科,神経内科を軸としてトータルケアのあり方を検討している。
arrow 線維筋痛症のような疾患は治療に時間を要し,また難解な部分が多い。医療従事者もジレンマ(葛藤)や憤りの状態に陥りやすい。そうしたとき,患者と関わる医療従事者が互いに情報を交換し,思いを共有することで医療従事者自身のメンタルヘルスを保つことにつながる。患者と医療者が互いにより良い関係を考え,治療環境を調整することも治療効果を高める一手段となると考える。

 

 
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