(旧版)線維筋痛症診療ガイドライン 2011
7章 ケアおよび支援の体制
2.線維筋痛症のチーム医療と看護職
2.線維筋痛症のチーム医療と看護職
3.有効なコミュニケーションスキル
1)傾聴・共感 | |
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傾聴とは「聞きたいこと」を「聞く」のではなく,「相手の言いたいこと,伝えたいこと,願っていること」を受容的・共感的態度で「聴く」ことであり,相手が自分自身の考えを整理し,納得のいく結論や判断に到達するよう支援することである。共感とは,他者の喜び・悲しみ・怒りなど他者と同じように感情をもつことをいう。この場合,他者が体験した感情表出を自己(観察者)が自身も同じように感情を体験することである。 |
2)支持・承認 | |
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他者の意見や主張に賛同し,その後押しをすることをいう。精神療法には支持的精神療法(力学的精神療法)があるが,力学的精神療法では精神分析を基本に置き,患者の「無意識の心」と「意識的な心や行動」の相互関係を理解しながら治療を行う。看護における支持とは,患者の言語的・非言語的訴えに耳を傾け,患者が抱える困難な状況をより良い方向へと向かう解決策を考え,支援(手助け)することを患者に伝えることである。 |
3)リフレーミング | |
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リフレーミングには大きくわけて2つある。意味のリフレーミングと状況のリフレーミングである。意味のリフレーミングは,状況の意味づけを違った側面でとらえ意味づけを行うことをいう。状況のリフレーミングとは,意味づけをそのままにしながら対象になる状況を変えることをいう。患者の抱いた出来事に対する解釈(枠組み=フレーム)を違った解釈に変えることをいう。 |
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看護現場では診療の介助や処置に追われ,時間や場所の制約があるためカウンセリングのスタイルをそのまま患者に適用することには現実的に困難を伴うことが多い。医師の診療の前に看護師が十分な問診を併せた支援を行うことなども推奨される。これらは,その後の患者に対する看護職のケアの有効なひとつのアプローチになる。それが,患者 - 医師の診療場面の中でも活かされ,肯定的に患者自身が治療に臨めるようになれば,医療者にとっても患者にとっても有益であると考える。 |