(旧版)線維筋痛症診療ガイドライン 2011

 
 
7章 ケアおよび支援の体制
1.公的保障制度の解説

2.介護保険制度の活用
arrow 介護保険制度は,65歳以上の方(第1号被保険者),40歳以上65歳未満の国民健康保険など医療保険加入者(第2号被保険者)が加入し,利用対象者は,介護が必要な65歳以上の人,16個の「特定疾病」が原因で介護が必要な40〜64歳の人である。「線維筋痛症」は特定疾病には該当しないため,65歳以上もしくは他の合併する疾患が特定疾病に該当する場合,利用申請を検討することができる。各症状が認定結果に反映されることが難しい現状ではあるが,主治医等と相談しながら,制度活用にむけた検討を進めることが必要である。申請方法およびサービス内容は下記の通りである。

1)申請
arrow 要介護認定申請は,介護保険証(第2号被保険者は健康保険証のコピー)を添えて,申請書を市区町村の介護保険課へ提出する。認定結果が出るまでにおよそ30日程度かかる。なお,身体障害者制度,障害者自立支援法などの制度より優先される(労災制度,自動車事故の賠償,原子爆弾被害者に対する援護に関する法律,戦傷病者特別援護法以外)。

2)サービス内容
arrow 相談窓口は,予防給付および高齢者の権利擁護,金銭管理等の相談に対応する「地域包括支援センター」,要介護認定の申請代行,介護サービス計画の作成(要介護1〜5)を担当する居宅介護支援事業所である。サービス内容は大きく「居宅サービス」と「施設サービス」にわけられる。
(ア)居宅サービス
  • 訪問介護(ホームヘルプ):訪問介護員が自宅へ訪問し,身体介護,生活援助などを行う。
  • 訪問看護:看護師が自宅へ訪問し,健康チェック,医療器具の管理,褥瘡防止,介護援助,リハビリテーション,療養上の相談を行う。
  • 訪問入浴介護:自宅での入浴が困難な場合,浴槽を持ち込んで入浴サービスを行う。
  • 訪問リハビリテーション:理学療法士,作業療法士,言語聴覚士が自宅へ訪問し,リハビリテーションを行う。
  • 通所介護(デイサービス):通所介護事業所へ通い,食事,入浴,レクリエーション,機能訓練,送迎を利用する。
  • 通所リハビリテーション(デイケア):病院や介護老人保健施設等へ通い,リハビリテーション,食事,入浴,送迎を利用する。
  • 居宅療養管理指導:医師,歯科医師,薬剤師,栄養士などが訪問し,療養生活をおくるために必要な助言を行う。
  • 短期入所生活介護(ショートステイ):短期間入所し,食事,入浴,排泄などの日常生活動作の介護,機能訓練を受ける。介護者の介護負担の軽減などを図ることができる。
  • 短期入所療養介護(ショートステイ):短期間入所し,医学的管理下における介護,機能訓練,医療処置および機能訓練を行う。
  • 特定施設入居者生活介護(介護付有料老人ホームなど):入居施設における介護および介護予防サービスを利用する。
  • 福祉用具貸与:自宅での生活をよりよくするための福祉用具を貸与する。要支援1,2,要介護1の状態の人は,一部の用具の貸与についての制限がある。
  • 福祉用具購入:自宅での生活をよりよくするための福祉用具のうち,ポータブルトイレなどを購入する。1年間に限度額10万円。購入費の1割自己負担(償還払い)。
  • 住宅改修費:手すりの取り付け,段差解消など,住宅改修にかかる費用が支給される。1人1住宅につき,支給限度額20万円。自己負担は1割(償還払い)。
arrow 要介護度が3ランク以上重度になった場合,転居した場合は再度限度額20万円の住宅改修費が支給可能となるが,住民票に記載されている住宅の改修が支給の対象となる。
(イ)施設サービス
  • 介護老人保健施設:状態の安定している介護が必要な人(要介護1〜5)が短期間入所して,在宅復帰できるように,食事・排泄・入浴などの日常生活面の介護および療法士によるリハビリテーション,栄養管理,健康管理,療養上の援助等を受ける。施設ごとに職員配置,施設環境面,費用に違いがある。
  • 介護老人福祉施設:介護が必要な人(要介護1〜5)が入所して,食事・排泄・入浴などの日常生活上の介護,栄養管理,レクリエーションなどの余暇活動,機能訓練を受ける。施設ごとに職員配置,環境,費用の違いがある。
  • 介護療養型医療施設:療養病棟などへ介護が必要な人(要介護1〜5)が入院して,食事・排泄・入浴などの日常生活の介護,医療,機能訓練,レクリエーションなどの余暇活動などを受ける。
(ウ)地域密着型サービス
arrow 住み慣れた地域で生活を継続するために「通い」「訪問」「泊まり」を組み合わせた地域密着型のサービス提供を行う「小規模多機能型共同生活介護」や「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」などがある。

3)介護保険サービス利用にあたって
arrow 介護保険サービスの居宅サービスを利用する場合,要支援・要介護の認定結果により1カ月の支給限度額が決められている。自己負担は原則1割で,食費・居住費などは実費負担となっている。世帯の所得に応じて4段階にわかれ,自己負担の減額の制度がある。

 

 
ページトップへ

ガイドライン解説

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す

診療ガイドライン検索

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す