(旧版)線維筋痛症診療ガイドライン 2011
6章 小児の線維筋痛症の診療と治療
4.若年性線維筋痛症の評価
![]() |
若年性線維筋痛症は疾患活動性を反映する血清学的マーカーが存在しないため,その客観的評価は容易ではない。本症の特徴として,全身性疼痛に加えて多様な症状を伴うため,圧痛点だけではなく,すべての症状の結果としてのQOL障害度を反映する重症度分類を行う。成人と同様,厚生労働省から提唱されているステージ分類試案が有用である。なお,疼痛,精神症状,日常生活動作の障害を総合的に評価できる尺度として,FIQ(Fibromyalgia Impact Questionnaire)3)があるが,小児への適応には生活スタイルに合わせた改変が必要であり,現在は用いられていない。 |
![]() |
限られた診察時間ではすべての症状の評価を子細に行うのは困難であるが,疼痛については圧痛点に加えてVAS(Visual Analogue Scale)の併用が比較的簡便で有用である。若年性線維筋痛症の睡眠障害は寝覚めのすっきりしない,浅い睡眠状態が特徴で,入眠困難や中途覚醒を訴える児が多い。当施設では何時から何時まで眠ったかを表す睡眠表の記録を2〜4週間つけてもらい,評価の参考としている。 |
![]() |
低体温も特徴的な所見で,平熱が35℃台であることが多い。手・足の冷えも“冷え性”として認識されている。低体温のために入眠がなかなかできないこともある。 |
![]() |
慢性疲労を訴える患児も多く,“痛み”と“だるさ”が相まって生活障害をきたす。小児慢性疲労症候群において,「Performance Statusによる小児の疲労/倦怠の程度」5)が疲労の評価に用いられるが,これには小児慢性疲労症候群に特徴的な集中力低下や記銘力低下の検討項目があるが,線維筋痛症においても評価の参考となる。 |