(旧版)線維筋痛症診療ガイドライン 2011
5章 治療
4b.薬物療法:向精神薬などの精神科的治療
4b.薬物療法:向精神薬などの精神科的治療
7.精神療法
オペラント条件付け行動療法(OBT) | |
エビデンスIIa 推奨度B
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患者が執拗に痛みを訴え続けるのはその行動により患者にとっての好ましい結果(たとえば休息,補償金,家族からの介助)が得られるためだと考え,疼痛行動を無視した上で身体活動量を漸増していくプログラムである。自覚的な痛みの軽減より,疼痛行動の減少による,痛みの管理を行う治療法である。 |
認知行動療法(CBT) | |
エビデンスI 推奨度B
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認知,思考パターンを変えることによって,引き起こされる感情や行動をコントロールするという理論をもとにしている。「痛みが必ずしも身体の重篤な障害を意味しない」ことを理解することで,痛みが認知的に「無毒化」される治療法である。 |
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否定的・破壊的な思い込み(この痛みは絶対に良くならない。何をしても無駄だ)を持つ患者には,認知再構成法(否定的な考えを認知して修正することを教える)を用い,痛いけれどもやれる,生活を楽しめるという建設的な態度に改める。 |
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125名の線維筋痛症患者を対象にした,認知行動療法(CBT)とオペラント条件付け行動療法(OBT)を対照群と比較した12カ月間のランダム化試験では,身体機能不全は12カ月施行後の改善率が対照群7.5%に対して,OBTが58.1%,CBTが38.1%と有意に改善していたが,OBTの改善のほうがCBTに比較してより改善していた。疼痛に対しての改善率は,対照群が5%に対して,OBTが53.5%,CBTが45.2%と有意に改善し,両群ともに12カ月間施行後同程度改善していた。精神的苦痛に対しては,CBTがOBTより有効であったとの報告がある14)。 |
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APSガイドラインでは,特に薬物療法が有効でない症例にCBTの併用療法が有効であると推奨している。特に疼痛に対する対処法により,途中覚醒などの不眠に有効であるとしている。 |
リラクセーション療法(動作法) | |
推奨度C
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筋弛緩法や自律訓練法,バイオフィードバック法,などを用い筋肉と精神を弛緩させる自己暗示を応用したリラクセーション技法を用いた治療である。リラクセーション療法だけの治療より,催眠療法中にリラクセーションさせる方法,あるいは催眠療法中に疼痛が改善したイメージを取り入れた治療のほうがより疼痛軽減に有効であるとのランダム化試験の報告がある15)。 |