(旧版)線維筋痛症診療ガイドライン 2011
5章 治療
4b.薬物療法:向精神薬などの精神科的治療
4b.薬物療法:向精神薬などの精神科的治療
4.その他の抗うつ薬
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線維筋痛症に有効であるとの報告があるその他の抗うつ薬としては,アミトリプチリン*(エビデンスI 推奨度B),クロミプラミン*(エビデンスIIa 推奨度B)10)である。13の臨床試験のmeta-analysisの結果では,三環系抗うつ薬の改善率は,25〜37%であるとの解析結果であった11)。 |
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2009年のメタ解析の結果では,三環系抗うつ薬は,疼痛,倦怠感,睡眠障害に対して有効であり,SNRIは,疼痛,睡眠障害,抑うつ気分,健康関連QOL(Health-Related Quality of Life:HRQOL;リウマチ性疾患を対象としたQOLレベルの指標)に対して有効であった。SSRIは統計的には疼痛以外の項目に関して有意な差を認められなかった3)。したがって,メタ解析の結果からは,SSRIより三環系抗うつ薬,SNRIのほうが疼痛や睡眠障害の改善には有効であった。 |
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以前から疼痛に対してよく使用されていたアミトリプチリンには眠気があるため,基本的には就眠前に10mgから処方したほうがよく,10mgずつ増量していくほうがよい。アミトリプチリン50mg/日を1カ月間使用し,有意に有効であったと報告しているが,本邦では25mg/日でも効果が出る症例もあると思われる。三環系抗うつ薬の副作用としては,眠気,口渇,便秘などが多い。 |
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スルピリド(エビデンスV 推奨度C)は本邦では抗うつ薬として使用されているが,欧米では抗うつ薬としては使用されていない。スルピリドも軽度ではあるが眠気を伴うので,眠前に使用するほうがよい。また錐体外路症状(振戦などのパーキンソン症状)や,女性の場合には,高プロラクチン血症に伴う乳汁分泌,無月経の副作用が起こることがある。 |