(旧版)線維筋痛症診療ガイドライン 2011

 
 
5章 治療
3.精神科的アプローチによる治療の導入

1.はじめに
arrow 線維筋痛症は,原因不明の全身の疼痛,不眠,うつ症状などの精神神経症状,過敏性大腸炎,膀胱炎などの症状を主症状とする症候群である。原因が不明であり,疾患単位としては確立していない症候群であるため,同様の症状を持つ他の身体疾患や精神疾患との合併・鑑別は困難である。また,一般的な身体疾患では,客観的な検査による異常所見が認められ,それが診断基準となるが,線維筋痛症ではこれが欠如しているため,そこがさらに難しさを増す原因となる。
arrow 一方, 精神疾患においても線維筋痛症と同様の症状が認められるものが多数存在し,原因は脳にあると想定されているもののまだ不明であり,客観的な診断マーカーがなく,症状のみにより診断する。つまり,どちらにおいても病因・病態が明らかでなく,客観的・科学的な検査により診断することができず,症状によって診断するため,どのような症状を患者が訴え,医師が聴取できるかに依存しており,生物学的に鑑別することは現時点では不可能であると考えられる。このような状況の中,その診断については大きく分けて,以下の3つの考え方があると思われる(表1)。
診断は線維筋痛症のみである:線維筋痛症は原因は不明であるが身体疾患であるため,身体疾患による症状は精神疾患ととらえるべきではない。
合併である:どちらも原因不明で症状にて診断するため両方あると考えるべきである。
診断は精神疾患のみである:精神疾患がベースにあり,そのために痛みを中心とする症状が起こっているため線維筋痛症としてとらえるべきではない。


表1 線維筋痛症患者に対する3つの治療構造
表1


 

 
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