(旧版)線維筋痛症診療ガイドライン 2011
4章 鑑別診断
6.その他(慢性疲労症候群,脳脊髄液減少症)
6.その他(慢性疲労症候群,脳脊髄液減少症)
2.脳脊髄液減少症
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最近,本邦で交通外傷などによる頸椎損傷(むち打ち症)を契機に頭痛・頭重感,頸部痛,背部痛,腰痛,めまいをはじめ,抑うつ気分,不眠などの多彩な身体症状,神経・精神症状などの不定愁訴的な自覚症状を伴い,頭部MR画像所見,脳叢シンチでの髄液の漏出,ブラッドパッチによる治療法の存在する病態として脳脊髄液減少症が注目されている。本症は線維筋痛症とは大きく異なる病態であるが,臨床徴候が線維筋痛症と多くの点で類似していることから,鑑別診断のひとつとして挙げられるべき病態である。さらに,本症が線維筋痛症と合併することも報告されていることより線維筋痛症診療にあたって認識すべき病態である。 |
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本邦の脳脊髄液減少症研究会からガイドライン(2007)が提案されている(表2)4)。このガイドラインに従って鑑別診断,診断確定がなされるべきであり,既往に脊椎損傷の既往(程度は軽くても考慮すべき)と臥位より坐位や立位で症状の明らかな悪化が観察される場合は,本症の疑いがあるため,直ちに専門医へ紹介すべきである。 |
表2 ![]() ![]() ![]() ![]()
(脳脊髄液減少症研究会ガイドライン作成委員会 : 脳脊髄液減少症ガイドライン2007. メディカルレビュー社,2007 : p15-18より転載)
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