(旧版)線維筋痛症診療ガイドライン 2011

 
 
4章 鑑別診断
3.線維筋痛症と心療内科的疾患(心身症,ストレス関連疾患)の合併

2.機能性身体症候群と線維筋痛症の関係
arrow 機能性身体症候群(functional somatic syndrome:FSS)は「明らかな器質的原因によって説明できない身体的訴えがあり,それを苦痛と感じて日常生活に支障をきたす病態」と定義されており表2のような疾患が含まれている。読んで字のごとく,これらの疾患群はすべて機能性疾患であり,以下のような多くの共通点を備えている4,5)
各疾患には共通する症状が多く,診断基準も類似している。
FSSに含まれる疾患は他のFSSの疾患の診断基準を満たす。
FSSに含まれる疾患が相互によく合併する。たとえば線維筋痛症の40%は筋緊張性頭痛,30〜40%は慢性疲労症候群(CFS),75%は顎関節症を合併,CFSの60%は過敏性腸症候群(IBS)を合併,間質性膀胱炎の12.8%が線維筋痛症を合併する,などの相互関係がある。
うつ,不安,認知的問題など多彩な精神症状をよく伴う。
几帳面,徹底性,完全性,強迫性,神経質など類似した性格的特性を持つ。
抗不安薬,抗うつ薬,抗痙攣薬など類似した薬物治療に反応しやすく,カウンセリングや認知行動療法など心理療法の対象となる。

表2 機能性身体症候群と考えられている病態
表2

arrow 線維筋痛症がFSSのカテゴリーに合致する疾患概念であるとの理解は複雑で多様な病態の解釈に役立つであろう。

 

 
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