(旧版)線維筋痛症診療ガイドライン 2011

 
 
4章 鑑別診断
1.線維筋痛症とリウマチ性疾患の鑑別

7.全身性エリテマトーデス(SLE)
概要
arrow SLE患者には線維筋痛症がよく合併すると言われている。45%が線維筋痛症の症状を訴え,22%が米国リウマチ学会線維筋痛症分類基準に合致していたと言われる18)。発熱,全身倦怠感,易疲労感など炎症を思わせる症状と,口腔内潰瘍,脱毛,関節痛,皮膚,腎炎などの症状が起こる。頻度は日本全国に2万〜4万人程と言われている2)。有病率は線維筋痛症よりはるかに低い。
arrow 男女比は1:9ほどで圧倒的に女性に多く,妊娠可能年齢に多い。小児,高齢者では男女比は近くなる。紫外線,風邪などのウイルス感染,外傷,外科手術,妊娠・出産,ある種の薬剤などが誘因となる2)
arrow 症状は全身症状,脱毛,光線過敏症,皮膚症状(蝶形紅斑など),関節症状がみられる。そのほか腎など臓器障害が加わることもあるが,臓器障害のない軽症例もある。検査では一般血液検査,抗核抗体,抗DNA抗体,抗Sm抗体,LEテスト,梅毒反応などの検査をする。
鑑別のポイント
arrow 特徴的な皮疹,口腔内潰瘍,脱毛,関節痛,腎炎など臨床症状の出現,血液検査で白血球減少,リンパ球減少などの異常のほか,抗核抗体,抗DNA抗体など自己抗体の出現を確認する。線維筋痛症ではこれらの自己抗体が顕著に出現することはない。以上のような所見からSLEを疑った場合は膠原病の専門医の受診を勧める。

 

 
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