(旧版)線維筋痛症診療ガイドライン 2011

 
 
2章 本邦線維筋痛症の臨床疫学像

8.線維筋痛症の機能的予後1〜3)
arrow 線維筋痛症そのものが直接死因となることはないが, 著しい日常生活動作能(ADL)の低下を伴いながら長期にわたって経過する。本邦例では約半数が1年間の経過でADLはなんとか自立できているが,残り半数に何らかのADLの低下が認められ,27.2%が著しく低下していた。34.0%が休職・休学の状況にあり,その期間は3.2±4.8年(1カ月〜20年)であった。
arrow 一方,線維筋痛症患者の生活の質(QOL)もきわめて悪いとされている。QOLの包括的尺度の中で国際的に広く用いられているSF-36による検討でも,すべての下位尺度において,一般国民に比して2〜3SD(標準偏差値)の低下がみられ,身体的,精神的QOLがともに著しく低下していた。一方,関節リウマチで用いられる指標であるmHAQ(modified health assessment questionnaire)による評価でも,本邦線維筋痛症患者では0.77±0.74(0〜3)と低い状態であることが確認されている。リウマチ性疾患の中で線維筋痛症がどの程度のQOLの状態にあるかについては,関節リウマチ(RA)より低いが,全身性エリテマトーデス(SLE)患者と同程度であろうと考えられている9)

 

 
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