(旧版)線維筋痛症診療ガイドライン 2011
2章 本邦線維筋痛症の臨床疫学像
2.性差,年齢分布,家族内発生など1,2,3)
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性差については欧米の報告は男:女=1:8〜9である。本邦症例では男:女=1:4.8と欧米に比して男性の比率が高くなっているが,その理由は不明である。患者の年齢は小児期,思春期や高齢者の症例もあるが,平均年齢は51.5±16.9(11〜84)歳であり,年齢とともに増加し,50歳代にピークがある(図1)。また,線維筋痛症患者の4.8%が小児科年齢であった。一方,推定発症年齢は43.8±16.3(11〜77)歳である。 |
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1.有病者平均年齢:51.5±16.9(11〜84)歳(小児科年齢4.8%) 2.発症年齢:43.8±16.3(11〜77)歳 3.罹患年数:7.4±7.4(1カ月〜56年) |
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家族内発生,家族集積性が存在するとされているが,本邦では線維筋痛症の家族歴は4.1%であった1)。さらに,本邦では線維筋痛症の認識が低いことより,確定診断がなされるまでに発症から平均4.3±7.4年(3カ月〜50年)の長期を要しているが,その半数は発症から1年以内に診断されていた(図2)。また,確定診断までに3.9±2.8(1〜17)診療科を受診し,いわゆるドクターショッピングの状況が明らかとなった。線維筋痛症と診断されるまで長期を要することから,線維筋痛症の最終診断までに付けられた臨床診断あるいは疑診名は,疾患の臨床像を反映してリウマチ性疾患・膠原病が最も多く,ついで整形外科的疾患,基礎疾患不明,精神疾患,神経内科疾患と続く。なかには診断なく,医療から見放されている例も少なからずある(表1)。 |
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厚生労働省全国疫学調査2004 診断に要した時間:4.3±7.4(0〜50)年 |
表1 ![]() ![]() |
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厚生労働省研究班調査2004,n=233
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