(旧版)腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン 2011

 
 
第3章 治療

■ Clinical Question 12
腰部脊柱管狭窄症において装具治療,牽引治療,低周波治療は有効か

推奨

【Grade C】
腰仙椎コルセットを用いることで,歩行距離の延長と疼痛の軽減を得ることが可能である.

【Grade I】
文献のシステマティックレビューでは腰部脊柱管狭窄症の治療における牽引,低周波の意義に関して十分なエビデンスは得られなかった.


解説

腰痛患者に対する装具治療,牽引治療,低周波治療などがある程度有効であることは日常診療で経験するところである.しかし,腰部脊柱管狭窄症に限定すると,それらの治療効果を十分に示したエビデンスレベルの高い報告をみいだすことはできなかった.
腰部脊柱管狭窄症に対する腰仙椎コルセットの有効性を検証した文献はきわめて少ないが,腰部脊柱管狭窄症患者21例に自己対照試験(コルセット着用時と非着用時)で歩行距離とvisual analog scale(VAS)の評価を行ったところ,有意に歩行距離の延長と疼痛軽減がみられたとの報告がある1)EV level III).すべり症,原因を特定できない慢性腰痛症,または腰部脊柱管狭窄症の患者48例にコルセットを平均1年間着用させたところ,疼痛が軽減したとの報告があるが2),妥当性の実証された評価が行われておらず,コルセット着用の遵守率も明らかにされていないので,EV level IVとする.また,いずれの報告もコルセットの着用を中止してもその効果が維持できるかの評価はなされていない.
牽引,低周波については,治療群と非治療群(自然経過)との比較検討がなされた報告はなかったため,それらの治療効果を立証することはできなかった.


文献

1) Prateepavanich P,Thanapipatsiri S, Santisatisakul P et al:The effectiveness of lumbosacral corset in symptomatic degenerative lumbar spinal stenosis. J Med Assoc Thai 2001;84(4):572-576
2) Willner S:Effect of a rigid brace on back pain. Acta Orthop Scand 1985;56:40-42



 

 
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