(旧版)腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン 2011
第3章 治療
■ Clinical Question 8
腰部脊柱管狭窄症における理学療法または運動療法の意義は何か
推奨
【Grade I】
理学療法または運動療法が単独では腰部脊柱管狭窄症に有効であるとの十分なエビデンスは得られていない.
【Grade C】
腰部脊柱管狭窄症の症状の一部である腰殿部痛や下肢痛については理学療法と運動療法の組み合わせは有効である.
解説
理学療法や運動療法は薬物療法と併用して腰部脊柱管狭窄症患者に施行されていることが多い.しかし,これら単独で神経性跛行を伴う腰部脊柱管狭窄症に有効であることを示すエビデンスは得られていない1〜7)(EV level IV).
Whitmanら8)は,50歳以上の腰部脊柱管狭窄症60例を対象に,2つの理学療法の前向き無作為化対照試験を行っている.屈曲体操と通常のトレッドミルでの歩行を行った群と徒手理学療法,ストレッチと体重負荷のかからないトレッドミル歩行を行った群に分け,患者の主観的な改善の程度,Oswestry Disability Index(ODI),トレッドミル歩行テスト,下肢痛の疼痛スケール,満足度を比較検討している.この無作為化対照試験は腰部脊柱管狭窄症患者の腰殿部痛,下肢痛の緩和に理学療法が有効である可能性を示唆し,徒手理学療法,ストレッチと体重負荷のかからないトレッドミル歩行の組み合わせによる治療がより効果的であることを証明している.本研究からは「理学療法は,専門家により診断された腰部脊柱管狭窄症患者の腰殿部痛,下肢痛を緩和させることが可能で,理学療法と運動療法の組み合わせが短期的にはさらに効果的である」とのエビデンスを得ることができる.しかしながら,しびれを主症状とする腰部脊柱管狭窄症や神経性跛行に関しての効果はなお不明で,介入のない対照群や他の保存治療との比較がなく,症例数が少ないため,EV level IIIとする.
Whitmanら8)は,50歳以上の腰部脊柱管狭窄症60例を対象に,2つの理学療法の前向き無作為化対照試験を行っている.屈曲体操と通常のトレッドミルでの歩行を行った群と徒手理学療法,ストレッチと体重負荷のかからないトレッドミル歩行を行った群に分け,患者の主観的な改善の程度,Oswestry Disability Index(ODI),トレッドミル歩行テスト,下肢痛の疼痛スケール,満足度を比較検討している.この無作為化対照試験は腰部脊柱管狭窄症患者の腰殿部痛,下肢痛の緩和に理学療法が有効である可能性を示唆し,徒手理学療法,ストレッチと体重負荷のかからないトレッドミル歩行の組み合わせによる治療がより効果的であることを証明している.本研究からは「理学療法は,専門家により診断された腰部脊柱管狭窄症患者の腰殿部痛,下肢痛を緩和させることが可能で,理学療法と運動療法の組み合わせが短期的にはさらに効果的である」とのエビデンスを得ることができる.しかしながら,しびれを主症状とする腰部脊柱管狭窄症や神経性跛行に関しての効果はなお不明で,介入のない対照群や他の保存治療との比較がなく,症例数が少ないため,EV level IIIとする.
文献