根拠と総意に基づく未熟児動脈管開存症治療ガイドライン
書誌情報
緒言
J-PreP (Japanese Preterm PDA)ガイドライン
豊島勝昭
未熟児新生児学会<医療の標準化検討委員会>の発案で未熟児PDAの<根拠に基づく診療ガイドライン>の作成に取り組んできました。その過程の中で、<実践的なガイドライン>を作成するためには様々な医療現場の意見に耳を傾けつつ、一緒に考えていくことが大切と気づきました。
全国各地で開催した<PDAとEvidenced based Medicine (EBM)に関する勉強会>や新生児医療関連のメーリングリストで一緒に考え行動して下さる協力者を随時募集させて頂きました。ガイドライン作成にはPDAに詳しい医師だけでなく、EBMやガイドライン作成に精通したリーダーが不可欠と感じ、英国国立母子保健共同研究所に所属していた森臨太郎先生にプロジェクトリーダーを御願いしました。使いたい人が作成に関わることでガイドラインはより実践的になるはずであり、作成段階から多くの若手医師に関わって頂きました。限られた予算と本来の業務のための時間的制約の中で多施設の共同作業を実現するためにはインターネットの活用が不可欠と考え、メーリングリストを活用し、Web上に共同作業場(SENJU)を構築しました。年代、地域、経験など様々なNICUの医師に加え、小児循環器医、EBMや臨床疫学に精通する医療者、基礎医学者、医学図書館員が趣旨に共感してくださり、最終的には41施設66名のJ-PreP (Japanese Preterm PDA)ガイドラインチームでこのガイドラインを完成するに至りました。
全国アンケート結果を基に設定した未熟児PDAに関する18の<Clinical Question(CQ)>に対して、延べ2,322研究を批判的吟味して科学的根拠を確認しました。各CQについてJ-PreP内で根拠を踏まえて討論を重ね、コンセンサスを得て仮推奨を作成したうえで、デルフィ変法による総意形成会議、学会ワークショップ発表、パブリックコメント募集と<透明性と公平性>を大切に推敲を重ねた33の推奨からなるガイドラインです。
ガイドラインはマニュアルのように<細かな指示>はなく、<考え方>を情報提示するものです。研修医や診療経験の少ない医師が未熟児PDAに直面したときに、専門家がそばにいなくとも<後遺症なき動脈管閉鎖>という目標に辿り着くための<標準的な医療>を伝えるものです。ガイドラインを診療の傍らで<根拠の情報源>としてご活用していただき、それぞれの目の前の患者さんの状態・状況にあった診療方針の決定に役立てて頂けることを願っております。
J-PrePガイドラインは未熟児PDAの理想的医療を示す<ゴール>ではなく、現時点の標準的医療を皆で確認する<スタートライン>です。根拠が明らかなことのみ施行するだけでは目の前の早産児を救えません。根拠が明らかでない問題に対して、施設内の医療スタッフや多施設の医療者と協力してよりよい治療法を一緒に考えていく協力体制にこそ、<医療の標準化>はあります。このJ-PrePガイドラインの作成の過程・内容を<話し合いの叩き台>にして未来の未熟児PDA診療を含めた新生児医療を多くの皆様と一緒に考え、共に行動していけることを願っております。
全国各地で開催した<PDAとEvidenced based Medicine (EBM)に関する勉強会>や新生児医療関連のメーリングリストで一緒に考え行動して下さる協力者を随時募集させて頂きました。ガイドライン作成にはPDAに詳しい医師だけでなく、EBMやガイドライン作成に精通したリーダーが不可欠と感じ、英国国立母子保健共同研究所に所属していた森臨太郎先生にプロジェクトリーダーを御願いしました。使いたい人が作成に関わることでガイドラインはより実践的になるはずであり、作成段階から多くの若手医師に関わって頂きました。限られた予算と本来の業務のための時間的制約の中で多施設の共同作業を実現するためにはインターネットの活用が不可欠と考え、メーリングリストを活用し、Web上に共同作業場(SENJU)を構築しました。年代、地域、経験など様々なNICUの医師に加え、小児循環器医、EBMや臨床疫学に精通する医療者、基礎医学者、医学図書館員が趣旨に共感してくださり、最終的には41施設66名のJ-PreP (Japanese Preterm PDA)ガイドラインチームでこのガイドラインを完成するに至りました。
全国アンケート結果を基に設定した未熟児PDAに関する18の<Clinical Question(CQ)>に対して、延べ2,322研究を批判的吟味して科学的根拠を確認しました。各CQについてJ-PreP内で根拠を踏まえて討論を重ね、コンセンサスを得て仮推奨を作成したうえで、デルフィ変法による総意形成会議、学会ワークショップ発表、パブリックコメント募集と<透明性と公平性>を大切に推敲を重ねた33の推奨からなるガイドラインです。
ガイドラインはマニュアルのように<細かな指示>はなく、<考え方>を情報提示するものです。研修医や診療経験の少ない医師が未熟児PDAに直面したときに、専門家がそばにいなくとも<後遺症なき動脈管閉鎖>という目標に辿り着くための<標準的な医療>を伝えるものです。ガイドラインを診療の傍らで<根拠の情報源>としてご活用していただき、それぞれの目の前の患者さんの状態・状況にあった診療方針の決定に役立てて頂けることを願っております。
J-PrePガイドラインは未熟児PDAの理想的医療を示す<ゴール>ではなく、現時点の標準的医療を皆で確認する<スタートライン>です。根拠が明らかなことのみ施行するだけでは目の前の早産児を救えません。根拠が明らかでない問題に対して、施設内の医療スタッフや多施設の医療者と協力してよりよい治療法を一緒に考えていく協力体制にこそ、<医療の標準化>はあります。このJ-PrePガイドラインの作成の過程・内容を<話し合いの叩き台>にして未来の未熟児PDA診療を含めた新生児医療を多くの皆様と一緒に考え、共に行動していけることを願っております。
2009年11月7日
書誌情報

