(旧版)糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン

 
III.糖尿病に関する基礎知識


2.治療の目標とコントロールの指標

糖尿病治療の目標は,血糖・体重・血圧・血清脂質を良好にコントロールすることにより,糖尿病性合併症の発症と進展を阻止し,健康な人と変わらない日常生活の質(QOL)を維持し,健康な人と変わらない寿命を全うすることである。日本糖尿病学会は,日本人を対象にして行われた臨床試験の成績をもとに,表2に示す血糖コントロールの指標とその評価を提示している。
血糖コントロールの指標とその値をどのように評価するかは,エビデンスに基づいて定められている(表2)。HbA1c値(過去1〜2ヶ月の平均血糖値を反映),空腹時血糖値,食後2時間値の3つの血糖コントロール指標はいずれも「優」「良」「不十分」「不良」「不可」の5段階に分けられているが,必ずしも同じレベルの血糖コントロールを示すものではない。
一方,2007年,国際糖尿病連合(International Diabetes Federation;IDF)は血糖コントロールの目標値を,HbA1c6.5%未満,空腹時血糖値100mg/dL未満,食後2時間血糖値140mg/dL未満,とすることを推奨した。健常者の血糖値が70〜140mg/dLという狭い範囲を変動しているということから,低血糖を回避したうえでより厳格な血糖コントロールを求めたのである。
以上の3つの代表的な血糖コントロールの指標のほかに,過去約2週間の平均血糖値を反映する,グリコアルブミン(GA:基準値11〜16%),尿糖の排泄量と相関して低下する1,5アンヒドログリシトール(1,5-AG:基準値14.0µg/mL以上)が,臨床上用いられる。
治療の目標に向かって,まず,生活習慣の改善について患者教育を十分行う。指導開始後2〜4ヶ月経過しても「優」または「良」の血糖コントロールが得られない場合,経口血糖降下薬が開始される。ただし,インスリンの絶対的適応に対しては経口血糖降下薬による治療は行ってはならない。一定のエビデンスがあることから,細小血管症抑制の観点からはスルホニル尿素薬とビグアナイド薬,大血管症抑制の観点からはαグルコシダーゼ阻害薬およびチアゾリジン薬,また肥満糖尿病患者におけるビグアナイド薬が推奨された。よい血糖コントロールが得られるのであればどの薬剤も第1選択薬となりうるので,患者の病態,合併症,薬剤の作用特性などを考慮して個別に対応することがもっとも重要である。

表2 血糖コントロールの指標と評価
指標 不十分 不良 不可
HbA1c(%) 5.8未満 5.8〜6.5未満 6.5〜7.0未満 7.0〜8.0未満 8.0以上
FPG 80〜110未満 110〜130未満 130〜160未満 160以上
2h-PG 80〜140未満 140〜180未満 180〜220未満 220以上
HbA1c:グリコヘモグロビン(%),FPG:早朝空腹時血糖値(mg/dL),2h-PG:食後2時間血糖値(mg/dL)
科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン改訂第2版 2007


 
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