(旧版)糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン

 
II.歯周治療と糖尿病


4.サポーティブペリオドンタルセラピー
角1 角2
  CQ6:糖尿病患者のサポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)の間隔は短くすべきか?  
角3 角4

  • 推奨:糖尿病患者はSPT期にあっても歯周病に対する疾患感受性が高いと考えられるので,年3〜4回の間隔のSPTよりも短くすることが推奨される(レベル3)。(推奨度 グレードB)


背景・目的
糖尿病患者は歯周炎に対するハイリスク集団と捉えられる。従って治療後のSPTにおいても厳格な管理を要するものと考えられる。長期にわたって良好な予後を得るために非糖尿病患者よりもSPT間隔を短くすべきかどうかについての指針が必要とされる。

解説
本課題に関するランダム化比較試験は存在しないが,レトロスペクティブな調査が存在する1)。それによると歯周治療後のSPTを平均11.8年以上受けた被験者でベースライン時,SPT期における抜歯のリスク因子として統計学的に有意であると同定されたものは糖尿病(オッズ比:4.17),歯槽骨吸収(同:1.04),動揺度III度(同:5.52(動揺度0との比較)),複根歯(同:1.82),そして失活歯髄歯(同:2.24)であった。つまりこれらが抜歯の予知因子となることが示された。
以上から,糖尿病を含む上述の予知因子保有者はSPT期において歯周病に対する疾患感受性が亢進しているものと定義できた(レベル4)。これらの予知因子保有者は通常のSPTで非保有者と同じだけの良好な効果が得られるであろうか。以前に進行性歯周炎(advanced periodontitis)と診断され通常の非外科的歯周治療を受けた疾患感受性亢進群(high susceptibility group:HSG)と正常感受性群(normal group:NG)におけるSPTの予後を比較したレトロスペクティブな研究によれば,年に3回から4回の口腔清掃指導とデブライドメントを中心としたSPTを行った場合,NGでは歯周病の悪化がみられなかったのに対し,HSGでは有意な歯槽骨吸収とアタッチメントロスが観察された2)。以上から,少なくとも糖尿病患者を,疾患感受性亢進群と捉えるならば通常の年3〜4回(3ヶ月あるいは4ヶ月間隔)のSPTよりもより厳格なSPTを行うことが推奨される(レベル3)。

文献検索ストラテジー
糖尿病がSPT期の予後に影響を及ぼすかどうかを調べる目的でまずMedlineを検索し,“Diabetes”[Mesh Terms] AND “SPT[All Fields]” AND “Prognosis[Mesh Terms]で論文を抽出した。その結果,2件の論文が抽出されたが1件は膵島移植の予後に関するものであり除外した。次に同じく糖尿病がSPT期において疾患の進行に影響を及ぼすかどうかを調べる目的でMedlineを検索し,“Disease Progression”[Mesh Terms] AND “SPT[All fields]” AND “Periodontitis”[Mesh Terms]で論文抽出を試みた。その結果,11件の論文が抽出されたが多くは抗菌薬の使用の有無による影響を検討したものや,インプラント周囲炎関連のもの,遺伝子多型の有無で予後を比較したもの,特殊な患者群を対象としたものであるため除外した。その結果,文献2のみが抽出された。


seq. terms and strategy hits
#1 Diabetes[Mesh Terms] 308,885
#2 Diabetes[Mesh Terms] AND SPT[Mesh Terms] 15
#3 Diabetes[Mesh Terms] AND SPT[Mesh Terms] AND Prognosis[Mesh Terms] 2
#4 Disease Progression[Mesh Terms] 119,585
#5 Disease Progression[Mesh Terms] AND SPT[Mesh Terms] 26
#6 Disease Progression[Mesh Terms] AND SPT[Mesh Terms] AND periodontitis[Mesh Terms] 11
最終検索日2008年9月26日

参考文献
1) Faggion CM Jr, Petersilka G, Lange DE, Gerss J, Flemmig TF. Prognostic model for tooth survival in patients treated for periodontitis. J Clin Periodontol. 2007;34(3):226-31. Epub 2007 Jan 25.
2) Rosling B, Serino G, Hellström MK, Socransky SS, Lindhe J. Longitudinal periodontal tissue alterations during supportive therapy. Findings from subjects with normal and high susceptibility to periodontal disease. J Clin Periodontol. 2001;28(3):241-9.

関係論文の構造化抄録
1)Faggion CM Jr, Petersilka G, Lange DE, Gerss J, Flemmig TF.
Prognostic model for tooth survival in patients treated for periodontitis.
J Clin Periodontol. 2007;34(3):226-31. Epub 2007 Jan 25.
SPT期における抜歯のリスク因子をベースライン時のパラメーターで検討する。
ザイン 前後比較試験。
ドイツの歯科大学。
歯周治療後SPTを行った患者198名。
SPT。
主要評価項目 SPT期の抜歯。
ベースライン時の糖尿病の存在はSPT期における抜歯のリスク因子となる(オッズ比4.17)。
糖尿病はSPTの予後に影響を与える。
(レベル4)

2)Rosling B, Serino G, Hellström MK, Socransky SS, Lindhe J.
Longitudinal periodontal tissue alterations during supportive therapy. Findings from subjects with normal and high susceptibility to periodontal disease.
J Clin Periodontol. 2001;28(3):241-9.
SPT期における疾患の進行を歯周炎の程度で比較する。
ザイン 非ランダム化比較試験。
スウェーデンのコミュニティ。
非外科的歯周治療を行った進行性歯周炎と慢性歯周炎。
SPT。
主要評価項目 SPT期における疾患の進行。
初診時進行性歯周炎であった患者はSPT期において疾患がより進行する可能性が高い。
歯周病の重症度はSPTの予後に影響を与える。
(レベル3)


 
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