(旧版)関節リウマチ診療ガイドライン 2014
第4章 ガイドライン作成に用いた資料一覧 |
エビデンスのまとめ |
CQ ナンバー | 88 | 担当者 | 遠藤平仁 |
カテゴリー | 合併症・妊娠・授乳2 | ||
CQ | 授乳中のRA患者においてcsDMARD(従来型抗リウマチ薬)やbDMARD(生物学的製剤)の投与は有効かつ安全か? | ||
推奨文 | 妊娠・授乳中のRA患者に対するcsDMARD(従来型抗リウマチ薬)やbDMARD(生物学的製剤)の投与は,リスクとベネフィットを考慮することを推奨する。 | 推奨の強さ | 強い | 同意度 | 4.78 |
解説 | 出産後にRAの疾患活動性が増強し,治療を開始する必要がある場合には授乳に関して新生児への影響が懸念される。添付文書が示すように,わが国のbDMARD(生物学的製剤),csDMARD(従来型抗リウマチ薬)の有効性,安全性は確立していない。したがって授乳期のbDMARD(生物学的製剤)の投与は回避するのが望ましい。現状のエビデンスに基づき,患者の同意を得て,リスクと母乳栄養のメリットなどのベネフィットを勘案し治療を進めるべきである。 | ||
Q | 授乳中のRA患者においてcsDMARD(従来型抗リウマチ薬)やbDMARD(生物学的製剤)の投与は有効かつ安全か? | ||
A | 授乳中のRA患者に対するcsDMARD(従来型抗リウマチ薬)やbDMARD(生物学的製剤)投与の有効性や安全性は,多数例を対象とした介入試験がなく有効性や患者および乳児への安全性は確立していない。したがって授乳中は原則としてcsDMARD(従来型抗リウマチ薬)やbDMARD(生物学的製剤)の投与を回避するのが望ましい。しかしやむをえず投与を考える場合,リスクとベネフィットを考慮し治療方針を決定すべきである。 |
エビデンスサマリー
エビデンスとして引用可能なコクランレビューはない。
1980〜2013年までのPubMed,医学中央雑誌を検索した結果,検索式から得られたタイトルとアブストラクトから採用した論文数は PubMed26件,医学中央雑誌23件である。しかしすべて症例報告や少数例の検討のみであり,構造化抄録作成はない。
出産後のRAは疾患活動性が増加する症例があり問題になる。しかし,授乳期RA患者に対して有効性,安全性が確認された観察研究はなく,ランダム化比較試験もない。また多くの臨床試験は授乳中の症例は除外されており授乳期に関する有効性,安全性は不明である。日本でも少数例の症例報告のみである。bDMARD(生物学的製剤)のなかでエタネルセプトの母乳への移行,新生児への移行が少数例において検討されている。新生児への移行は微量で,新生児に影響がないことが報告されている(Murashima A, et al. Ann Rheum Dis. 2009;68:1793-1794,エビデンスレベル:low)。しかしあくまで症例報告のみであり確立したものではない。
授乳期のRA患者に対するbDMARD(生物学的製剤)投与の有効性,安全性は確立していない。したがって,授乳期のbDMARD(生物学的製剤)の投与は回避するのが望ましい。授乳期の疾患活動性の高いRAに対して使用せざるをえない場合,エタネルセプトが有用である可能性がある。しかし確立したものではなく,授乳期は原則としてbDMARD(生物学的製剤),csDMARD(従来型抗リウマチ薬)は中止すべきである。やむをえず投与する場合は,リスクとベネフィットを十分考慮し治療方針の決定をすべきである。
1980〜2013年までのPubMed,医学中央雑誌を検索した結果,検索式から得られたタイトルとアブストラクトから採用した論文数は PubMed26件,医学中央雑誌23件である。しかしすべて症例報告や少数例の検討のみであり,構造化抄録作成はない。
出産後のRAは疾患活動性が増加する症例があり問題になる。しかし,授乳期RA患者に対して有効性,安全性が確認された観察研究はなく,ランダム化比較試験もない。また多くの臨床試験は授乳中の症例は除外されており授乳期に関する有効性,安全性は不明である。日本でも少数例の症例報告のみである。bDMARD(生物学的製剤)のなかでエタネルセプトの母乳への移行,新生児への移行が少数例において検討されている。新生児への移行は微量で,新生児に影響がないことが報告されている(Murashima A, et al. Ann Rheum Dis. 2009;68:1793-1794,エビデンスレベル:low)。しかしあくまで症例報告のみであり確立したものではない。
授乳期のRA患者に対するbDMARD(生物学的製剤)投与の有効性,安全性は確立していない。したがって,授乳期のbDMARD(生物学的製剤)の投与は回避するのが望ましい。授乳期の疾患活動性の高いRAに対して使用せざるをえない場合,エタネルセプトが有用である可能性がある。しかし確立したものではなく,授乳期は原則としてbDMARD(生物学的製剤),csDMARD(従来型抗リウマチ薬)は中止すべきである。やむをえず投与する場合は,リスクとベネフィットを十分考慮し治療方針の決定をすべきである。
エビデンスの質 (GRADE) |
very low |
該当するコクランレビュー | なし |
書誌情報 | |
DOI |