(旧版)関節リウマチ診療ガイドライン 2014

 
第4章 ガイドライン作成に用いた資料一覧
エビデンスのまとめ

CQ ナンバー 80 担当者 小嶋俊久
カテゴリー その他の治療1
CQ 関節注射はRA治療において有用か?
推奨文 十分な薬物療法ののち,炎症が残存した関節への一時的なステロイド関節注射を推奨する。
推奨の強さ 弱い 同意度 4.56
解説  RA患者におけるステロイド関節注射の効果はごく短期的な疼痛軽減に限られる。ステロイド関節注射による疾患コントロールはできず,長期の継続的使用も推奨できない。
 MTX+アダリムマブ,MTXの各群とステロイド関節注射とのコンビネーションの効果を早期患者で検証するOPERA試験(Horslev-Petersen K, et al. Ann Rheum Dis. 2014;73:654-661),MTX+シクロスポリン, MTXの各群とステロイド関節注射とのコンビネーションの効果を早期患者で検証するCIMESTRA試験(Hetland ML, et al. Arthritis Rheum. 2006;54:1401-1409)などTreat to Target(T2T)のなかにステロイド関節注射を取り入れた質の高いRCTがあり,今後,今日の強力な全身的薬物療法ののち,炎症の残存した関節への投与など検討の余地があると考える。またフォーカスグループにおける患者意識調査のなかでステロイド効果の認識が確認されている。以上から,十分な薬物療法ののち,炎症が残存した関節への一時的なステロイド関節注射は推奨することとした。
Q ステロイド関節注射はRA治療において有用か?
A 十分な薬物療法ののち,炎症が残存した関節への一時的なステロイド関節注射は有用である。


  エビデンスサマリー
2008年に発表されたコクランレビューにおいては,1966〜2004年12月に報告された若年性特発性関節炎,RA患者におけるステロイド関節注射(膝),装具療法の効果に関するRCTから,介入方法,アウトカムに関する基準により7論文が抽出されレビューが行われている。本ガイドライン作成のために,この7論文のなかから,対象患者はRA患者,アウトカムとして,本ガイドライン作成において重要と思われる機能,膝腫脹,疼痛,可動域のうち1つ以上を含むものを選出し5論文をレビューした。Risk of biasの評価は4つはmoderate,残りの1つはhighであった。疼痛については投与直後は効果が認められた(1日目VAS 28.33から13.46に改善,以後1〜12週は効果なし)。可動域は屈曲14°,伸展20°,膝腫脹は周径0.3cmの改善が得られた。選択された研究の数も乏しく,それぞれのサンプルサイズも小さく,質も高くない。膝疾患活動性のコントロールに対する効果は認めらず,持続的な効果も認められない。
 2012年7月31日まで追加検索を同一検索式にて行い,89論文が抽出された。タイトル,アブストラクトにより,レビューのために選択される論文はなかった。
エビデンスの質
(GRADE)
moderate
該当するコクランレビュー あり
書誌情報 Wallen MM, Gillies D. Intra-articular steroids and splints/rest for children with juvenile idiopathic arthritis and adults with rheumatoid arthritis. Cochrane Database of Systematic Reviews 2006, Issue 1 .
DOI 10.1002/14651858.CD002824.pub 2

 
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