(旧版)関節リウマチ診療ガイドライン 2014
第4章 ガイドライン作成に用いた資料一覧 |
エビデンスのまとめ |
CQ ナンバー | 79 | 担当者 | 小嶋俊久 |
カテゴリー | リハビリ3 | ||
CQ | 作業療法はRA患者の身体機能改善において有用か? | ||
推奨文 | RA患者に対する作業療法を推奨する。 | 推奨の強さ | 強い | 同意度 | 4.94 |
解説 | RA患者における作業療法の有用性に関するエビデンスは限られるが,関節保護プログラムの効果は確認されていた。
現在,長期罹病患者,身体機能に障害をもつ患者は多い。患者の価値観に関するアンケート調査およびフォーカスグループでは,リハビリ治療に対する強い患者のニーズが明らかになった。薬物療法の進歩により疾患活動性の徹底したコントロール,身体機能悪化進行の抑制はかなり可能となっており,作業療法による身体機能の維持,向上を目指すことは重要と考えられ,RA患者に対する作業療法を強く推奨することとした。 今後,わが国の日常診療上,指導可能な作業療法について,方法,頻度,それが適応される患者背景(既存の関節機能障害,残存する炎症の程度など)など,効率的なプログラムの確立が必要である。 |
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Q | 作業療法はRA患者の身体機能改善において有用か? | ||
A | RA患者に対する作業療法は有用である。 |
エビデンスサマリー
2008年に発表されたコクランレビューにおいては,1966〜2003年11月に報告されたRA患者における作業療法の効果に関するRCT,比較試験から,介入方法,アウトカムに関する基準により38論文が選ばれている。このうち,本ガイドラインで注目すべきアウトカムとして,身体機能,疼痛,QOL,可動域,握力,また介入方法として,装具療法,包括的作業療法,運動機能訓練療法,関節保護プログラムに注目し,38論文のなかから15論文を抽出しレビューした。Risk of biasの評価は5つはlow,残りの10はhighであった。介入方法,比較方法,またアウトカム評価方法も一定していない。関節保護プログラムの効果が確認された(absolute benefit 17.5〜22.5, relative benefit 100%)一方,包括的作業療法について身体機能に対する効果は限定的であった(8.7,20%)。装具療法については,疼痛に対する効果が示唆された(1.0,19%)。いずれにおいてもQOL,可動域に対する効果は明らかではなかった。
その後の2012年7月31日までに発表された論文についてPubMedを検索した。283論文から,タイトル,アブストラクトにより18論文を抽出,さらに本文を精査し,13論文を抽出して構造化抄録を作成した。同様に医学中央雑誌も検索したが,該当する論文はなかった。
追加検索した論文においての患者疾患活動性は,中等度〜低疾患活動性にコントロールされている群についての介入であった。発症2〜5年以内の比較的早期患者を対象にしたものが5論文あった。身体機能については,効果があるとした研究(Mathieux R, et al. Ann Rheum Dis. 2009;68:400-403),長期フォロー(4年間)においても効果が確認された研究がある(Hammond A, et al. Clin Rehabil. 2004;18:520-528)。一方,効果のない研究 (Hammond A, et al. Ann Rheum Dis. 2004;63:23-30)もあり効果は一定しない。また,早期患者でなく,労働について障害が起こっている患者群に対する研究で包括的作業療法による労働生産性,疼痛に対する介入効果がみられている(Macedo AM, et al. Arthritis Rheum. 2009;61: 1522-1530)。
固定装具は発症早期患者においてはかえって悪影響があり(Adams J, et al. Rheumatology(Oxford). 2008;47:1548-1553),注意を要するものと思われる。自助具の有用性についてのみに焦点を当てた有用な論文は抽出されなかった(Tuntland H, et al. Cochrane Databas Syst Rev. 2009;( 4 ):CD006729)。
介入効率を考えてどのようなタイミングで,どのような患者にという患者個別化についての研究が重要なポイントである。また,作業療法は複合的介入方法であり,介入自体の均一化,標準化も大きな課題である。
その後の2012年7月31日までに発表された論文についてPubMedを検索した。283論文から,タイトル,アブストラクトにより18論文を抽出,さらに本文を精査し,13論文を抽出して構造化抄録を作成した。同様に医学中央雑誌も検索したが,該当する論文はなかった。
追加検索した論文においての患者疾患活動性は,中等度〜低疾患活動性にコントロールされている群についての介入であった。発症2〜5年以内の比較的早期患者を対象にしたものが5論文あった。身体機能については,効果があるとした研究(Mathieux R, et al. Ann Rheum Dis. 2009;68:400-403),長期フォロー(4年間)においても効果が確認された研究がある(Hammond A, et al. Clin Rehabil. 2004;18:520-528)。一方,効果のない研究 (Hammond A, et al. Ann Rheum Dis. 2004;63:23-30)もあり効果は一定しない。また,早期患者でなく,労働について障害が起こっている患者群に対する研究で包括的作業療法による労働生産性,疼痛に対する介入効果がみられている(Macedo AM, et al. Arthritis Rheum. 2009;61: 1522-1530)。
固定装具は発症早期患者においてはかえって悪影響があり(Adams J, et al. Rheumatology(Oxford). 2008;47:1548-1553),注意を要するものと思われる。自助具の有用性についてのみに焦点を当てた有用な論文は抽出されなかった(Tuntland H, et al. Cochrane Databas Syst Rev. 2009;( 4 ):CD006729)。
介入効率を考えてどのようなタイミングで,どのような患者にという患者個別化についての研究が重要なポイントである。また,作業療法は複合的介入方法であり,介入自体の均一化,標準化も大きな課題である。
エビデンスの質 (GRADE) |
moderate |
該当するコクランレビュー | あり |
書誌情報 | Steultjens EEMJ, Dekker JJ, Bouter LM, Schaardenburg DD, Kuyk MAMAH, Van den Ende ECHM. Occupational therapy for rheumatoid arthritis. Cochrane Database of Systematic Reviews 2004, Issue 1 . |
DOI | 10.1002/14651858.CD003114.pub 2 |