(旧版)関節リウマチ診療ガイドライン 2014
第4章 ガイドライン作成に用いた資料一覧 |
エビデンスのまとめ |
CQ ナンバー | 78 | 担当者 | 小嶋俊久 |
カテゴリー | リハビリ2 | ||
CQ | 患者教育はRA治療において有用か? | ||
推奨文 | RA患者に対する患者教育を推奨する。 | 推奨の強さ | 強い | 同意度 | 4.95 |
解説 | RA患者における患者教育の有用性に関するエビデンスは限られるが,身体障害,疼痛関節数,患者全般評価,心理状況については短期的には一貫して効果がみられた。
患者教育そのものの効果のみならず,現在の薬物療法,および手術療法を進めるためには,患者との治療についての合意形成が必須であり,そのためには患者教育は不可欠である。よってRA患者に対する患者教育を強く推奨することとした。 今後,わが国の日常診療上,効率的かつ効果的な方法,それが適応される患者背景(既存の関節機能障害,残存する炎症の程度など)など,具体的なプログラムの確立が必要である。 |
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Q | 患者教育はRA治療において有用か? | ||
A | RA患者に対する患者教育は有用である。 |
エビデンスサマリー
2004年に発表されたコクランレビューにおいては,1966〜2002年9月に報告されたRA患者における患者教育の効果に関するRCTから,介入方法,アウトカムに関する基準により50論文が選ばれている。介入方法は,RAおよび関節炎に対する手順を踏んだ指導(心理行動療法,運動,心理的サポートも含む)とした。このレビューから本ガイドライン作成において有用と思われるアウトカムとして,疼痛,患者評価,心理的評価(不安,抑うつ),疾患活動性,障害程度のうち1つ以上を含むものを選出し32論文をレビューした。Risk of biasの評価は9つはlow,5つはunclear,残りの18はhighであった。
初回観察時の効果については,身体障害(SMD -0.17(95%CI -0.25〜-0.09)),疼痛関節数(-0.13(-0.24〜-0.01)),患者全般評価(-0.28(-0.49〜-0.07)),心理状況(-0.15(-0.27〜-0.04)),抑うつ(-0.14(-0.23〜-0.05)),いずれもmoderateなエビデンスレベルで認められた。最終観察時においては統計学的有意な改善はそれぞれのアウトカムでみられなかったが,身体障害については改善傾向がみられた(-0.09(-0.16〜-0.00))。
その後の2012年7月31日までに発表された文献についてPubMedを検索した。120論文からタイトル,アブストラクトにより6論文を選び本文を精査し,そのうち今回重要とされたアウトカムのいずれかを評価していた5論文について構造化抄録を作成した。同様に医学中央雑誌も検索したが,該当する論文はなかった。
対象患者については,早期患者というグループでは介入効果は明らかでなかった(Freeman K, et al. Clin Rehabil. 2002;16:828-836)。
一方,疲労感の高いグループに焦点を当てた介入研究では疲労感とともにHAQにおいても介入効果があった(Hewlett S, et al. Ann Rheum Dis. 2011;70:1060-1067)。介入方法についての検討では,集中講義のみでは機能改善には結び付かなかった(Giraudet-Le Quintrec JS, et al. J Rheumatol. 2007;34:1684-1691)。研究としてサンプル数が少なく,患者の疾患活動性など背景のばらつきから,エビデンスレベルの高いものはなかった。
以上より,RA患者における患者教育の有用性に関するエビデンスは限られているが,身体機能,患者評価,心理的評価に一定の効果が認められている。また,いずれの研究でも介入による有害性は認められなかった。重要アウトカムの改善に最も効果的な教育の種類,頻度,期間および対象の特性(疾患活動性,罹病期間など)についてさらなるエビデンスの蓄積が求められる。
初回観察時の効果については,身体障害(SMD -0.17(95%CI -0.25〜-0.09)),疼痛関節数(-0.13(-0.24〜-0.01)),患者全般評価(-0.28(-0.49〜-0.07)),心理状況(-0.15(-0.27〜-0.04)),抑うつ(-0.14(-0.23〜-0.05)),いずれもmoderateなエビデンスレベルで認められた。最終観察時においては統計学的有意な改善はそれぞれのアウトカムでみられなかったが,身体障害については改善傾向がみられた(-0.09(-0.16〜-0.00))。
その後の2012年7月31日までに発表された文献についてPubMedを検索した。120論文からタイトル,アブストラクトにより6論文を選び本文を精査し,そのうち今回重要とされたアウトカムのいずれかを評価していた5論文について構造化抄録を作成した。同様に医学中央雑誌も検索したが,該当する論文はなかった。
対象患者については,早期患者というグループでは介入効果は明らかでなかった(Freeman K, et al. Clin Rehabil. 2002;16:828-836)。
一方,疲労感の高いグループに焦点を当てた介入研究では疲労感とともにHAQにおいても介入効果があった(Hewlett S, et al. Ann Rheum Dis. 2011;70:1060-1067)。介入方法についての検討では,集中講義のみでは機能改善には結び付かなかった(Giraudet-Le Quintrec JS, et al. J Rheumatol. 2007;34:1684-1691)。研究としてサンプル数が少なく,患者の疾患活動性など背景のばらつきから,エビデンスレベルの高いものはなかった。
以上より,RA患者における患者教育の有用性に関するエビデンスは限られているが,身体機能,患者評価,心理的評価に一定の効果が認められている。また,いずれの研究でも介入による有害性は認められなかった。重要アウトカムの改善に最も効果的な教育の種類,頻度,期間および対象の特性(疾患活動性,罹病期間など)についてさらなるエビデンスの蓄積が求められる。
エビデンスの質 (GRADE) |
moderate |
該当するコクランレビュー | あり |
書誌情報 | Riemsma RP, Kirwan JR, Taal E, Rasker HJJ. Patient education for adults with rheumatoid arthritis. Cochrane Database of Systematic Reviews 2003, Issue 2 . |
DOI | 10.1002/14651858.CD003688 |