(旧版)関節リウマチ診療ガイドライン 2014
第4章 ガイドライン作成に用いた資料一覧 |
エビデンスのまとめ |
CQ ナンバー | 71 | 担当者 | 松下 功,小嶋俊久 |
カテゴリー | 手術5 | ||
CQ | 人工股関節全置換術はRA治療において有用か? | ||
推奨文 | RA患者の股関節障害に対する人工股関節全置換術は長期にわたり安定した成績が期待でき推奨する。 | 推奨の強さ | 強い | 同意度 | 4.79 |
解説 | 全身的な疾患活動性,QOL指標に対する長期的効果のエビデンスは十分でないが,RAに対する人工股関節全置換術(total hip arthroplasty;THA)の臨床成績は良好で,除痛効果に優れ,また股関節機能は安定して維持される。10年生存率はおおむね90%以上で長期間の耐用性も期待できる。近年インプラントの機能・品質はさらに向上していることから,RA患者に対するTHAにおいては,これまで以上に良好かつ安定した長期成績を期待することができると考えられる。したがって破壊が進行したRA股関節に対して,THAは強く推奨される。股関節痛が強くても関節破壊が少ない患者において,薬物療法の強化を行うのかあるいはTHAを選択するのかについてのエビデンスはなく,年齢,機能障害の程度,疾患活動性などに応じて症例ごとに検討すべきである。 | ||
Q | 人工股関節全置換術はRAの股関節障害に対して有用か? | ||
A | 人工股関節全置換術はRAの股関節障害に対して有用である。 |
エビデンスサマリー
検索した文献から,対象の80%以上がRAかつ平均経過観察期間が10年以上もしくは関節数が100以上を基準に,さらにタイトルおよびアブストラクトを参考にして11文献を抽出した。
RA股関節障害に対するTHAは除痛効果に優れ,その臨床成績は良好である。長期成績はセメント使用の有無,使用機種により多少差を認めるが,再置換もしくは無菌性ゆるみをエンドポイントとした10年生存率はおおむね90%以上であった(threaded 型カップは機種の問題として成績不良のため検討から除く)。特にRAに対しステムの成績は良好であり,10年以上の長期で無菌性ゆるみが確認されなかったとの報告もある。一方Tangら(Tang WM, et al. Int Orthop. 2001;25:13-16),Janaら(Jana AK, et al. J Bone Joint Surg Br. 2001;83:686-690)が報告したセメントカップの成績や,Carlら(Carl HD, et al. Rheumatol Int. 2011;31:353-359),松下ら(松下 功,他.Hip Jt. 2008;34:22-25)が報告したセメントレスカップの成績では10年生存率は90%をやや下回っていた。
RA股関節障害に対するTHAは除痛効果に優れ,その臨床成績は良好である。長期成績はセメント使用の有無,使用機種により多少差を認めるが,再置換もしくは無菌性ゆるみをエンドポイントとした10年生存率はおおむね90%以上であった(threaded 型カップは機種の問題として成績不良のため検討から除く)。特にRAに対しステムの成績は良好であり,10年以上の長期で無菌性ゆるみが確認されなかったとの報告もある。一方Tangら(Tang WM, et al. Int Orthop. 2001;25:13-16),Janaら(Jana AK, et al. J Bone Joint Surg Br. 2001;83:686-690)が報告したセメントカップの成績や,Carlら(Carl HD, et al. Rheumatol Int. 2011;31:353-359),松下ら(松下 功,他.Hip Jt. 2008;34:22-25)が報告したセメントレスカップの成績では10年生存率は90%をやや下回っていた。
エビデンスの質 (GRADE) |
low |
該当するコクランレビュー | なし |
書誌情報 | |
DOI |