(旧版)関節リウマチ診療ガイドライン 2014

 
第4章 ガイドライン作成に用いた資料一覧
エビデンスのまとめ

CQ ナンバー 13 担当者 金子祐子
カテゴリー MTX以外のcsDMARD(従来型抗リウマチ薬) 5
CQ RA患者に対してタクロリムス投与は非投与に比較して有用か?
推奨文 RA患者の疾患活動性改善を目的としてタクロリムス投与を推奨する。
推奨の強さ 弱い 同意度 4.18
解説  RA患者の疾患活動性改善を目的としたタクロリムス投与は,日本と米国でバイアスの低い臨床試験が施行されている。1.0mg,1.5mg に関しての有効性は不明瞭であるが,用量依存性に有効性は増加し,3mgでは有効性が示されている。ただし,画像的関節破壊抑制効果に関する有効性は証明されていないこと,3mg以上では腎毒性も増加することが報告されているため,弱い推奨とした。
 今後は血中濃度と有効性,安全性との関係および画像的関節破壊抑制効果に関する有効性の確立が必要である。
Q RAにおけるタクロリムス投与は有効かつ安全か?
A RAに対するタクロリムス投与は,疾患活動性改善に有効である。画像的関節破壊抑制効果についてはエビデンスはない。内服量と有効性,有害事象発生頻度は関連するが,血中濃度に関するエビデンスはない。


  エビデンスサマリー
タクロリムス(TAC)に関するコクランレビューはなく,文献検索でエビデンスを検討した。
  PubMed検索では,関連する文献が68件抽出され,このうちRCT5件について構造化抄録を作成した。
 5文献はいずれもlow risk of biasであった。米国におけるMTX無効例に対するプラセボ,1mg/日,3mg/日,5mg/日の比較試験は(Furst DE, et al. Arthritis Rheum. 2002;46:2020-2028),24週時に有意な有効性が認められた。ACR20(15.5 vs 29.0 vs 34.4 vs 50.0%)では3mg,5mg群で,ACR50(1.4 vs 14.5 vs 17.2 vs 14.1%)ではTAC群すべてで有意であった。CRP低下も3mg,5mg群で有意(0.5 vs -0.3 vs -0.8 vs -1.7mg/L)であった。ただし,3mg以上で腎毒性も増加(7.0 vs 8.7 vs 18.8 vs 28.1%)した。米国におけるDMARD無効例に対するプラセボ,2mg/日,3mg/日の比較試験(Yocum DE, et al. Arthritis Rheum. 2003;48:3328-3337)は,24週時に用量依存的に疾患活動性について有意な有効性(ACR20 10.2 vs 18.8 vs 26.8%)を認め,有害事象では差を認めなかった。日本におけるDMARD無効例に対するプラセボ,1.5mg/日,3mg/日の比較試験(Kondo H, et al. J Rheumatol. 2004;31:243-251)は,16週時に3mg群で疾患活動性について有意な有効性(ACR20 4.3 vs 33.3 vs 40.0%)を認め,有害事象に差を認めなかった。日本におけるDMARD無効例に対するプラセボ,3mg/日の比較試験(Kawai S, et al. Mod Rheumatol. 2011;21:458-468)は,52週時に疾患活動性について有意な有効性(ACR20 70.5 vs 45.2%)認めたが,画像的関節破壊抑制効果については差を認めなかった。 日本におけるDMARD 無効例に対するミゾリビン 150mg/日を対照とした 3 mg/日の比較試験(Kawai S, et al. J Rheumatol. 2006;33:2153-2161)は,28週時に臨床症状について有意な有効性(ACR20 43.2 vs 8.0, DAS28 good response 60.8 vs 25.5%)を認めた。血中濃度と有効性に関するエビデンスはない。
  医学中央雑誌も同様に検索したが,該当する文献はなかった。
 以上よりRA 患者におけるTAC の疾患活動性改善に対しては有効性が示された。画像的関節破壊抑制効果については示されていない。
エビデンスの質
(GRADE)
high
該当するコクランレビュー なし
書誌情報
DOI

 
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