(旧版)関節リウマチ診療ガイドライン 2014

 
第4章 ガイドライン作成に用いた資料一覧
エビデンスのまとめ

CQ ナンバー 12 担当者 金子祐子
カテゴリー MTX以外のcsDMARD(従来型抗リウマチ薬) 4
CQ RA患者に対してレフルノミド投与は非投与に比較して有用か?
推奨文 RA患者の疾患活動性改善を目的としてレフルノミド投与を推奨する。ただし日本人における副作用発現のリスクを十分に勘案し,慎重に投与する。
推奨の強さ 弱い 同意度 4.26
解説  RA患者におけるレフルノミドは欧米を中心とした質の高いRCT,CCTにより,疾患活動性改善および画像的関節破壊抑制効果に対してエビデンスが蓄積されている。特にMTXやサラゾスルファピリジンとの直接比較で同等の有効性が認められており,有効性は高いと考えられることから,推奨とした。しかし,日本での発売後の市販後全例調査では,間質性肺炎(interstitial pneumonia;IP)の新規出現または既往・併存の増悪が,全体5,054例のうち61例(1.2%)にみられ,IPが既存した562例では32例(5.7%)が増悪し,新規IPが出現した22例のうち9例は死亡が報告された。市販後全例調査では,因果関係ありとされたIPによる死亡例が2011年9月時点で20例認められており,日本人では十分なリスクの勘案と慎重な投与が求められる。そのため推奨度は条件付きの弱い推奨とした。
Q RAにおけるレフルノミド投与は有効かつ安全か?
A RAに対するレフルノミド投与は,疾患活動性改善,画像的関節破壊抑制効果に対して有効である。
ただし,日本人はIPの有害事象が高率であり,死亡例も少なからず認められることから,慎重な投与が必要である。


  エビデンスサマリー
2009年に発表され,2010年に更新されたコクランレビューでは,2008年までのレフルノミド(LEF)についての33のRCTまたはCCTが抽出され,すべてがlow risk of biasであった。デザインはプラセボ対照,MTXまたはMTX以外のDMARD対照,DMARDs併用,TNF阻害療法対照での比較など,さまざまなかたちで試験が施行されている。アウトカムは,ACR50,HAQ改善,疼痛改善,有害事象による中止である。
 LEF群とLEF+MTX 群との比較では, 6ヵ月のACR50改善率が併用群で有意に高く(effect size:RR 4.35(95% CI 2.09〜9.03),NNT 5(4〜9)),HAQ改善率(-0.1 vs -0.3),疼痛VAS改善(-8.3 vs -16.9)も併用群で有意に優れていた。有害事象による中止はRR 1.82(0.83〜3.97)で,両者に差を認めなかった。RCTでは,LEF群とMTX群の比較では2年後ACR50でRR 1.23(0.91〜1.66),サラゾスルファピリジン(SASP)群との比較では1年後ACR50でRR1.08(0.74〜1.59)と同等の効果を示した。関節破壊抑制効果についても,プラセボ群との比較で12ヵ月後 -1.63 (-2.78〜0.48)と有意に有効性を示し,MTX群との比較0.08(-1.07〜1.23)およびSASP群との比較-0.41(-2.14〜1.32)と同等であった。有害事象による中止は,プラセボ群との比較ではRR 2.73(1.67〜4.47)であるが,MTX群との比較でRR 1.38(0.77〜2.47),SASP群との比較でRR 0.38(0.08〜1.90)と差を認めなかった。LEF群とMTX+TNF阻害薬群で比較したCCTではRR 0.72(0.50〜1.03)と同等の有効性を示した。これらのDMARDが無効,不耐の際の選択肢と考えられた。
 しかし,欧米ではIPの有害事象はほとんどなく,本レビューでも検討がされていないが,日本の市販後全例調査では,IPの新規出現または既往・併存の増悪が,全体5,054例のうち61例(1.2%)にみられ,IPが既存した562例では32例(5.7%)が増悪し(Sawada T, et al. Rheumatology (Oxford). 2009;48:1069-1072),新規IPが出現した22例のうち9例は死亡が報告された(Sato T, et al. Rheumatology (Oxford). 2009;48:1265-1268)。市販後全例調査では,因果関係ありとされたIPによる死亡例が2011年9月時点で20例認められており,日本人では十分なリスクの勘案と慎重な投与が求められる。
エビデンスの質
(GRADE)
high
該当するコクランレビュー あり
書誌情報 Osiri M, Shea B, Welch V, Suarez-Almazor ME, Strand V, Tugwell P, Wells GA. Leflunomide for the treatment of rheumatoid arthritis. Cochrane Database of Systematic Reviews 2010, Issue 7 .
DOI 10.1002/14651858.CD002047

 
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