(旧版)関節リウマチ診療ガイドライン 2014

 
第4章 ガイドライン作成に用いた資料一覧
エビデンスのまとめ

CQ ナンバー 6 担当者 川人 豊
カテゴリー MTX 4
CQ RA患者において,MTX内服時の葉酸と活性型葉酸の投与はMTXの副作用を減弱させるか?
推奨文 MTX投与時には葉酸併用を推奨する。
推奨の強さ 弱い 同意度 4.89
解説  1週間で7 mg以下の低用量の葉酸の併用によって,葉酸代謝拮抗作用をもつMTXの副作用である肝障害,消化管障害(嘔気・嘔吐・腹痛)の抑制効果は存在する。粘膜障害(口内炎)は軽減する傾向にある。しかし,血球減少の予防効果についてのエビデンスは十分でなく,結論付けられていな い。また,葉酸と活性型葉酸双方ともMTXの副作用抑制効果が存在し,どちらを使用するのがよいかについての検討は十分なされていないが有意差はなく,コスト的には葉酸がよい。
Q 葉酸と活性型葉酸の投与はMTXの副作用を減弱させるか?
A 葉酸と活性型葉酸の投与はMTXの副作用を減弱させる。


  エビデンスサマリー
2009年に発表されたコクランレビューでは,7RCT,307名のMTX使用RA患者が選ばれ,このうち147名が葉酸を併用していた。葉酸の使用によって粘膜障害,消化管障害が79%減少したが,活性型葉酸では43%の減少であった(有意差なし)。葉酸と活性型葉酸の低用量群と高用量群の比較では,副作用の抑制効果に大きな差はなく,血球減少の抑制効果に関しての十分なエビデンスはない。アップデートされた2013年のコクランレビューでも結論はほぼ同様であった。このコクランレビューでは,6RCT,624名のMTX使用RA患者が選ばれた。葉酸の使用で,嘔気・嘔吐・腹痛の消化管障害は26%の相対リスク低減率(9%の絶対リスク低減率),肝機能障害は76.9%の相対リスク低減率(16%の絶対リスク低減率),MTXの中止は60.8%の相対リスク低減率(15.2%の絶対リスク低減率)であった。口内炎の減少では有意差はなかったが減少傾向があり,血球減少抑制効果については,発症数が少なく,意味のある結論には至っていない。
エビデンスの質
(GRADE)
moderate
該当するコクランレビュー あり
書誌情報1 Ortiz Z, Shea B, Suarez-Almazor ME, Moher D, Wells GA, Tugwell P. Folic acid and folinic acid for reducing side effects inpatients receiving methotrexate for rheumatoid arthritis. Cochrane Database of Systematic Reviews 1999, Issue 4 .
DOI 10.1002/14651858.CD000951
書誌情報2 Shea B, Swinden MV, Ghogomu ET, Ortiz Z, Katchamart W, Rader T, Bombardier C, Wells GA, Tugwell P. Folic acid and folinic acid for reducing side effects in patients receiving methotrexate for rheumatoid arthritis. Cochrane Database of Systematic Reviews 2013, Issue 5 .
DOI 10.1002/14651858.CD000951. pub 2

 
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