(旧版)関節リウマチ診療ガイドライン 2014
第4章 ガイドライン作成に用いた資料一覧 |
エビデンスのまとめ |
CQ ナンバー | 5 | 担当者 | 川人 豊 |
カテゴリー | MTX 3 | ||
CQ | RA患者において,MTX1回投与は複数回投与に比較して有用性が高いか? | ||
推奨文 | MTX1回投与,分割投与のいずれも推奨する。 | 推奨の強さ | 弱い | 同意度 | 4.39 |
解説 | RA患者におけるMTX投与方法(1回投与がよいか,分割投与がよいか)の有用性に関するエビデンスは,いずれも臨床試験のサンプル数,報告された臨床試験数自体が少ないため,十分なものとはいえないが,現時点では投与方法の違いによる効果や副作用に有意な差はなく,弱い推奨となった。 日常臨床におけるMTXの投与方法は医師によりさまざまで,エビデンスが求められている。投与回数の減少によるコンプライアンスの改善が期待されるが,1回内服用量の増加での消化管症状などの副作用の出現もあり,今後,日本人における投与方法のエビデンスを確立する必要がある。 |
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Q | MTX1回投与は複数回投与より有用性が高いか? | ||
A | MTX1回投与と複数回投与の有用性は変わらない。 |
エビデンスサマリー
エビデンスとして引用可能なコクランレビューはない。文献検索では全体で132件が抽出され,構造化抄録を作成した論文は英文2件,邦文1件で,エビデンスは乏しい。Pandyaらの二重盲検ランダム化プラセボ比較試験(Pandya S, et al. Rheumatol Int. 2002;22: 1 - 4 )では,10mg 週1回と 5mg 週2回投与で,8週,16週で有効性に差はないとしている。1993年のランダム化クロスオーバー試験(Seideman P. Clin Rheumatol. 1993;12:210-213)では,2.5mg 週6回投与群が就寝時15mg 週1回投与群に比較し,CRP値は安定していたが, 4週, 8 週での腫脹関節数,圧痛関節数などのパラメーターに2群で差は生じなかった。この論文のn数は少ない。日本人を対象としたクロスオーバー試験,準ランダム化比較試験(織部元廣,他.臨リウマチ.2010;22:417-425)でも同様で,分3投与(初日朝・夕,翌日朝)から週1回,朝一括投与に変更しても,有効性に差は認めなかった。日本での報告は1件のみで,やはりn数が少なく,今後の検証が必要である。
エビデンスの質 (GRADE) |
very low |
該当するコクランレビュー | なし |
書誌情報 | |
DOI |