(旧版)関節リウマチ診療ガイドライン 2014
第4章 ガイドライン作成に用いた資料一覧 |
エビデンスのまとめ |
CQ ナンバー | 2 | 担当者 | 川人 豊 |
カテゴリー | MTX 1 | ||
CQ | RA患者において,MTXの投与は投与しなかった患者に比較して関節破壊を抑制するか? | ||
推奨文 | MTX以外のcsDMARD(従来型抗リウマチ薬)不応性RA患者に対してMTXの投与を推奨する。 | 推奨の強さ | 強い | 同意度 | 5.00 |
解説 | MTXは海外で1990年代初期に承認されたため,関節破壊抑制効果に関してSharpスコアなどの関節破壊評価指標を使用しプラセボと比較した研究は少ないが,関節炎抑制効果は他の経口csDMARD(従来型抗リウマチ薬)に比較し優れており(CQ 1),関節破壊抑制効果はbDMARD(生物学的製剤)と比較すると低いが,MTX単独療法でも関節破壊の進行のない患者が認められることより,関節破壊抑制効果は存在する。ただし,MTX単独療法で発症早期でも関節破壊抑制が難しい場合もあるため,さらなる追加治療を検討する症例が日常臨床で存在する。 | ||
Q | MTXの投与は関節破壊を抑制するか? | ||
A | MTXの投与は関節破壊を抑制する。 |
エビデンスサマリー
コクランレビューでのMTXの有効性は1997年にすでに評価され,現在までその評価に変化がない。しかし,1997年以前の臨床試験では,Sharpスコアなどの関節破壊に関する評価法が使用されていないため,コクランレビューにはMTXの関節破壊抑制効果の有用なエビデンスは存在しない。文献検索では,“sharp score”などの検索ワードを使用し,全体で218件が抽出された。そのうち,プラセボとの比較のある文献は,MTXとプラセボを比較対象としたレフルノミドのPhaseⅡ試験1件(Strand V, et al. Arch Intern Med. 1999;159:2542-2550)のみである。この試験は,二重盲検ランダム化割り付け用量試験で,バイアスリスクは低く,ΔTSSの有意な低下がプラセボ群に比較しMTX群で認められている。ほかのエビデンスは,MTXとMTX+MTX以外のcsDMARD(従来型抗リウマチ薬)やMTX+bDMARD(生物学的製剤)との比較試験での関節破壊抑制効果の比較のみである。これら併用療法群はMTX単独療法群に比較し,関節破壊抑制効果が高い結果となっているが,MTX単独療法群でも関節破壊の進行抑制効果が認められる。
エビデンスの質 (GRADE) |
very low |
該当するコクランレビュー | なし |
書誌情報 | |
DOI |