(旧版)関節リウマチ診療ガイドライン 2014
第4章 ガイドライン作成に用いた資料一覧 |
エビデンスのまとめ |
CQ ナンバー | 1 | 担当者 | 川人 豊 |
カテゴリー | MTX 1 | ||
CQ | MTX以外のcsDMARD(従来型抗リウマチ薬)不応性RA患者において,MTXの投与は投与しなかった患者に比較して疾患活動性を抑制するか? | ||
推奨文 | MTX以外のcsDMARD(従来型抗リウマチ薬)不応性RA患者に対してMTXの投与を推奨する。 | 推奨の強さ | 強い | 同意度 | 5.00 |
解説 | RA患者治療におけるMTXは,EULARのリコメンデーションをはじめとして,各国のガイドラインでもRA治療の第1選択薬と位置付けられている。コクランレビューにおいては,1997年にすでにMTXの有効性が示されており,現在までにそのエビデンスに変わりはない。最初に使用する csDMARD(従来型抗リウマチ薬)としてだけでなく,MTX以外のcsDMARD(従来型抗リウマチ薬)不応性RA患者にも,副作用に留意した投与が推奨される。 | ||
Q | MTX以外のcsDMARD(従来型抗リウマチ薬)不応性RA患者で,MTXの投与は疾患活動性を抑制するか? | ||
A | MTX以外のcsDMARD(従来型抗リウマチ薬)不応性RA患者で,MTXの投与は疾患活動性を抑制する。 |
エビデンスサマリー
1997年のコクランレビューで,MTX以外のcsDMARD(従来型抗リウマチ薬)不応性のRA患者を対象とした計5RCT(n =300)がエビデンスの解析に選ばれた。MTX以外のcsDMARD(従来型抗リウマチ薬)不応性のRA患者において,MTX群はプラセボ群に比し統計的に有意な有効性が観察された。1997年以前の試験では,疾患活動性指標を用いた試験はないが,ESRを除く疼痛,腫脹関節痛,医師・患者の全般評価,機能評価などの全評価項目で統計学的な有意差が示されている。種々のアウトカムの計数においてMTX群とプラセボ群の標準加重平均差は-0.43〜-1.5であった。両群において総脱落者数には有意な差はなかったが(OR 0.95),MTX群ではプラセボ群に比べ副作用のため3倍の患者が治療を継続することができず(OR 3.47),その一方で有効性の欠如から治療を継続できなかった患者は4分の1であった(OR 0.22)。MTX群の22%の患者が副作用のため治療を中断したが,プラセボ群では7%であった。考察の対象はすべてMTX以外のcsDMARD(従来型抗リウマチ薬)不応例であり,かつ罹患歴も10年前後と長い難治例であるが,短期使用(12〜18週)においては,MTX群ではプラセボ群に比べ有意な効果をもたらすことが示されている。このコクランレビューはバイアスリスクが低く,かつエビデンスレベルが高く,2010年のコクラン
レビューにおいてもその結論に変更はない。
エビデンスの質 (GRADE) |
moderate |
該当するコクランレビュー | あり |
書誌情報 | Suarez-Almazor ME, Belseck E, Shea B, Tugwell P, Wells GA. Methotrexate for treating rheumatoid arthritis. Cochrane Database of Systematic Reviews 1998, Issue 2 . |
DOI | 10.1002/14651858.CD000957 |