(旧版)科学的根拠に基づく「快適な妊娠出産のためのガイドライン」
Research Question
RQ13 出生児のルーチンの口腔内吸引
議論・推奨への理由(安全面を含めたディスカッション)
児の娩出後の吸引:気道からの液体の除去により呼吸をサポートする目的で、出生後の口腔咽頭吸引がルーチンに行われてきた。大規模なRCTによるとこれによって呼吸障害の発生率を低下させることはなく、生後のSpO2にも影響しなかった。また、AAPおよびACOGのguidelines for perinatal careでは、口腔内吸引による口腔粘膜の外傷の記載がある。したがって、生後のルーチンの口腔内吸引は奨められない。
なお、ILCORによる新生児蘇生のコンセンサス(Consensus 2005)では口腔内の吸引の記載は無く、それに基づいた新生児蘇生のガイドラインでは、NRPでは口や鼻を拭くことで気道が開通できるとしており日本版新生児心肺蘇生ガイドライン講習会解説書では方法は特に記載されていない。
口腔内吸引の方法について:口腔内吸引を機械式の吸引器ではなく、DeLeeあるいはバルブシリンジと呼ばれる手動式吸引器で行う方法がある。小規模のRCTにおいてまったく吸引を行わなかった群とDeLeeの吸引器で吸引を行った群で呼吸、心拍その他の身体所見に差が認められず、ルーチンの生後の口腔内吸引は手動式吸引器でも勧められない。
児の状態が安定していれば、口や鼻の分泌物をしっかり拭き、乾いたタオルで新生児の体を拭き、母親の胸に載せ母親の体温で保温することが大切である。
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