(旧版)科学的根拠に基づく「快適な妊娠出産のためのガイドライン」

 
Research Question

 
RQ11 CTG(胎児の健康状態を診る)

科学的根拠(文献内容のまとめ)

産婦の胎児心音モニタリング(CTG)に関する研究は大きく次の2類に分けられる。第1は入院時の胎児心音モニタリング、第2は分娩進行中の胎児心音モニタリング(連続CTG vs. 間歇的CTGまたはドプラ等による間歇的聴診)に関する研究である。
<RQ11-A:入院時CTG>
入院時に、CTGをルーチンにつける群とドップラー群との比較の研究では、分娩様式、児の転帰に差はなかった。入院時にCTGを行なった産婦では追加のCTGを行なった例数が有意に多かった。しかし、追加CTGを施行した時間は、入院時ドップラー聴取を行なった例で有意に長かった。また、メタアナリシス(RCT3編)における入院時CTG群と間歇的聴診群との比較では、帝王切開率、器械使用分娩率のリスクは増加し、新生児の5分後のアプガースコア7点未満に関しては差がなかった。これらのことから入院時は聴診で良いことが言えるだろう。
<RQ11-B:分娩進行中のCTG>
分娩進行中に、厳密な意味で連続CTGをしている病院は少なく、ルーチンで連続CTGを行なう群と、そうでない群(胎児心拍モニターを行わない群、間歇的に聴診を行う群、間歇的にCTGを行う群のいずれか)とを比較した論文は少ない。他のメタアナリシスでは、連続CTG群とそうでない群との比較では、連続モニター群の方が新生児痙攣の相対危険度が有意に少なく、連続モニター群では帝王切開と器械分娩が有意に増加していた。ローリスク産婦においては、分娩期に5〜15分毎の間歇的な胎児心拍数聴取と連続CTGモニターの結果と有意差が認められず、ローリスク例を含む全例の連続的モニタリングの必要性は認められない。また、脳性マヒのリスクを高めるモニタ所見で脳性マヒがあったのは連続モニタリング群の僅か0.2%で、分娩連続モニタリングによって脳性マヒの偽陽性率が高い(99.8%)。
ローリスク産婦を対象とした分娩進行中のRCTでは、助産師または看護師が産婦を1対1で対応する条件の下で、分娩期に5〜15分毎にドプラ胎児心音計による間歇的心拍数聴診した場合、周産期死亡率、児の1分後Apgar score、臍帯血pH、等にCTGモニターの結果と変わらない。


リサーチクエスチョン一覧へ戻る

 

 
ページトップへ

ガイドライン解説

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す

診療ガイドライン検索

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す