(旧版)科学的根拠に基づく「快適な妊娠出産のためのガイドライン」

 
Research Question

 
RQ3 担当者(周産期、分娩直接介助者)が助産師であるか

研究の内容

文献名 研究デザイン 簡単なサマリー EL
島田三恵子, 他. 厚生労働科学研究費補助金(子ども家庭総合研究事業) 「科学的根拠に基づく快適な妊娠・出産のためのガイドラインの開発に関する研究」 平成17年度総括研究報告書. 大阪: 島田三恵子, 2006. 61, 10, 9p. 層化無作為抽出法による横断調査(疫学調査) 47都道府県11地方における大学病院、一般病院、診療所、助産所454施設で平成17年10月〜平成18年1月に1か月検診に来院した褥婦に自記式調査を行った。このうち経膣分娩をした3249人を対象として、分娩介助者と満足度・医療介入処置・臨床結果との関連を検討した。
分娩直接介助したのは、産科医46%、助産師のみ30%、医師立会いで助産師19%であった。分娩時のケアの満足度及び全体的なケアの満足度は助産師のみで介助された女性の方が、医師または医師立会で助産師によってされた女性より有意に高かった。
助産師のみで介助されたローリスク女性は、医師や医師立会で助産師が介助したローリスク女性より微弱陣痛は少ないが、児心音異常や出血など臨床結果に差が認められず、助産師単独による分娩介助の安全性を否定する証拠は認められなかった。
助産師のみの分娩介助では、点滴、会陰切開率、陣痛促進、連続CTG、浣腸、剃毛が有意に少なかった。一方、終始自由な姿勢、仰臥位以外の娩出体位、立会い分娩、1時間以内の母子接触・早期授乳が有意に多かった。
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Law YY, Lam KY. A randomized controlled trial comparing midwife-managed care and obstetrician-managed care for women assessed to be at low risk in the initial intrapartum period. J Obstet Gynaecol Res. 1999; 25(2): 107-12. RCT ローリスク女性への分娩期における助産師管理のケアと産科医管理のケアの効果を比較することを目的とし、香港の大学病院で、1050人の女性を対象にRCTが行なわれた。実験群:助産師によるケアを受ける563人(54%)の女性と、コントロール群:産科医によるケアを受ける487人(46%)の女性をランダムに割り付けた。そのケアによって分娩所要時間、産科処置(鉗子分娩、点滴、会陰縫合)、出生後の母体の状態(産後出血、胎盤遺残)、児の状態(アプガースコア、保育器の使用)等を比較した。
助産師にケアを受けた実験群はオキシトシンや静脈注射の使用は少なく、両群間に分娩様式や児の出生状態、産後の母体の状態に有意差は認められない。よって助産師によるローリスクの女性のケアの安全性が確認された。
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Hundley VA, Cruickshank FM, Lang GD, Glazener CM, Milne JM, Turner M, Blyth D, Mollison J, Donaldson C. Midwife managed delivery unit: a randomised controlled comparison with consultant led care. BMJ. 1994; 309(6966): 1400-4. RCT、ITT分析 Grampianの一般開業医で予約した2844人のローリスク女性。1900人は助産師のユニット(院内助産院)に割付けられ、944人は産科病棟に割付けられた(2群に差はなし)。助産師ユニットもしくは産科病棟で分娩のケアを受ける。助産師のユニットは5つの個室で、専門医が主導する産科病棟から20ヤード離れている。安全で家庭的な環境の中で、女性が自分で分娩を選択し、助産師が分娩ケアの全責任を担っている。
助産師ユニットに割り付けられた人のうち、647人(34%)が産前に303人(16%)が分娩中に産科病棟に転送された。80人(4%)は追跡できなかった。870人(46%)が助産師ユニットで出産した。初妊婦(255/577人、43%)は分娩時に病院への搬送が経産婦(48/577人、8%)に比べ有意に多かった。
産科病棟ではドップラーよりも電極モニタリングによって児心音聴取(difference inproportion=5.8%,95%CI= 2-10)を行い、分娩中の胎児仮死(difference inproportion=3.9%,95%CI=1-7)、麻酔、会陰切開の使用が有意に多かった。
助産師ユニットでは連続モニターではなく間歇的にドップラーを有意に多く使用していた。また産痛緩和は呼吸法やマッサージ、動き回ること、入浴するなど自然な方法を用いた(difference inproportion=8.8%,95%CI= 5-13)。助産師ユニットに割付られた女性は、経費的電気刺激(difference inproportion=7.1%,95%CI= 3-11)をより志向したのに対し、産科病棟に割り付けられた女性は、硬膜外麻酔薬による産痛緩和をより志向した。助産師ユニットに割付けられた女性の方が分娩進行中に動き回れる事を志向した(difference inproportion=11.9%,95%CI=8-16)。
正常分娩数には有意な差はなかったが、助産師ユニットの女性は会陰切開が有意に少なかった(difference inproportion=3.9%,95%CI=1-8)。
助産師がローリスク女性に分娩時のケアをすることは新生児の罹患率を増加させることなく、より自由に動くことができ、医療介入を減少させる。しかし高い搬送率は産前の基準が妊娠と分娩をローリスクで経過できない事を意味している。
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Turnbull D, Holmes A, Shields N, Cheyne H, Twaddle S, Gilmour WH, McGinley M, Reid M, Johnstone I, Geer I, McIlwaine G, Lunan CB. Randomised, controlled trial of efficacy of midwife-managed care. Lancet. 1996; 348(9022): 213-8. RCT 産科的合併症が無く妊娠16週までに、病院連携している家庭医の外来で分娩予約したローリスクの妊婦1299名。助産ケア(n=648)、医師・助産師等の分業チームケア(n=651)。
医療介入は同等か助産ケアを受けた女性の方がやや少ない。分業チームケアよりも陣痛誘発、会陰切開が有意に少なく、会陰裂傷は有意差がない。合併症発生率は同じだが、対象となった女性の全体32.8%が(28.7%医学的理由)が助産ケアから他グループ(医師との分業グループ)へ移行した。両グループとも満足と回答したが、助産ケアグループは妊娠・分娩・病院および自宅での産後のケアへの満足が有意に高かった。
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The National Collaborating Centre for Women's and Children's Health. Intrapartum care-Care of healthy women and their babies during childbirth. NICE clinical guideline 55. London: RCOG Press; 2007.
http://www.nice.org.uk/CG055
システマティックレビュー 5つのRCTと1つの準比較試験の研究(イギリス・スウェーデン・オーストラリア・カナダの女性8677人)をもとにメタアナリシスをした。分娩時のケアを一人がするグループと、違う人がケアするグループとにわけられた。すべての調査における介入は分娩中に家にいるときのようなケアであった。その結果、誘発分娩、陣痛促進剤の使用、胎児心音異常や、分娩第1期や分娩第2期の遷延、経膣分娩、CS、産後出血、オピオイド鎮痛剤の使用に有意差はみられなかった。硬膜外麻酔の使用は有意差がみられた(RR0.83, 95%CICOG press Inpublic consultation 0.75-0.92)。自然経膣分娩はボーダーラインの有意差(RR1.03, 95%CI 1.01-1.06)で、会陰切開(RR0.85,95%CI 0.74-0.99)、会陰裂傷(RR1.08, 95%CI 1.03-1.13)においても有意差がみられた。
新生児のアプガースコア、NICU入室には有意差はみられなかった。女性の満足度や出産体験については定義や基準が不十分であり、ボーダーラインの有意差であった。
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