(旧版)科学的根拠に基づく「快適な妊娠出産のためのガイドライン」

 
Research Question

 
RQ2 分娩期に医療者以外の付添い(立会い)がいるか

科学的根拠(文献内容のまとめ)

陣痛室での医療者以外の付き添い
日本では1965年以前は自宅分娩が主流で、夫、親、児の兄姉など家族に囲まれて分娩していた。その後、施設内分娩の増加に伴い、家族と離れた分娩室で出産をするようになった。日本ではLDR(Labor, Delivery, Recovery)が普及していないため、諸外国とは異なり、分娩第1期を陣痛室で過ごし、第2期頃に分娩室に移動する施設が多い。
日本の調査では、陣痛室での付添いは夫63%、親31%、その他の人6%、誰もいない13%で、プライマリの施設ほど付き添いが多い。夫の付添いは前回調査を行った6年前の58%から70%に有意に増加し、誰も付添いのない割合は25%から14%に有意に減少した。特に、大学病院および一般病院でこの改善傾向が著明であった。夫が付添った産婦では医療処置の実施率が有意に低く、助産ケア実施率が有意に高く、また分娩中特に異常なく正常分娩の割合が高かった。誰も付添いが居なかった産婦では医療介入および臨床結果に差は無く、助産ケアの実施率が有意に低い。しかし、異常ではない場合に家族などが付き添えた可能性も考慮すべきである。

分娩室での立ち会い
立会い分娩は夫53%、親12%、その他5%、誰もいない41%であった、経膣分娩では各々59%、12%、5%、36%で、プライマリ施設ほど立会い分娩が多く、夫の立会いは前回調査の39%から59%に有意に増加し、誰も付添いのない割合は56%から36%に有意に減少した。特に、大学病院および一般病院でこの改善傾向が著明であった。経膣分娩で立会いの居ない理由は、産婦が希望せず50%、その人が多忙14%、その人が希望せず11%で、医療側の理由は10%に半減した。経膣分娩で夫が立会った産婦では、点滴と剃毛が有意に低く、終始自由姿勢、仰臥位分娩、産痛緩和、1時間以内の母子接触・早期授乳の助産ケア実施率が有意に高かった。夫以外の付き添いの場合には、付き添う人により医療介入の差が特に認められなかった。誰も立会いが居なかった産婦では、点滴、剃毛、仰臥位分娩が有意に多く、仰臥位以外の体位の勧め、終始自由姿勢、産痛緩和、1時間以内の母子接触・早期授乳、および入院中補足母乳のみ、の助産ケア実施率が有意に低かった。臨床結果は夫が分娩に立会った産婦では分娩中特に異常なく正常分娩で、1か月時の母乳哺育率が有意に高い。
立ち会いの有無による臨床結果は外国のRCTでも同様の結果が報告されている。分娩中の付き添いにより、帝王切開、鉗子・吸引分娩の頻度が有意に減少し、自然経膣分娩が増加し、鎮痛剤の使用頻度は有意に減少した。この効果は医療者よりも医療者以外の付き添いによる効果が高い傾向にあった。また、分娩の有効陣痛開始の早期からサポートすることによってポジティブな分娩結果となる。新生児に関する影響や、長期の観察結果に関してはほとんど報告がなされていなかった。



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