(旧版)科学的根拠に基づく「快適な妊娠出産のためのガイドライン」

 
Research Question

 
RQ1 プライマリー施設で分娩しているか

研究の内容

文献名 研究デザイン 簡単なサマリー EL
島田三恵子, 他. 厚生労働科学研究費補助金(子ども家庭総合研究事業) 「科学的根拠に基づく快適な妊娠・出産のためのガイドラインの開発に関する研究」 平成17年度総括研究報告書. 大阪: 島田三恵子, 2006. 61, 10, 9p 層化無作為抽出法による質問紙を使用した横断調査(疫学調査)   47都道府県11地方における大学病院、一般病院、診療所、助産所454施設で平成17年10月〜平成18年1月に1か月検診に来院した褥婦3852名を対象に自記式調査を行った。
  妊娠中から産後までの満足度は大学病院76%、一般病院77%、診療所83%、助産所94%であった。再来希望(また同じ施設で分娩)は各々61%、71%、82%、95%であった。満足感と再来希望はプライマリー施設が有意に高かった。
  妊娠から産後までの母子への医療処置・ケアと各母親の満足度とのロジスティック解析で、独立して有意な関連を持つ変数として抽出された37項目の中で、選択理由:(評判が良いから、お産のやり方、母児同室、対応が良い)、継続ケア(妊娠中から産後まで同じ助産師)、出産費用の説明、経過説明、娩出時仰臥位、早期母子接触、会陰の痛み、母乳量の心配、健診後すっかり安心、心身の理解、意志尊重、気持ちを理解し安心させてくれた、お産の時尊重された感じ、退院後医療者に相談した結果満足した、1か月時の栄養法、の項目はプライマリー施設の方が高く有意差があった。
  特に「評判が良いから」は診療所、「お産のやり方」は助産所に多かった。「評判が良いから」または「対応が良い」との関連があった内容は夫の付き添い・立ち会い、会陰切開、継続ケア、コミュニケーションの項目であった。「お産のやり方」と関連のあった内容はその他の人の付き添い・立ち会い、産痛緩和などであった。これらの項目はいずれもプライマリー施設の方が実施率は高かった。
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Hodnett ED, Downe S, Edwards N, Walsh D. Home-like versus conventional institutional settings for birth. Cochrane Database Syst Rev. 2005; (1): CD000012. RCTのシステマティック・レビュー 基準を満たし、有効な結果が提供された8677人の女性を含む6つのRCTが検討されていた(UK、オーストラリア、カナダ、スウェーデン)。RCTの質は様々であるため、項目ごとに使用された文件数は異なっていた。
その結果、家庭のような出産環境は、従来どおりの病院でのケアに比べて、
胎児心音異常の減少(2RCT、6354人)0.77 [95%CI 0.70-0.85]
硬膜外麻酔の減少(6RCT、8645人)0.83 [0.75-0.92]
仰臥位での分娩の減少(1RCT、1608人)0.64 [0.56-0.72]
自然経膣分娩の増加(5RCT、8529人)1.03 [1.01-1.06]
会陰切開の減少(5RCT、8529人)0.85 [0.74-0.99]
会陰裂傷の増加(4RCT、8415人)1.08 [1.03-1.13]
母乳栄養の増加(2RCT、1431人)1.05 [1.02-1.09]
6-8週時の母乳栄養の増加(2RCT、1431人)1.06 [1.02-1.10]
産後の高い評価(1RCT、2844人)1.14 [1.07-1.21]
次も同じ状況を望むことの増加(1RCT、1230人)1.81 [1.65-1.98]が認められた。
次の項目に関しては有意な差は認められなかった。[陣痛誘発、陣痛促進、分娩第1期遷延、分娩第2期遷延、機器を使用した分娩、帝王切開、産後出血、新生児仮死、周産期死亡等] これらの結果から、家庭のようにセッティングされた分娩は、出産に有益な結果をもたらし、医療介入を減らすことは母親の満足を増加させる。
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Waldenström U, Nilsson CA. Women's satisfaction with birth center care: a randomized, controlled study. Birth. 1993; 20(1): 3-13. RCT スウェーデン産科でローリスクの1230人の女性が対象。病院内のバースセンターのケアを受ける介入群617人(EG)、標準的な産科医のケアを受ける対照群613人。対象属性に有意差無し。介入群の185人(30%)が妊娠中・分娩中の医療的な理由で転院(12.5%が妊娠中の転院)し、流産、中絶、早産、妊娠性高血圧症、遷延分娩、過期妊娠などの医療的な理由であった。対象自身の希望でバースセンターでの出産を辞退3.2%、産後に搬送1.1%、最終的にバースセンターで出産したのは66.8%であった。
1、再来希望
介入群(n=585):バースセンター 88.7%、産科分娩室3.8% 、他の病院6.1%、自宅2.2%、
対照群(n=541):バースセンター 52.7%、分娩室19.0%、他の病院26.6%、自宅5.5%。
2、妊娠〜産後ケアの満足度(7段階の平均)
妊娠中・分娩中・産後のケアの満足度、はいずれも介入群のほうが有意に高かった。
3、産後の滞在日数と家庭訪問
介入群の方がより長い産後の滞在を、対照群はより短い産後の滞在を望んでいたが、両群の大多数の女性は滞在期間に満足していた。産後に家庭訪問を受けたのは介入群71.2%、対照群35.7%であった。(p<0.001)
4、バースセンターのルーチンについての産後2ヵ月後の評価(7段階スケールの平均値)
介入群のほうが「妊娠中〜産後まで同じ施設のケア」「早期退院」「家庭訪問」「妊娠中・分娩中の搬送」「ルーチンに超音波エコーをしない」「胎児モニタリングをしない」「硬膜外麻酔をしない」などの項目に関して有意に評価点数が高かった。(p<0.001)
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