(旧版)高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版

 
 
第2章 高尿酸血症・痛風の診断


3 痛風の診断

●ステートメント
痛風関節炎とは関節内に析出した尿酸塩結晶が起こす関節炎である。
急性痛風関節炎(痛風発作)は,第一中足趾節(MTP)関節,足関節などに好発する。
エビデンス2a推奨度A

診断には,特徴的症状,高尿酸血症の既往,関節液中の尿酸塩結晶の同定が重要である。
エビデンス3推奨度B

痛風発作中には血清尿酸値は必ずしも高値を示さない。
エビデンス3推奨度B

痛風結節は尿酸塩結晶と肉芽組織からなり,診断に有用である。
エビデンス2a推奨度A



高尿酸血症・痛風に対する有効な治療法がなかった時代には,痛風発症後,痛風腎から尿毒症に進展することが多く,尿毒症は死因の多くを占めた。しかし,高尿酸血症の体系的な治療が行われるようになった現在では尿毒症は著減した。したがって,痛風を的確に診断し,治療につなげることが大切である。

1 痛風の臨床像と病期
痛風の関節炎の多くは急性発症であるため痛風発作と呼ばれ,第一中足趾節(MTP)関節などの下肢の関節に多い。痛風関節炎は,疼痛,腫脹や発赤が強く歩行困難になるが,7〜10日で軽快し,次の発作までは全く無症状である(間欠期)。血清尿酸値をコントロールせずに放置すると次第に痛風関節炎が頻発して慢性関節炎に移行する。そして痛風結節と呼ばれる尿酸塩を中心とした肉芽組織が出現するに至る(慢性結節性痛風)。また高尿酸血症が長期間持続すると,腎髄質に間質性腎炎の所見が出現し,「痛風腎」と呼ばれる病態を併発する。

2 痛風の診断
痛風は,高尿酸血症が持続した結果として関節内に析出した尿酸塩が起こす結晶誘発性関節炎であり,当然のことながら高尿酸血症と痛風は同義ではない。痛風関節炎の発症は,以前から高尿酸血症を指摘されている患者の第一MTP関節または足関節周囲に発赤,腫脹を伴う急性関節炎1)が出現した場合に診断しうる。
したがって,以前から高尿酸血症を指摘されていた男性で,特徴的な急性単関節炎を繰り返す場合には,痛風の診断は比較的容易である。診断基準としては米国リウマチ学会のものがある(表12)。これは,(1)関節液中の尿酸塩結晶,あるいは(2)痛風結節が証明される,または(3)の11項目のうち6項目以上を満たせば痛風であるとするものである。この基準は感度98%,特異度92%であるが,さらに低い値も報告されている3),4)
尿酸塩結晶という病因が明らかな痛風においては,可能なかぎり確定診断のために急性関節炎の関節液を偏光顕微鏡で観察し,白血球に貪食された尿酸一ナトリウムの針状結晶を証明することが勧められる4)。なお,関節液中の尿酸塩結晶の検出は通常の光学顕微鏡でも可能である。しかし,尿酸塩結晶と確定するためには偏光顕微鏡が用いられる。

表1 痛風関節炎の診断基準
表1 痛風関節炎の診断基準
(文献2より引用)


3 診断における注意点
痛風の診断上の注意点を列記する(表2)。

1 血清尿酸値
発作中の血清尿酸値は必ずしも高値を示さない5)。また,尿酸降下薬を服用開始後3ヵ月程度は痛風発作が起こりやすい6)が,この場合には当然,血清尿酸値は低く,診断の補助にはならない。

2 尿酸塩結晶
関節液を穿刺後,スライドガラス上に滴下して偏光顕微鏡下に検鏡し,白血球に貪食された針状結晶が負の複屈光性を示せば尿酸塩と証明できる。診断に苦慮する場合は積極的に尿酸塩の検出に努めるべきである。なお,稀に痛風と化膿性関節炎が共存することがある7)

3 痛風結節
析出した尿酸塩結晶と肉芽組織からなる。痛風の罹病歴の長い症例に特徴的な所見であるが,痛風治療の普及により頻度は著減した。このため臨床的に特異度は高いが感度が低い所見である。耳介,第一MTP関節,肘関節などに好発する。

4 画像診断
関節の単純X線では初期から特徴的所見が認められることはほとんどなく,むしろ鑑別診断における役割が大きい。慢性結節性痛風では特徴的な所見が認められる。CT,MRI,超音波検査が痛風結節の同定に用いられる場合がある8)。少数例の検討で,骨病変の評価において超音波検査が単純X線より優れていること9),超音波検査は軟骨表面の尿酸塩結晶の検出に有用であることが示されている10)

表2 痛風関節炎の診断上の注意点
表2 痛風関節炎の診断上の注意点


4 鑑別診断
鑑別診断として,急性関節炎を起こす疾患(偽痛風,化膿性関節炎など)が挙げられることが多い。しかし,現実的には下肢に出現する関節炎以外の疼痛や腫脹(外反母趾,爪周囲炎,蜂窩織炎,靭帯損傷,滑液包炎など)を鑑別すべきことが多い(表3)。

表3 痛風関節炎の鑑別診断
表3 痛風関節炎の鑑別診断


文献
1) Rigby AS, Wood PH: Serum uric acid levels and gout; What does this herald for the population? Clin Exp Rheumatol 12: 395-400,1994 エビデンス2a[AT追加]
2) Wallace SL, Robinson H, Masi AT, et al: Preliminary criteria for the classification of the acute arthritis of primary gout. Arthritis Rheum 20 :895-900,1977 エビデンス3
3) Schumacher HR Jr, Edwards LN, Perez-Ruiz F, et al; OMERACT 7 Special Interest Group: Outcome measures for acute and chronic gout. J Rheumatol 32: 2452-2455,2005 エビデンス3[AT追加]
4) Malik A, Schumacher HR, Dinnella JE, et al: Clinical diagnostic criteria for gout; Comparison with the gold standard of synovial fluid crystal analysis. J Clin Rheumatol 15: 22-24,2009 エビデンス3[AT追加]
5) Logan JA, Morrison E, McGill PE: Serum uric acid in acute gout. Ann Rheum Dis 56: 696-697,1997 エビデンス3
6) 作山理子,山中寿,箱田雅之,他:痛風発作を誘発しないための血清尿酸値の維持水準に関する研究.プリン・ピリミジン代謝 17:81-89,1993 エビデンス2b
7) Chen LX, Schumacher HR: Gout; Can we create an evidence-based systematic approach to diagnosis and management? Best Pract Res Clin Rheumatol 20: 673-684,2006 エビデンス4
8) Gerster JC, Landry M, Dufresne L, et al: Imaging of tophaceous gout; Computed tomography provides specific images compared with magnetic resonance imaging and ultrasonography. Ann Rheum Dis 61: 52-54,2002 エビデンス3
9) Schueller-Weidekamm C, Schueller G, Aringer M, et al: Impact of sonography in gouty arthritis ; Comparison with conventional radiography, clinical examination, and laboratory findings. Eur J Radiol 62: 437-443,2007 エビデンス3[AT追加]
10) Thiele RG, Schlesinger N: Diagnosis of gout by ultrasound. Rheumatology(Oxford)46: 1116-1121,2007 エビデンス3[AT追加]


 

 
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