(旧版)不整脈の非薬物治療ガイドライン(2006年改訂版)

 
IV.カテーテルアブレーション

 
(3)心房粗動・心房頻拍

心房粗動(通常型・非通常型)

Class I:
  1. 1:1房室伝導を伴うもの,失神や心不全などの強い症状を伴う頻拍発作,またはQOLの著しい低下を伴う場合
  2. 症状があり,薬物治療が無効または副作用のため使用不能な場合
Class IIa:
  1. 症状を有する通常型心房粗動で薬物治療が有効な場合
  2. 症状のない心房粗動で器質的心疾患を有し心室機能低下を伴う場合
  3. パイロットや公共交通機関の運転手など,発作により多くの人命に関わる可能性がある職業に従事している場合
  4. 他の頻拍に対するカテーテルアブレーション治療中に偶然誘発された通常型心房粗動
  5. 心房細動に対する抗不整脈薬治療中に出現した通常型心房粗動
Class IIb:
  1. 他の頻拍に対するカテーテルアブレーション治療中に偶然誘発された非通常型心房粗動

心房粗動は規則正しい粗動波を特徴とする上室性頻拍であり,240~350/分の心房興奮頻度で心房ペーシングにより停止,捕捉(エントレイン)されるI型と,より速い心房興奮頻度(350~450/分)で心房ペーシングの影響を受けにくいII型に分類される.I型の多くは三尖弁輪部を旋回する右房内マクロリエントリー性頻拍であり,下壁誘導において典型的な鋸歯状波形を示し,最近では「通常型」と呼称される.通常型心房粗動は下壁誘導における粗動波形が陰性の反時計方向旋回型と,粗動波が陽性の時計方向旋回型に分けられる.I型以外のものを非通常型と総称する.
心房粗動の自覚症状は,房室伝導比により左右され,無症状で経過するものもあるが,労作時1:1房室伝導から失神に陥ることもある.通常型心房粗動は三尖弁輪部-下大静脈間の峡部を線状焼灼することにより根治可能である169,170)
非通常型心房粗動は,下部ループリエントリー性頻拍171)など以外は峡部非依存性であるため,症例ごとにアブレーション標的部位は異なりカテーテルアブレーション治療は困難なことが多い.開心術既往例では右房壁の切開創を旋回するリエントリー性頻拍の可能性が高い172).心房内リエントリーの他,異常自動能に起因することもあり,粗動中の右房,左房の詳細な興奮伝播様式を検討するため,三次元マッピングシステムを用いたリエントリー回路同定,頻拍起源同定が有用である.

 

 
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