(旧版)不整脈の非薬物治療ガイドライン(2006年改訂版)

 
III.心臓ペースメーカー

 
植込み型ペースメーカーは,1960年代に実用化されて以来,年々ハード面での改良が重ねられ,急速に小型化,高機能化が進んできた.またこれと並行してソフト面での進歩も著しく,房室順次ペーシングや心拍応答機能によりほぼ生理的心拍動を再現しうるに至っている.徐脈性不整脈に対する恒久的ペースメーカー植込みは,薬物治療を含む他の治療の追随を許さない確立した治療法として,生命予後の改善はもちろんQOLの改善をもその目的として広く臨床に用いられているが,一方で過剰植込みによる倫理・経済上の問題も指摘されている.このような現状を踏まえて,より厳密なペースメーカー植込み適応のガイドラインが求められてきた.米国においては,AHA/ACCの合同委員会が中心となり1984年に最初のガイドラインが提示され,その後1991年,1998年と大幅な改訂が加えられて今日に至っている8,9).わが国においてもおおむねAHA/ACCのガイドラインに準じて植込み適応が考慮されてきたが,日本人の特性や社会的状況に見合った適応決定の必要性から,日本心臓ペーシング・電気生理学会(現・日本不整脈学会)の委員会が1995年に独自の心臓ペースメーカー植込みに関するガイドラインを発表している62)
医学的適応決定にあたっては,症状の性質と強さならびにそれらと徐脈性不整脈の因果関係の把握が最も重要である.徐脈性不整脈に伴う症状としては,一過性脳虚血による失神,眼前暗黒感,強いめまい,ふらふら感など,及び長時間の徐脈による運動耐容能の低下や心不全症状などが挙げられる.また,徐脈により悪化しうる心疾患の合併,徐脈を悪化させる可能性のある薬剤の使用が必須の場合,徐脈により脳梗塞発症の危険性が高まるような脳血管病変の合併なども考慮すべきである.更に,ホルター心電図や心臓電気生理検査における異常所見も重要である.
また社会的要因として,年齢,職業(電磁障害を受けやすい職業,高所で働く場合,自動車の運転など),身体活動度,家庭環境,生活環境,性格,患者及び家族の希望などを幅広く考慮すべきである.

 

 
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