(旧版)不整脈の非薬物治療ガイドライン(2006年改訂版)

 
II.臨床心臓電気生理検査

 
1969年,ScherlagらによるHis束心電図の記録以来,心房,心室の電位記録や電気刺激法を含む心臓電気生理検査は広く普及し,徐脈性不整脈のみならず,頻脈性不整脈の機序解明や非薬物療法の適応決定及び評価に不可欠な検査となっている.
徐脈性不整脈に対する電気生理検査は標準12誘導心電図,ホルター心電図,負荷心電図の補助的な役割を有する.しかし,電気生理検査により,めまい・失神等の自覚症状と心電図所見が一致しない場合の評価や,各種徐脈性不整脈の病型及び重症度分類が可能であり,治療法の選択,ペースメーカー適応決定,ペースメーカーの機種選択に重要な情報をもたらす.
頻脈性不整脈における電気生理検査の役割は,近年の非薬物療法の発達に伴い大きく変遷してきた.頻拍維持に必須の部位を特定できる症例はカテーテルアブレーション術で根治可能となり,致死的不整脈では植込み型除細動器によって予後の改善が期待されるようになった.従って臨床的に頻拍の診断が明らかな症例においては,電気生理検査の役割は非薬物療法の確定診断,機序解明,および適応決定することにあると言えるが,頻拍の診断や突然死リスクの評価を要する症例では,頻拍誘発が依然として重要な意義を有する.
なお現在,電気生理検査のガイドラインが作成中であり,ここでは非薬物療法に関するものについてのみ言及する.

 

 
ページトップへ

ガイドライン解説

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す

診療ガイドライン検索

close-ico
カテゴリで探す
五十音で探す