(旧版)骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン

 
V 骨粗鬆症の治療

 
D.骨粗鬆症の薬物治療
b. 各薬剤の特徴とエビデンス
(5)ビスフォスフォネート製剤
 2)アレンドロネート


解説

アレンドロネートの骨密度増加効果43),100),204)や,骨質に関与する骨代謝異常の是正効果43),骨折予防効果34),100),192),321),408),409),QOLに対する効果271),さらに安全性43),192),321)については多数の臨床的証拠がある。現在,世界で使用されている骨粗鬆症治療薬のなかで,効果の再現性と定量性という意味ではアレンドロネートの臨床データが最も充実している。また,アレンドロネートは閉経後骨粗鬆症のみならず,男性骨粗鬆症410),411)やステロイド性骨粗鬆症412),413)においても,骨密度増加効果,椎体骨折予防効果が確認されている。大規模臨床試験fracture intervention trial(FIT)では,閉経後骨粗鬆症におけるアレンドロネートの椎体骨折,大腿骨頸部骨折(図24)などの骨折予防効果が証明された34),192),414)。また,多試験のメタアナリシスによる評価では,アレンドロネートによって椎体骨折のリスクは48%低下,異質性の検定結果はp=0.99で,個々の試験間で成績にばらつきがほとんどみられない409)。大腿骨頸部骨折でも55%のリスク低下,異質性の検定結果はp=0.98と,さまざまな対象患者で一貫した効果が報告された(図25408)。メタアナリシスの結果に基づいた補正間接比較の検討では,アレンドロネートの非椎体骨折予防効果が,ほかの骨粗鬆症治療薬より有意に優れていた415)。そのほか,10年間投与の長期安全性と有効性が確認されている点も,この薬剤の特長である43)。国内臨床試験では,アルファカルシドールとの二重盲検比較試験により,海外と同様に椎体骨折の予防効果が証明されている43),321)表50)。

図24 大腿骨頸部骨折に対する効果415)
図24大腿骨頸部骨折に対する効果

図25 大腿骨頸部骨折予防効果408)
図25大腿骨頸部骨折予防効果

[エビデンステーブル]
表50 アレンドロネートの骨粗鬆症における主な多施設臨床試験のまとめ
効果 文献 例数
(試験薬/対照薬)
試験
デザイン
成績 エビデンス
レベル
骨密度 43) (164/83) RCT(海外,5〜10mg,10年) 腰椎9.3〜13.7%増加,total hip2.9〜6.7%増加 II
  100) (90/80) RCT(国内,5mg,3年) 腰椎9.2%増加 II
骨折 409) 9,360 メタアナリシス
(海外,5〜40mg,2〜4年)
48%リスク減少
(異質性p=0.99)
I
(椎体) 321) (190/175) RCT(国内,5mg,2年) 66%リスク減少
(6ヵ月以降,対アルファカルシドール群)
II
  100) (90/80) RCT(国内,5mg,2年) 59%リスク減少
(6ヵ月以降,対アルファカルシドール群)
II
(大腿骨) 408) 6,804 メタアナリシス
(海外,5〜20mg,1〜4.5年)
55%リスク減少
(異質性p=0.98)
I
(男性) 411) 375 メタアナリシス
(海外,10mg,2〜3年)
椎体骨折64%リスク減少
(異質性p=0.99)
I
(ステロイド性骨粗鬆症) 413) ( 147/61) RCT(海外,2.5〜10mg,2年) 椎体骨折89%リスク減少,腰椎骨密度
2.8〜3.7%増加
II
骨代謝マーカー 43) (164/83) RCT(海外,5〜10mg,10年) NTX,BAPを閉経前健常女性のレベルに低下,10年間維持 II
QOL 271) (1,022/1,005) RCT(海外,5〜10mg,3年) 腰痛による臥床日数,活動制限日数が有意に減少 II
その他(安全性) 321) (190/175) RCT(国内,5mg,2年) 安全性はアルファカルシドールと有意差なし II
  43) (164/83) RCT(海外,5〜10mg,10年) 10年継続群の安全性プロファイルは5年中止群と同様 II



推奨

骨密度:骨密度増加効果がある(グレードA)。
椎体骨折:椎体骨折を防止する(グレードA)。
非椎体骨折:非椎体骨折を防止する(グレードA)。
骨密度増加効果,椎体骨折防止効果,大腿骨頸部骨折を含めた非椎体骨折全般の防止効果を示すエビデンスを有する。
(総合評価:グレードA)


Additional Statement
服用が簡便な週1回製剤が国内でも使用可能になっている(2006年9月)。最近,日本人においても,連日投与製剤と同等の効果,安全性が報告されている416)

 

 
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